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卵子凍結する?しない?働く女性の選択肢


「結婚時期が遅くなっても妊娠できますか?」
卵子凍結しておいた方がいいのでしょうか?」

独身女性からこんな相談話をされることが多くあります。

「まだ結婚は先と思っているけれど」
「産み時が・・・」

不安な婚活中女性もいらっしゃるのではないでしょうか?


そんな女性にとって「卵子凍結」というのは、心強い選択肢かもしれません。

専門医師の話、医療機関などの情報提供と併せて「私はどうしたい?」と自分自身の心とゆっくりと向き合ってみて欲しいと思います。

本日は卵子凍結に関する情報の整理と〝学生時代からライフプランニング意識が高かったのに、自分の理想の産みどきをパートナーと一緒に考えることができなかった〟私自身の実体験から思うことなどを書いてみたいと思います。

卵子凍結のメリットとデメリット

*卵子凍結保存のメリット
・現在の年齢の卵子を保存できる

女性の卵子は年齢とともに数が減っていきます。卵子の年齢はイコール実年齢です。年齢が経過するにつれて老化することを考えると、若いときの卵子のほうが受精、妊娠へとつながる確率は高まります。

*卵子凍結保存のデメリット
・費用が高額
保険適応はありませんので基本は自費診療になります。
採卵から凍結保管までにかかる費用はクリニックによって多少異なるので各施設のHPや説明会などを参考にされることをお勧めします。(採卵オペ〜保管代(個数による)ある程度の個数を保管しておきたいとなるとその分の費用もプラスされることになります。

・排卵誘発〜採卵までは不妊治療の体外受精のステップと基本同じ
ホルモン剤により卵巣を刺激、排卵を誘発して採卵オペを行う流れになります。
採卵オペは麻酔をかけて複数個の卵子を取り出します。オペ時間はすぐで5~10分くらいで終わるかと思いますが数回の通院は必要です。体への負荷は不妊治療と同様にあります。(まれに麻酔や卵巣過剰刺激症候群など副作用はないとは言えません)

・妊娠時期を遅らせることによる高齢出産リスク
万一、凍結保管して30代後半以降に出産を伸ばす場合、母体に生じるリスク(妊娠合併症など)は高まることは通常の妊娠と同様にあります。

日本産科婦人科学会の見解は?


自治体としては過去に千葉県浦安市が順天堂大学浦安病院と共同で卵子凍結保存研究を行いました。平成15年度より「市内の20~34歳の女性に卵子凍結保存への公費助成を発表」したことが当時話題になりました。
それに対して、日本産科婦人科学会は「自治体による卵子凍結の補助制度の啓蒙は女性の出産の先送りに繋がる可能性がある。健康な女性への卵子凍結は推奨しない」という考えを発表したのです。

その主な理由は、
・「妊娠出産可能性」への有用性がまだはっきりしていない
・「妊娠を先延ばしできる」と高齢出産のハイリスクの妊娠・出産が増える

といったものでした。一方で日本生殖医学会は平成13年に高齢出産などのリスクから40歳以上の採卵は「推奨できない」としています。
生殖医療を提供する不妊クリニックにおいては都内近郊の施設でも、独身女性の単独卵子凍結を行っている施設はまだ少数ですが、採卵は40歳まで、凍結卵子を使用した妊娠出産は45歳という年齢制限がある施設が大半です。


企業の福利厚生としての卵子凍結プラン


いよいよ企業の福利厚生として卵子凍結プランを提供するサービスがでてきました。2019年より株式会社ステルラ社が開始した卵子凍結・不妊治療の福利厚生パッケージ「Stokk」が2020年2月にスカイマーク株式会社に福利厚生として初の卵子凍結補助制度を導入実現しました。

米国においては、もっと早くからフェイスブックやアップルが卵子凍結の補助金制度を導入しており、シリコンバレーでは同様の制度があるIT企業も複数あります。国内ではPR会社のサニーサイドアップが2015年から「Dear Women」という補助制度をスタート。卵子凍結にかかる費用の3割を会社負担、実際に利用した社員も出ているようです。(同社は多様性を認め合う独自の福利厚生制度があり、同性婚や事実婚についても結婚休暇や出産祝金が支払われる「パートナーシップ制度」もある様です)
直近では、2021年2月3日より選択的卵子凍結保存サービス「Grace Bank」が株式会社ベネフィット・ワンが運営する福利厚生プラットホーム「ベネフィット・ワン」会員(10,892団体・868万人・2020年9月時点)を対象に、卵子凍結サービスを優待価格にて提供スタートしています。

「未来の家族プランニング」は女性だけの問題ではない


現代女性は、出産のタイミングが後回しになりがちです。
企業の福利厚生で「卵子凍結」補助制度があることは働くキャリア女性にとってはメリットが大きいかもしれません。
するか、しないかは個人の自由ですが「選択肢がある」「ライフプランについて考えるきっかけにする」という意味ではすばらしいと感じます。

しかし、そもそも「子供をもつ」ことをお付き合いをするパートナーと話せていない人もたくさんいるように思います。
チャレンジではありますが、将来の家族、未来の話をぜひ2人で一緒にして欲しいです。
「妊娠」は〝女性だけの問題〟では決してありません。
「卵子」が老化するなら「精子」だって老化するのです。


アラサー時代には私も「産みどき」について〝強い危機意識〟を持っていました。自分は卵子凍結はしませんでしたが、自己流で「人生カレンダー」のスケジュールをひっぱっては上手くプランニングしたつもりでした。
しかし、それがプラン通りに行かないとなった時、これまでの計画は「1人よがり」だったのだとようやく気づきました。
1人でばかり考えすぎていたことに愕然としたのです。

だからこそ、言えることがあります。

妊娠・出産・育児は決して女性だけが主語ではなく、男女で、そして社会で、考えてほしいということです。

「卵子凍結」は、女性のライフプランの「保険」にはなるかもしれません。
しかし「家族になる」ことは相手や周囲と築いていくもの。
決して単純ではありません。そのためにも、たくさん話をしてほしいです。
価値観をすり合わせる作業は何度もして欲しいなと思います。

これからの時代は、結婚の形にとらわれないカップル、女性が単身で子供を産む選択肢、異性間だけでなく同性同士の夫婦が子供を持つこともあるかもしれません。よって、生殖医療を活用して体外受精という手段で我が子を授かりたいと願うカップルも多様になると思います。
〝妊娠〟がゴールではありません。赤ちゃんを授かってから育児はずっと続いていくものです。子供は1人で育てるものではないのです。

男女で、社会で、子供の未来を考える。

卵子凍結のことも、生殖医療のことも、
未来の家族計画の一手段としてどのように活用するのか?

共に話せるカルチャーができることを願います。


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