3年ぶりの帰省
コロナ禍で長らく帰省ができずにいたが、この連休に思い切って帰省することにした。
私の故郷は雪国新潟である。雪国といっても、新潟市内なので世間一般に持たれている新潟のイメージとは違い、雪はあまり降らない。ゆえに新潟出身ではあるがスキーやスノボの類は一切できない。
新潟市は都会である。中心地に出向けば伊勢丹などのデパートやファッション店、ブランド店が軒を連ねるビル群があり、そこはさながら銀座のようである。と、言うたびに笑われる。
6歳の息子が最後に帰省したのは3年前の夏。時代が平成から令和に変わり、日本中が新元号にフィーバーしていた頃だ。当時3歳の息子はまだオムツがとれておらず、毎日トイレトレーニングに勤しんでいた。
そういえばまだ言葉も片言で、カ行が言えなかった。
あらゆるカ行がタ行に変換されるのがあまりにも可愛らしく、すんなりカ行が言えるようになったら寂しいなぁなんて思っていた親バカの私である。
それから数ヶ月、あまり意識せずに過ごしている間に、いつの間にか息子はカ行を習得した。習得した瞬間もわからないくらい、去りゆく日常に混じりながらあまりに自然に、ゆっくりと。
3年の月日は長い。オムツをしていた息子は小学生になり、娘も誕生した。
30歳過ぎだった私はアラフォーの域に達しつつある。
そして何より両親や親戚が年をとった。
いつも身なりを整えて白髪染めだけは欠かさずにしていた父親が、真っ白な白髪頭だったのに内心ショックを受けた。まぁもう70代半ばになるし、そんなものか、とも思ったが、「確実に人は年をとる」ことを改めて実感させられた。
息子は今回の滞在を十二分に満喫したようだ。母と餃子を作ったり、手巻き寿司を作ったり。叔父・叔母の家に遊びに行ったり、絵を描いたり、トランプやオセロをしたり。少し遠出して大きな公園で思いっきり遊んだり、近所でサッカーをしたり。
娘も最初こそ慣れない状況に泣いたが、すぐに慣れて得意気につかまり立ちを披露していた。
なんでもないことが、帰省中というだけで特別な思い出になる。
そしてきっと、年を取った両親にとって、このなんでもない時間が宝物なんだろう。
そんなことを強く思った。
私が年を取ったのか、久しぶりの帰省だからかわからないが、妙にしみじみとした。
5月の新潟の爽やかな風がそっと私の心を撫でた。笹団子の季節だ。
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