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創作小説

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【創作小説】折れかけのラジオ

劇場メンバーへの道は遠い。

「恵里佳ー!!」
居酒屋でそう叫ぶのはもうすぐ東京に行く同期の山吹紗英。
紗英は養成所を卒業してすぐ、劇場メンバーになった同期の中でもエース級。
私は劇場メンバーにもなれないのに。

「恵里佳さ。やり残した事ない?」
他の同期は苗字で呼んでくるが、紗英だけは名前で呼んでくる。女同士だから気軽に呼べるのだろう。
「桜梅みたいにコンビ組みたかった。あたしはずっとピンやった

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