子供のためのルーブル美術館(9)ラトゥール・ろうそくの光がとどけるもの
画家のラトゥールは
部屋の中を静かに照らす ろうそくの灯を描きました。
ろうそくの炎は
まっすぐのぼっていって ついには細くなり
少しの風でもゆらゆらとゆれます。
手をかざして消えないように。
ヨセフの仕事が遅くなれば
イエスはこうしてろうそくを照らします
ヨセフの顔の深いしわと イエスのほほえむ口元が
ろうそくの光でかがやいて
かざしている手もすきとおって
つめの先まで見えました。
ラトゥールはこうして
絵の中のろうそくの光を
絵を見ているわたしたちにも届けたのでした。
ジョルジュ・ド・ラ トゥール 1593-1652
大工の聖ヨセフ 1642
Georges de LATOUR
Saint Joseph Charpentier Vers 1642
D'après les évangiles apocryphes. Huile sur toile
お読みいただきありがとうございました。
愛らしい幼いイエスの顔には、ラトゥールが何度も描き直した跡が見られるそうです。カラヴァジョの影響を受けながらもろうそくの光を描くことで、絵の中に独特な、親密な雰囲気を醸し出すことに成功しました。
幼子の手指から漏れるろうそくの光を褐色、黄土色、深いボルドー色で表現したこの作品の前にはいつも、その美しさに惹きつけられた鑑賞者が絶えません。
ろうそくを持つ右手の小指の愛らしいこと。
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