子供のためのオルセー美術館(25)ドラクロワ・絵は火事でなくなってしまったけれど
ドラクロワが 展覧会の下絵を描きました。
さあ、なんの絵かわかりますか?
ちょっと近づいて見てみましょう。
これは絵の真ん中
あばれて飛び上がる馬が見えるかな?
これは絵の左側
大きな口を開けたライオンと戦う人たち
これは絵の右側
かみついてツメをたてるライオン
赤と青と黄色が ぐるぐるぐるぐる
ドラクロワは すごく早い筆で この下絵を勢いよく描きました。
完成した本当の絵は その後火事で焼けてしまって
もう見ることができなくなりました。残念!
でも 後に有名になる若きルドンが 火事になる前に その絵を美術館で描きうつしていたのです。
ドラクロワの下絵とくらべてみましょう。
ライオンや馬が見えてきた!
ドラクロワは動物を描くのが好きでした。
動物園に 何度も行ってライオンやヒョウを描きました。
そして ルドンのように
美術館に行って 大好きなルーベンスの絵を何度も見て 描きうつして
ドラクロワならではの ライオン狩りの絵を描くことができました。
動物園で好きな動物を見て描いたり 気にいった絵をまねして描くのは
みんなも楽しいですよね。
Eugène Delacroix
Saint-Maurice 1798 - Paris 1863
Chasse aux lions (esquisse) 1854
ウジェーヌ・ドラクロワ
ライオン狩り 下絵スケッチ 1854
Odilon Redon,
Copie d'après La Chasse aux lions de Delacroix 1855
オディロン・ルドン
ドラクロワ作「ライオン狩り」からの模写
© Musée des Beaux-Arts, ville de Bordeaux, Photo : F. Deval
Eugène Delacroix
Le Puma, dit aussi Lionne guettant une proie 1859
ウジェーヌ・ドラクロワ
ピューマ、またの名を獲物を狙う雌ライオン Chasse au tigre 1854
ウジェーヌ・ドラクロワ
ライオン狩り1854
ルーベンス
ライオン狩り 1621
アルテ・ピナコテーク所蔵
お読みいただきありがとうございました。
ドラクロワの下絵は、ルーベンスの影響が色濃く、デッサンよりも色彩によってそのライオン狩りの戦いの様子が表現されています。本絵は残念ながら焼失してしまいましたが、この下絵は強烈な色彩と早い筆致で、ドラクロワの作品にかける激しい情熱を感じることができます。
当時批評家たちからは痛烈な批判を浴びますが、ボードレールは「これほど美しく、これほど強烈な色彩が、眼を通して魂を貫いたことはない」と絶賛しました。
何が描いてあるのかな?と、お子様と想像しながら、次代をになう才能あるルドンの絵で答え合わせをしてみてください。
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