見出し画像

子供のためのオランジュリー美術館(7)もんくのあるベルボーイ/ゆがむ!シャイム・スーティン

いったい どうなってるんだ!


スーティンがをかくっていうから
ポーズしたのに

なのに どうだ?


みみあかくてぶかっこう
のびにのびたながいおでこ
なんか かなしそうなかおえない?

にいりのあかいジャケットだって

やっぱり どこかおかしい

だってさ、どこにあるんだ

まったくもう!
いったいぜんたい どうなっているんだ!


あ、
これを見ている あなたは……


客様きゃくさま、いらしてたんですか。
気がつかないで 失礼しつれいしました!
ぼくは ホテルではたらくベルボーイです

「またのおいでを おちしています!」



Chaim Soutine
Le Garçon d'étage Vers 1927
シャイム・スーティン
ホテルのベルボーイ 1927

絵画から熱狂へ:鮮やかな色彩と苛烈なフォルム
スーティンの絵画は、戦時期の他の画家とは一線を画していた。彼は主に肖像画、静物画、風景画を描き、明るい色彩を使い、コントラストを生み出し、作品に酷い歪みを与えつつ華やかさを表現した。そのために黒と赤を使い、ある種の苦悩と暴力的な強さの側面を表している。

1926年から1928年にかけて、スーティンはシャテル=ギュイヨンで過ごし、そこで、レオポルド・ズボロフスキ(1889-1932)からいち早く彼の作品を購入したコレクターのマドレーヌ・カステイングとマーセリン・カステイング夫妻に出会った。数年後、彼らは画家のパトロンとなった。画家がホテルの従業員たちの小さな世界を観察し、彼らの肖像画を描く機会を得たのは、おそらくこうした訪問のときだった。1927年、ベルボーイによって、画家の執念の赤は頂点に達した。
肖像画であれ、静物画であれ、風景画であれ、スーティンはそれぞれのモチーフに激しい歪みを与え、その筆致の表現主義的な力と哀愁を帯びた叙情性とを結びつけた。しかし、彼のキャンバスの見かけの形式的な衝動性の下には、古典的な堅固さが光っている。ルーブル美術館で精力的に学んだ古代絵画の薫陶を受けたスーティンは、古代絵画に言及することをやめなかった。

musée de l’orangerie

お読みいただきありがとうございました。
腰に手をあて挑発的な姿勢で描かれているベルボーイ、何か物悲しく不格好で魅力に欠けたように描かれていますが、その歪みや厚塗りのでこぼこ、指紋まで見えるような激しい筆使いに派手な赤色のジャケットが相まって、見るものを惹きつけます。
レンブラント、シャルダン、クールベの伝統的な絵画に触発され、彼らの主題を取り上げて何度も描き、発展途上の抽象表現主義の架け橋となりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?