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子供のためのオルセー美術館(32)夏休み特集動物編あついよオルセー/骨になったラクダ

ここはアフリカ

しずまない太陽たいよう

どこまでもつづあつすな
サハラ砂漠さばくです


年老としおいたラクダは息絶いきたえて

そのほね
砂漠さばくすなになります

地平線ちへいせんこうに
ひかるものがえますか

キャラバンがいる
あそこに

ラクダの仲間なかまたちは

いま力強ちからづよあるいています


Gustave Guillaumet
Paris 1840 - Paris 1887
Le Sahara, dit aussi Le Désert 1867
Salon de 1868 Huile sur toile
ギュスターヴ・ギヨメ
サハラ砂漠 1867

1868年のサロンで高く評価されたギョーメのこの作品は、当時のオリエンタリズム作品の中でも際立っている。同時代の多くの画家が北アフリカを安易に理想化したり、逸話的に表現したのに対し、ここでは本質に焦点を当てた痛烈なヴィジョンが描かれている。「砂漠の無限性が、これほど単純で、壮大で、感動的な方法で描かれたことはない」とテオフィル・ゴーティエは書いている。風景の荒々しさ、孤独と寂寥感は、絵が横に大きく描かれていることによって強調されている。冷たい色調で凍りついた前景の骸骨から、気づかぬうちに地平線に現れたありそうもないキャラバンの光へと移っていく。
驚くほどにシンプルに描かれるが霧のかかった空と埃っぽい広大な平原を調和させる微妙なショットの切り替えによって、ギヨメは砂漠の真髄を伝えることに成功した。自然主義的なディテールに細心の注意を払いながら、当時の大衆がオリエントに抱いていた夢のような幻想を超越した過酷な現実を描くことに成功した。

Pèlerins allant à la Mecque
LÉON BELLY
メッカに向かう巡礼者たち
レオン・ベリー 1861

ラクダについて

ラクダの平均寿命は60~70歳である。大人のラクダは肩の高さが1.85m、こぶの高さが2.00mにもなる。こぶは体から75cmほど盛り上がっている。ラクダはあまり速く走ることはできないが、短距離であれば時速20kmで走ることができ、時速10kmまでのスピードを維持することができる。
ラクダは現在でもゴビ砂漠に野生で生息している。


お読みいただきありがとうございます。
暑い毎日ですが、より一層灼熱のサハラ砂漠、オルセー美術館の作品の中でも横長のキャンパスの大作をそしてメッカに向かう巡礼者たちの2作品をご紹介しました。
過酷な環境の中でラクダは息絶えましたが、平均寿命が60〜70才というラクダの生をも感じる作品です。
お子様とラクダのお話をしてみてください。砂漠の砂に帰ったであろうラクダにも若く力強く生きた時がありました。

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