アリストテレス『ニコマコス倫理学』高田三郎訳、第一巻第一章1094aについて②

※出典や諸注意については以下の記事を参照してください。

さて、本節では、あらゆる実践が善を希求しているという仮定のもとで、カテゴリー(要は種類)としての目的が探究される。

アリストテレスによると、諸目的のあいだには、カテゴリーの違いがある。それは、活動が目的である場合と、成果が目的である場合だ。

種々の場合の目的とするものの間には、しかしながら、明らかに一つの差別が見られるのであって、すなわち、活動それ自身が目的である場合もあれば、活動以外の何らかの成果が目的である場合もある。

アリストテレス『ニコマコス倫理学』1094a

後者の場合、活動より成果のほうが善い。なぜなら、われわれはあらゆる実践が善を希求していると前提しているからである。

目的が何らか働きそのもの以外にあるといった場合にあっては、活動それ自身よりも成果のほうがより善きものであるのが自然であろう。

アリストテレス『ニコマコス倫理学』1094a

いかなる技術、いかなる研究も、同じくまた、いかなる実践も選択も、ことごとく何らかの善(アガトン)を希求していると考えられる。

アリストテレス『ニコマコス倫理学』1094a

ここで、アリストテレスは、カテゴリーとしての目的を規定している。

なお、諸目的を評価するという問題については後段に譲られるだろう。

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