見出し画像

獣たち

反射でうまれる色たちが眩しくって、透き通れたら、って口にまで出した。
カーテンを閉じてないと生まれない隙間から差し込んでくる、冷たいのにぼやけた感触が、手を差し伸べてるってみんなは言うけど、手招きの間違いだよ、って教えてあげたい。

撫でて、毛並みに逆らって。
伸びきらない爪の先も、白く弧を描く。

馴染ませるように身を隠した獣と呼応する眼差しが、潜ませた呼吸が、新雪を溶かすようにわたしの唯一無二性の在り処を暴いて、それに伴う痛みが何より冬めいている。

冷えきったせかいで自らを触媒に差し出して、燃え尽きてゆくなんて狡い。
見蕩れて。
冬が深度を増してゆくほど目立ってしまう。
わたしはあなたを見つけるし、あなたはわたしを見つける。それだけが真っ当な運命だよ。

孤独を飼い慣らしたりしないでね。
空白を抱えるなんて可笑しな話だけれど。そこに触れたいなんてお遊戯に近いけれど。

透明に限りなく近い季節ですべてを拒んで。
あなただけをひかりと呼ばせて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?