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Battle for your life―LADY GAGA CHROMATICA BALL TOKYO 9.3.2022

今でも、夢を見ていたのではないか、と思っている。

2022年9月3日、埼玉の西武ベルーナドームでレディー・ガガの来日公演に参加してきた。参戦、という方が正しいのか、そもそも来日公演なのか、来日コンサートなのか、どういう言い方もしっくりこないが、とにかく、8年ぶりの来日と聞き、思い切ってチケットの抽選に申し込んだのは4月だった。当選したときは、本当に9月が来るのか信じられなかった。そして本当にガガを見ることができるのか、信じられなかった。

ガガを知ったのは、バイト先のショッピングセンターでずっと流れていたPorkerFaceからだった。その当時はよく耳にするな、ぐらいにしか思っていなかったのだが、大学生時代にはまっていたニコニコ動画でガガのMVがいくつか見ることができて、そこからまんまとはまった。最初はMVを漁ってみていたが、よく見るのがYoutubeに移ってからはライブの映像もたくさんあり、彼女のパフォーマンスや、ファッション、ヘアメイク、そして特にその歌唱力に魅了されていった。ピアノでバラードアレンジを穏やかな表情で歌ったかと思えば、次の瞬間では激しいアップナンバーをダンスととも披露する。特に、iTUNESのライブで、最後に披露したapplauseが大好きで何度も何度も見返した。
スポットライトを浴びて、ただ一人ステージの上で踊る彼女の姿は、何度見ても、私の心をつかんで離さない。

ガガのことを、ずっと見つめ続けたパフォーマンスを見ることができる。そのことは、9月に入っても埼玉に向けて出発しても、全く現実感がなかった。本当に私はガガを見ることができるのだろうか?会場についても、ガガのコスプレをしている人を見ても、ピンとこなかった。

ガガは、LGBTQコミュニティからとても愛されている。それは彼女の生き方や考え方、そしてすべてを肯定してくれるその音楽が支持を集めているのだと思う。でも、私はLGBTQコミュニティに属する人間ではないので、ガガを好き、と声高に言うのがちょっと抵抗があった。ひねくれたものの見方なのはわかっているが、LGBTQコミュニティだけが本当に、真に、ガガを愛している、と言っているような気がして。

でも、そんなことはどうでもよかったのだと思い知る。
オープニングでBadRomanceのイントロが流れた瞬間、ガガのシルエットが現れた瞬間、そしてあの力強い声が響き渡った瞬間、すべてのことが全部飛んで行って、瞳から涙として流れていった。
ガガがいる。そこにいて、何度も繰り返して見て聴いたままの、あの声で、あの姿で、そこにいる。いてくれている。歌っている。踊っている。
みんなのことを、見つめている。
彼女は圧倒的だった。圧倒的に偉大で、圧倒的に美しくて、圧倒的に存在していた。そして、圧倒的な愛の塊だった。何度も「Aishitemasu」と叫び、そのたびに会場が一つになった。たった一つの、彼女が発する「ai」という言葉は、その言葉以上の意味を持って私たちのもとに降り注ぐ。大きなうねりを持った愛は、彼女のもとへ届き、吸収され、そしてまた彼女からの愛となって会場を満たしていく。
こうして、書いていたって、あの時の感情はまったく表現できない。私の心に言葉はなく、ただ、ただ、体を満たす愛と、それに伴う充足感だけがあった。心は言葉をやすやすと超えていく。心は言葉でとらえられないほど大きい。そう思う。

彼女のパフォーマンスは洗練されており、どれだけの努力を積み重ねたのか気が遠くなるほどだ。そう思えば思うほど、より、愛が膨れていく。彼女があのスポットライトの下に立つために、唯一無二の存在感を得るために、どれだけの辛苦があり、どれだけの涙があったのだろう。
そういうことを踏み越えた先にある、愛とあたたかさは何にもかえがたい。
ドームの中は、終始、彼女の愛で包み込まれていた。

最新のアルバム「Chromatica」の中の曲、「Babylon」の一節に、

Battle for your life

というのがある。コンサート会場の中でもどこかでそのフレーズを目にした。そういう力を、ガガは私たちに与えてくれる。そして、彼女自身もまた、戦っていることを教えてくれる。
彼女はちっぽけな私が気にしていたLGBTQコミュニティのことはもちろん、あの会場にいたすべてのファンのことを、すべてのLittle Monsterのことを愛する、まさしくMother Monsterだった。ガガは、だれ一人として取りこぼすことはないのだと、体感した。言葉ではない。その体験が、心を満たす。

「誰かを愛するにはかなりの勇敢さを必要とするものだから」

ガガがあるインタビューで語っていた。それを、まさしく彼女が体現してくれていた。そんな夜だった。
今でも夢じゃないかと思っている。夢でもいい。
彼女はいつだって私たちのことを愛してくれている。

I love you,GAGA
AISHITEMASU!!!!