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Letter to ME

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自分へ送る日々の備忘録(その2)
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2018年6月の記事一覧

半永久的に続く孤独

朝、走っていく男子中学生とすれ違った。白い半そでのカッターシャツの左胸を一生懸命おさえながら「おはようございます」と言い放ち、走っていく。どうして左胸をおさえているのか、彼が近づいてきてみると、左胸のポケットに入っている生徒手帳が落ちないようにしているのがわかった。彼の体が弾むたびに、生徒手帳も弾んでいる。おはよう、と返す前に彼は走って行ってしまった。いまどき、スポーツ刈りにしている中学生だった。

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親不幸者

結婚をすることは親孝行であるようだ。ようだ、というのは、私自身がまったくそう思えないからである。
「結婚は親孝行だよ」
結婚を報告したときに、お祝いをしようと言ってくれ、さらに有言実行してくれた上司がそう言った。親御さんはうれしいと思う、と、その隣の別の上司がそう言う。二十も三十も年上のおじさんたちに囲まれて飲む酒の方がまだ気楽でいいのだけれど、あまりうまく笑顔で答えられなかった。何が親孝行だとい

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欲望の虫

絶望すると、欲望の虫が顔を出す。

何も気にせずに毎日を生きてゆきたい。
夫からは大切にされたい。優しくされたい。もっとかっこいい夫でいてほしい。なんでも物分りのいい夫でいてほしい。
我慢のできる女でいたい。何事も口に出さないで耐えられる女でいたい。いい女でいたい。
料理も上手くなりたいし、家事も好きになりたいし、仕事は早く帰りたい。でも、それなりにやりがいのある仕事がやりたい。

べつに仕事をや

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結婚式の日に言うのもなんだが

結婚式の日に言うのもなんだが、自分が結婚するとは思わなかった。

小さいころ、大学卒業したらなんか適当にOLになって、なんか適当にパステルカラーのツインニットとか着て、オープンカフェで似たような恰好の友人たちと頬杖でもつきながら男の品定めをして、なんかよさげな男と結婚するんだと思っていた。けども、高校生になるぐらいには、飛び切りかわいくて飛び切り女子っぽくなけりゃそんなことはありえないと確信した。

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