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才能ランキング

「今日、麻衣ちゃんが僕の才能ランキングを作ってくれたんだよ」
日本時間午後2時。今日も横浜の実家からイタリアにいるアンドレアとZoomを繋ぐ。


※この記事は、日本人の僕とイタリア人の友人アンドレアがイタリア語で交わした会話を、日本語に訳したものです。
ほぼ会話のみで構成されているので、どちらの発言であるかを明確にするため、僕の台詞にはL、アンドレアの台詞にはAを、「」の前に付けてお送りしたいと思います。


L「ランキングは1位から5位まであるの。やっぱり麻衣ちゃんは見る目があるよ。お前なんか、10年の付き合いだっていうのに僕の長所5つも挙げられないだろ」

A「それは...ないものを挙げろって言われても困るなぁ」

L「一生困ってろ」

A「...参考までに聞かせて?麻衣ちゃんが思う君の才能ってなに?」

L「言われなくても聞かせてやるよ。自慢する気満々でこの話を切り出したんだからな。えーっとね、まず第5位が『際限なく食える(でも消化は苦手)』」

A「初っ端から自慢にならないな」

L「なんでだよ!どんな事でもできないよりできたほうがいいだろ」

A「際限なく食えなくても別にいいよ...それに、量食べて具合悪くなるんじゃ『際限なく食える』とは言わない」

L「麻衣ちゃんを嘘つき呼ばわりすんな!」

A「してないよ。君こそ、なにか勘違いしてるんじゃない?麻衣ちゃんが言いたかったのは『(でも消化は苦手)』の方だと思う。『消化できないんだからばかみたいに食うな』って忠告したかったんだよ、きっと」

L「ばかみたいじゃないもん。『体が小さいから少ししか食べられない』って言われないように努力してんのに、どうしてそういう言い方するんだよ!見てろよ、今月イタリアそっちに行ったらジュリオに大食い勝負を挑んで、今度こそ絶対に完勝してやる」

A「だから身長180㎝、体重125㎏の相手に挑戦しようとするな。結果はこの前と同じだよ」

L「同じじゃないもん。今度は絶対にリバースしない!」

A「ローリス、食べ物で遊ぶなと何回言ったら分かるんだ?」

L「...わかったよ。睨まないで、怖いから」

A「...で、4位は?」

L「えーっとね、『語学力』」

A「えっ?それ、もう出てきちゃうのか?君の唯一の長所なのに...」

L「唯一って言うな」

A「ちなみに、3位は?」

L「『文才』」

A「あー...」

L「えっ?なになに?予想外の反応!もしかして...納得した?」

A「まぁ...そうだね。俺は日本語がわからないから、当然君の母国語としての日本語のレベルは判断できない。でも、イタリア語に関して言えば、文章の組み立て方とか単語の選び方を見ていると、『才能』と言っても、まぁ言い過ぎではないだろうね。冠詞は間違いだらけだし、形容詞と過去分詞の性・数一致もよく間違っているけど」

L「ぉお...なんか...最後の方はディスられたけど、総合的には褒められてるような気がする。そんなふうに言われると...ちょっとくすぐったいな」

A「ただね、どんなに語学に長けていて、文章を書く才能があったとしても、君は頭の中が空っぽなんだよ。それじゃ最高級の絵具と絵筆を持っているのに、絵を描くことができないのと一緒だ。だから君に必要なのは絵を描く素養を身につける事だと思うんだよ。知識とか教養、思考力なんかがなければせっかくの君の才能も...」

L「あ、なんか長くなりそうだから、そういうのいらない。えっと、2位はね、『素直さ』」

A「あぁ、それは...確かに。自分の感情とか欲求に素直だよね。裏を返せば自分勝手で我慢ができないっていうことだから、周りはすごい迷惑してるけど」

L「逆リフレーミングすんな」

A「...1位は?」

L「『愛嬌』」

A「WWWWWW」

L「...なに笑ってんだよ」

A「...『愛嬌』ねw あると思うw 動物園の猿って愛嬌あるだろ。それと全くおんなじ。それにしても才能が『単純』と『滑稽』って...君の長所は『ばか』だっていうことだね」

L「いや、それ短所だろ」