異彩を放つ関西の不動産会社、「絶対王者」大京の変化… 業界事情が透けるランキング発表


 2月20日、不動産経済研究所調べの新築マンション供給戸数の売り主・事業主別ランキングが発表された。

 2019年に全国で最も多くの新築マンションを分譲したのは住友不動産で、全国の供給戸数5690戸だった。

 以下、2位プレサンスコーポレーション(全国で5305戸)、3位野村不動産(同3941戸)、4位三菱地所レジデンス(同3365戸)、5位三井不動産レジデンシャル(同2365戸)と続く。

 住友不動産は、6年連続の日本一だ。

 「連続日本一」の不動産会社として思い出すのが、1978年から28年連続マンション供給戸数日本一を記録した大京。かつて、日本では「マンションをたくさん売る不動産会社といえば、ライオンズマンションの大京」という時代があった。その大京は、昨年の全国供給戸数が1269戸で13位となり、ベスト10にも入らなかった。が、だからといって、大京が落ちぶれた、というわけではない。

 大京は10数年前に連続日本一の座を降りたあたりから、グループとしてマンション管理業務に主力を移行。新築マンション分譲は数を絞り、大規模マンションも減少した。現在のライオンズマンションは、数量限定で建物の質を高める方向に向いている。しかし、分譲戸数が少なく、中規模、小規模のマンションが多いため、そのよさがあまり知られていない。

 思い返せば、連続日本一の座を守ろうとした時代の大京は他不動産会社がつくったマンションを一棟買いし、ライオンズマンションの名前をつけて売ったケースもあった。そのなかに質の低い建物も含まれていたため、「ライオンズマンション」の評価は必ずしも高くなかった。

 供給戸数が減り、大京の名前が目立たなくなった今のほうが、モノはよい。マンション供給戸数ランキングからは、そんな歴史も浮かんでくる。

大手のなか、存在感示す大阪の不動産会社
 大京がマンション供給戸数日本一の座を降りた後、野村不動産、三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャルが日本一の座に輝いたこともあり、今回の全国ランキングでもそれぞれ3位、4位、5位となっている。これは、大手不動産会社が安定して新築マンションを供給し続けていることの証拠といえそうだ。

 その大手のなか、異彩を放つのが、プレサンスコーポレーション。大阪に本拠を置く不動産会社であるため首都圏での知名度は低い。実際、今回の調査でも全国で5305戸供給したうち、首都圏での供給戸数は147戸だけ。大半の3825戸は近畿圏での供給であるため、首都圏で馴染みが薄いのは当然だろう。

 付け加えると、同調査の供給戸数は首都圏と近畿圏でカウント方法が異なり、首都圏では「ワンルームを含まず」なのだが、近畿圏は「ワンルームを含む」ことになっている。

 プレサンスコーポレーションは近畿圏でのワンルームマンション分譲が多く、それが住友不動産に肉薄する供給戸数第2位に輝いた理由のひとつと考えられる。

ランキングから浮かび上がる、元気のよい不動産会社
 首都圏での新築マンション供給戸数をみると、大手に混じって日鉄興和不動産(全国では13位)とタカラレーベン(全国では8位)が数多くの新築マンションを供給していることがわかる。首都圏での供給戸数は、それぞれ1109戸と531戸だ。

 この2社は、現場取材をしていても、元気のよさを感じる不動産会社である。そして、2社が分譲するマンションは、割安感を感じることが多い。だからこそ、供給戸数を伸ばしているのだろう。

 マンション供給戸数のランキングからは、日本一はどこか、だけでなく、不動産業界のいろいろな事情が透けてみえてくる。


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