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論理的シンキング

久しぶりにBと飲みに行った。


B「高校の時のさ、Mさん覚えている?」
突然どうした。ビールを片手にキョトンとする。
A「ああ、あのクラスのマドンナ的な存在だった人でしょ?」
文武両道の美人で笑顔がかわいい。クラスの男子人気一位でしたな。
B「そうそう」
A「Mさんがどうかしたの?」
B「あの人さ、就職決まったらしいね」

A「...なんで知ってんの?」
こいつMと連絡とるような仲だったっけ? 返答によっては今日で友情に終わりが訪れるが...
B「Twitterで知った」
A「...君は予想を裏切らないね!友よ!」
さすが俺の友。てか、おまえ監視してるのか?こえぇな。
B「...なんかイラつくな。まあ、で、MさんのTwitter見た?」
A「見てない。てかTwitterは絵師と漫画家のつぶやきしか見てない。なんで?」
B「おもしろいよ」
A「なにが?」
B「まあ見てみなよ」
まあ、そこまで言うなら...就活終わってはっちゃけまくってるとかかな?ナイトプールとか。ま、美人を見るのは目の保養...

『今日は反省点が多かったな!やっぱ〇〇さんからは学べることが多いな!クリティカルシンキングとロジカルシンキングしっかりして、ネクストアクションを決めないと!がんばる!』

A「おっふ...」
いかにもこいつが嫌いそうな文章。
B「やばくね?」
A「ま、まあ」
B「いや、行動してるのはすごいと思うしポジティブなのはいいことだと思うんだけどさ」
あーこれは嫌な予感。
B「ださくね?」
A「な、なにがかな?」
  Mさん、俺はあなたの味方ですよっ...
B「カタカナ英語おおすぎね?都知事みたいだよな」
  外でしてはいけない話。野球と政治と宗教。よし、逃げるか。

B「いやさ、おれ最近まで留学してたじゃん。一年間。それでこれにちょっと思うことがあってさ」
 あぁ留学マウントしたいのね。ならどうぞー
B「カタカナ英語多すぎて気持ち悪くね?いまはこれが普通なの?」
 あぁ発音がどうとか、だから日本はダメなんだとかか、これだから留学帰りのやつは...
A「まあ、ベンチャー企業とかが横文字使ってるイメージはあるな」
 俺はやさしいから少しくらい会話につきあってやるかぁ。(生温かい目)
B「ふーん」
  ふーんて。バカにしてんのかこんにゃろう。
B「ここまで横文字使うならさ、もう全部英語にした方が良くね?」
  おおぅその発想はなかった。
B「なんか無理に横文字にしてるかんじがあって分かりにくい」
  まあ、正直分かりにくいがみんなが英語できるわけではないしなぁ。
A「まあ、こういう横文字を使うのはグローバル化を意識してるからなんじゃない? 実際、日本企業の世界での業績は落ちてきているらしいし、すこしでも海外の要素を取り入れようとか。それだと横文字にしたほうが意識しやすいし」
  適当に言ったがわりと的を得ているような気がする。
B「いやさ、海外のビジネス書籍とかで紹介されている方法とかを指しているからそのままカタカナにした方が意味が伝わりやすいとか、意識しやすいとかは分かるよ」
  あぁそんな見方もあるのか。
A「じゃあいいやん。正直俺も、ん?て少しなったけど」
B「でも、日本語でそれに対応する言葉があるから日本語使えばいいじゃん。しかもそこまで難しい言葉じゃないじゃん」
  ...その通りだけども
B「確かに細かいニュアンスが違うとかならわかるよ。このニュアンスってことばもそうだけど。ネクストアクションてなんだよ」
...
A「つ、次にやることだろ」
B「それでいいじゃん」
  返す言葉がない。
B「日本語で代用が聞く言葉をさ、横文字にしてるってさ。日本語で考える能力が下がりそう」
A「いやさすがにそこまではないんじゃない?」
  逆に、その横文字を理解するために日本語力が総動員されそう。
B「まあ、考えすぎかもしれないけどさ、言語の表現って言語それぞれ細かい表現の仕方が違ったり、それぞれの奥深さがあると思うからさ。もうちょっと日本語大事にしてもいいんじゃないかって」
  こいつにしては意外と真面目に考えているんだなぁ。高校時代水泳の授業で女子だけ見たいからお前は視界に入ってくるなって言ってたやつと同じやつとは思えない。
B「あと、カタカナ英語、微妙に英語の発音と違ったりするからそれで分からなくなったりもありそう」
A「あ、そんなこともあるのか」
  正直あんま気にしたことなかったけど割と考えさせられるな。。

漫画とかアニメとかゲームは横文字多いしそれが、英語のテストでヒントになったりしたことあったし。一概には言えないだろうが。


A「まあ、確かに日本語しっかり使えたほうがかっこいい気はするな」

唐揚げをほおばるB。

B「なんか留学帰りで会話に英語混ざって、調子乗ってんなて言われて、それから喋るとき気を付けてたからちょっと気になった。あんま関係ないかもだけど」
A「まあ確かに留学帰りの大学生と聞くと、なんか海外かぶれてて、日本批判してるイメージだもんな。英語を会話に混ぜてきて鼻につくかんじ?みたいな。 あ、ごめ」
B「いいよお前は。でもそういうの嫌いなひと多いじゃん。俺もその気持ちは分かるけど。そのイメージのせいでさ、留学言ってましたって言っただけでも調子乗ってんな て言われるんだぜ?やってらんねぇよ。ほんと。なんなんだよあいつ」
  あれ、こいつ酔ってる?
B「あとエモいってなんだよ」
  インターネット老人会発足ぅ。
A「いや、エモーショナルだろ」
  英語やってたんだろおめぇ。
B「いや分かるけどさ。便利すぎじゃん。なんでもエモいって言えちゃうじゃん。JKのヤバいと同じようなもんじゃん。もうみんなJKじゃん」
  JKになれるもんならなりてぇよ。
A「まあ、感情が揺り動かされたらなんでもエモいだもんな」
B「一生懸命作った曲とかをエモいの一言ですませられたらいらつくじゃん」
A「うーん言われたのぉ?バンド組んでたっけぇ?」
  まるで実体験のように話しますねえ。
B「いや言われたことはないけど」
...
A「すいませんお冷ください」


~頭冷やそうのお時間~


B「まあただ単にこういう文章見るとイラっとくるよな」
おっとぉ? もうちょっと冷やすか?
B「こんな風に横文字混ぜたり、私日本語力低いって言ってるようなもんじゃん」
A「いや、お前さっきそのままカタカナにした方が意識しやすいとも...」
B「まあ、エモいとかよりはましだけどさ」
A「お前どんだけエモい嫌いなんだよ」
B「しかもこういうやつってなんか偉人の格言とかのっけてさ、私も真似しなくちゃ!とか書いちゃったり」
A「いいじゃん別に。かわいいは正義やで」
B「理解した気になってるだけだろ。自己啓発の本読んで、その気になってるのって大体このタイプの人間じゃん」
  止まらない愚痴。
A「Mさんに恨みでもあるのぉ?」
  学生時代に振られでもしたのかな?俺の記憶ではなかった気がするが...
B「いや別に。こんな感じの白い歯見せた笑顔が似合うモテて気遣いもできて就職決まってる美人なんて羨ましくともなんともない」
ぶつぶつとBは言いながら下を向いた。

はぁい、息を吸ってぇにっこり笑って言い放とう
A「それはただの嫉妬だクソ野郎」



誰のせいでもない。ただ、酒を飲まなきゃやってらんねぇなぁと。

世を憂うふり。
A「俺たち社会人なったらどうなるんだろうな」
グラスに一センチ残ったビールをぼーっと見つめる。

これでまだ学生。社会人になったらどうなってしまうんだろうか。

座った眼をこちらに向ける旧友が俺を指さす。
B「お前が俺に酒をおごれる」

A「ぶっ飛ばすぞこの野郎」
        


     まあ、気が向いたらビール一杯くらいはおごってやろう

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