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病院以前の精神疾患治療

私は現代のように医療が整い、病院や医療機関があちこちに点在する以前に、何らかの障害を持った人々がどのような生活し、治療を受けていたか?ということに以前から興味を持っていました。

私が通っていた高校の近くにハンセン氏病の療養所がありました。クラスメイトの一人が、その療養所の近辺では「鼻のない人がバスに乗ってくることとかあるよ」と言っていたのを覚えています。

私は一度だけその療養所の敷地内を歩いたことがあります。基本的に立ち入り禁止の区域ではありませんでした。

私の通っていた高校の近くは病院が多数林立していて、結核の研究もあったり、アルコール依存の方のための施設があったりと、医療の街でした。

精神科の病院もいくつかあったと記憶しています。

で、その精神科の病院以前は、どのように治療が行われていたのでしょう?

以前私は日本の精神疾患はどのように治療されてきたのか?という疑問を持ちネットで検索したことがあります。

今改めて検索してみると、現れたのは兵庫県にあるお寺。

大正から昭和にかけて、精神疾患のある人々の治療を行っていたそうです。
その方法は瀧治療、つまり瀧に打たれるという方法がメインだったようです。

直接瀧に打たれるのではなく、瀧のから竹を使って引いてきた水をうなじに用に当てていて、患者さんは裸の上に油紙で作られた雨合羽を着用していたそうです。打たれる体勢としては中腰が一番多く、脇にロウソクを立てて、そのロウソク燃え尽きるのまでの15分程度が、1回に打たれる時間。それを1日2回、だいたい10時と15時に行っていたそうです。

冬には雪も積もる地域なので、このお寺に関してフィールドワークをなさった方も、患者さんはつらかったのではないか?とも書いています。治療は冬ばかりではなかったでしょうけれど、寒い思いをした患者さんも多かったでしょうね。

嫌がる患者さんには付き添いの人がついて、瀧に打たれている間、その付き添いの人は般若心境を唱えていたとのこと。

で、治療効果はあったそうです。

こういうお寺があちこちにあったかどうかは分かりません。
ただ、精神疾患のある患者を幽閉したり隔離したりしてしまうわけではなかったようで、寒い中瀧に打たれるというところだけ切り取ると、残酷なようですが、そうとは言えないのではないのでしょうか?

現代の精神疾患は気質的なものの他、ストレス、人間関係等々色々言われますが、現代以前はきっと主従関係が今よりも強固で、それこそ嫁いびり、兄弟間での差別的な扱われ方、などなど今よりもっともっとストレスフルな状況の中で人々は生きていたのかもしれません。
人権に関していえば、今の方がよっぽど尊重され守られているような気がしてなりません。

単純に、かつてと現代を比較するつもりはありませんが、ちょっと考えさせられました。




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