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【随想】TVアニメ『オッドタクシー』木下麦/映画『ズートピア』リッチ・ムーア、バイロン・ハワード、ジャレド・ブッシュ

『オッドタクシー』は脚本が秀逸。
伏線やギミックがいやらしくない。
見事、鮮やかに回収していくので、美しさすらある。
伏線が無理矢理用意されたものではなく、エピソードとして無理がないのだ。
カタルシスはじゃっかん少なかったが、
エピソードの積み重ねの上にきちんとラストがある。
主人公の家の押し入れには何があるのか。
なぜ主人公は一度見た相手を忘れないのか。
あと、TVアニメ作品としてクリフハンガーがとてもうまい。
往年の海外ドラマのようだ。
ちょうど同じ頃に、テレビで『ズートピア』がやっていたので、これも観た。
同じ動物ものではあるが、趣は全然違った。
『ズートピア』の世界観は、『BEASTARS』に近い。
『ズートピア』の主人公の吹き替えは、上戸彩であったが、とても不思議な感じがした。
棒読みまでとは言わないが、感情を入れずに読んでいるのか、自動音声のようなよそよそしさがあった。
『オッドタクシー』の主人公の声にも、違和感があった。
なんか見た目と一致しないのだ。声が軽すぎるというか。
見た目もキャラもハードボイルドなのだから、もっと低い声の方がいいんじゃないかと思った。
と思ったら、Wikipediaにはこう書かれていた。
うーん、どうなんだろう。

主人公の小戸川宏の声には心が子供のまま大人になってしまった41歳という設定を踏まえ、花江夏樹が選ばれた。花江は当初41歳の主人公を演じるためにより低い声で挑んだが、監督から「そんなに無理して低くしなくていいですよ」と言われ、自然に無理なく出せる低さで演じた。

Wikipedia

『ズートピア』の方は、思ったよりシンプルな話で、『オッドタクシー』と比べると、用意された結末に向けて、予定調和に伏線が張られているように感じた。
映画のような2時間で1つの大きな物語の筋を追う作品では、大きなカタルシスに辿り着くために無駄がそぎ落とされているので予定調和になりやすい。
逆に、TVアニメのような10時間をかけて複数の筋(群像劇)を追う作品では、主役以外のサイドストーリーもしっかり描かれるので、予定調和感が少なくなり、その分カタルシスも小さくなるのではないか、なんてことを考えてみたりした。

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