【随想】Light My Fire

このところ
ウェザーリポートを毎日行っている
デビッドリンチが
自身のYoutubeチャンネルで
短編を公開した

「Fire (Pozar)」と題された作品

初出は2015年の作品らしいが

2019年
原宿GYRE GALLERYで開催された展覧会
「デヴィッド・リンチ精神的辺境の帝国」にもきていた

その時は、
部屋の中央に
ロストハイウェイに出てきたような
小屋が設営されていて

その中で
この「Fire (Pozar)」が
上映されていた

本当に小さな小さなミニシアターといった感じで
リンチイズムの粋を集めた
幾何模様と分厚いカーテンの部屋に
スクリーンで明りを灯すように
映画が始まる

Got a light?（火をもらえるか？）

別の話しだが
ツインピークスRETURNで
タバコの火がほしくて
KPJKのラジオブースを乗っ取り
メッセージを語っていった
ウッズマンという男

This is the water.
And This is the well.
Drink full and descend.
The horse is the white of the eyes.
And dark within.

このラジオを聞いた
リスナーが次々と卒倒する

そう、そんなウッズマンのような男が
火を灯すところから映画が始まる

おもちゃのモーラーのような生命体が
空に開いた太陽のような穴から出現
生命体の五感は目から世界へと飛び出し小屋と木は燃え上がる
真黒な種子が雨のように大地に降り注ぎ五穀豊穣
四肢を持ったツリーマンが大地を闊歩し始める

そんなストレイトストーリー？

20世紀少年という漫画の
血の大晦日で
主人公ケンヂの呼びかけを無視したことを後悔し、
ともだちによって支配された社会に
ひたすら北海道のラジオ局から
ケンヂの歌を流し続けるコンチこと今野裕一

それは
少年時代
ケンヂが学校の放送室を乗っ取り、
T・レックスの20センチュリー・ボーイをかけても、
世界が何も変わらなかったことを
時を越えて、
コンチというキャラクターの人生にのせて昇華していく
ケンヂ=浦沢直樹の想像力である

デビッドリンチの
Youtubeチャンネルを見ていると、
そんな独立放送局から一人発信する
コンチのようにも見えてくる

ラジオは、ラジオの前のあなた一人に語りかける
そして、ウッズマンのように
あなたのハートに火をつける