三宿縫

全ての街角に偏在する生き物

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マガジン

  • 神戸のほうへ

    神戸初心者がむやみやたらと海と山に囲まれた街を歩き回ります。有益なタウン情報は期待しないでください。。。

  • 地下鉄(メトロ)の車窓から

    東京を走る地下鉄をテーマに街について考えていきます。

最近の記事

Bo'ness and Kinneil Railway探訪記

 今回、機会あってスコットランドのBo’ness and Kinniel Railway(ボーネス・アンド・キニール・レイルウェイ)を訪れました。  イギリスといえば保存鉄道が盛んですが、こちらの鉄道はエディンバラやグラスゴーといった都市からも1時間弱でアクセスでき、且つ併設されたスコットランド鉄道博物館も内容が充実していることから、手軽で満足度も高くぜひ多くの人に訪れていただきたいスポットです。  この記事を読んで訪れる方がいることを願って。 1.はじめに1-1.Bo

    • 【kiamare突発台湾旅行記】阿里山森林鉄路に乗りに行こう!

      先日コロナ開け初めての海外旅行として台湾に向かいました。 目的は憧れだった阿里山(アーリーシャン)森林鉄路に乗りに行くこと。 日本からの観光客、特に鉄道マニアにも人気の路線ですが、 なかなか詳細を書いた記事が無かったので訪問記を書くことにしました。 ※2024年4月時点での情報です。 1.はじめに1-1.阿里山森林鉄路とは 台湾鉄路管理局の縦貫線と接続する嘉義(ジャーイー)から阿里山に至る森林鉄道。 もとは1912年に阿里山の木材を運び出すために開業しましたが、現在ではそ

      • 【神戸のほうへ/4】須磨浦公園の桜

        二連続須磨で申し訳ない。 先週までマフラーを巻いて出勤していたのが数日でこの春の陽気。 そして急かされるように街の花が咲きだした。 モクレンが咲き、続いて待ちに待った桜。 関西に来てから、お花見というと万博公園や鶴見緑地など なぜかずっと大阪に行っていた。 今年こそはおひざ元の神戸で桜を楽しみたいもの。 神戸の桜の名所について詳しくは知らないものの、 以前から山陽電車で通るたびに桜の花が目に入っていた須磨浦公園駅で降りてみた。 駅を降りるとそこは人、人、人。 どうやら

        • 【神戸のほうへ/3】須磨

          海とは襟を正していくものだ。 私は毎年夏に家族旅行で海水浴に出かける一族に生まれた。 だからこそ港町に、神戸に住んだからには気軽に不意にそして自然に海に行かなければならないのだ。 ある土曜日の朝、7時ころ。 外が晴れていることを確認し、須磨行きの各駅停車に揺られた。 海辺の街…というより港町の神戸では街中からふらっといけるところに海面こそあるものの、そこは港でありおいそれ海に近づくことはできない。 特に東へ行けば行くほど大規模な船が着く岸壁や工場が立ち並んでおり意外に海の

        Bo'ness and Kinneil Railway探訪記

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        • 神戸のほうへ
          4本
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          3本

        記事

          【神戸のほうへ/第1回】大倉山の森

          「学生さんですか」 先日自宅のワンルームにクーラーを修理に来た業者の方が帰り際に言った。 なるほど、言われてみれば大学進学と同時に始めた一人暮らしも10年を超えたものの その間に就職や度重なる転居があったくらいでライフスタイルに大きな変化はなかった。 平日は通勤電車にゆられて大学に行き21時くらいに部屋に帰っていた。就職後とほとんど変わらない。 そして休日は図書館に行く。それも変わらない。 それは身になる勉強の為でもなくただただお金をかけず快適に過ごせるからに他ならない。

          【神戸のほうへ/第1回】大倉山の森

          【神戸のほうへ/第0回】はじめに

          人の顔を覚えるのが苦手だった。 そこで初対面の人を覚えるときのコツようなものを会得した。 頭の中で地図を広げその地図の上のその人のゆかりのある土地(最寄り駅だったり初めて出会った場所だったり)にピンを立てて記憶するのだ。 それはたぶん昔から地図を見るのが好きだった自分だけにしか効果を発揮しない方法かもしれない。 大学に進学して上京するとこれまでとは比べ物にならないほどの人とつきあうことになるのだが、幼少期から部屋にあった関東全図のおかげでパンクすることもなくやや良好な人間関

          【神戸のほうへ/第0回】はじめに

          かつて私がゆるんだ街

          明大前に降り立った。名前の通りの学生街であり、私が大学1,2年生のころを過ごした街である。 駅の南西に古書店ができたそうだ。狭いガードを潜り抜けて、居酒屋が立ち並ぶ線路沿いの道を歩いていく。昔ながらの住宅街らしく、車が通り抜けるのも一苦労なんて道もしょっちゅうある。 母校を訪問した時、最初に去来するのは懐かしさだ。そして総じて懐かしさとは嬉しいものだ。忘れていた街の空気に、自分の体が順応し「馴染んで」いくのがわかる。しばらく足を運ばないうちに飲食店ずいぶん変わったが、自分

          かつて私がゆるんだ街

          伝統の誕生ーふるさと宮祭りの思い出ー

          宇都宮の夏といえば「ふるさと宮祭り」だ。 毎年8月の初めに開催される栃木県最大のイベントで多くの人が訪れる。 ここで強調したいのは「イベント」という点だ。この「祭り」は1976年に地元青年会議所が始めたイベントであって特に由緒正しい歴史があるわけではない。 一応御神輿も出るが、ヨサコイやライブステージ、和太鼓の演奏など内容的には地方のよくあるまちおこしイベントのごった煮を思い浮かべてもらった方が近いかもしれない。 宇都宮市にはほかに四季に合わせて天王祭や春渡祭(おたり

          伝統の誕生ーふるさと宮祭りの思い出ー

          「○○せよ。」という建築―「インポッシブル・アーキテクチャー―もうひとつの建築展―」とJR御茶ノ水駅

          埼玉県立近代美術館で開催されている「インポッシブル・アーキテクチャー―もうひとつの建築展―」に行ってきた。 会場は北浦和。 交差点のミスタードーナツが撤収工事をしている。 埼玉大学の最寄りだし、大学生が長居してドーナツ端から全部食べてたんだろうなあ。いいなあ。 展示されている作品は実現性というくびきから解放されたためかコンセプチュアルであったりメッセージが強かったりしていてとても挑発的。 題材は公共施設や都市計画が多く、通常そうした大規模な施設に見られがちな多様な利用者や

          「○○せよ。」という建築―「インポッシブル・アーキテクチャー―もうひとつの建築展―」とJR御茶ノ水駅

          【告知】えのこくごーオリオン通り読書会ー第2回森鴎外『舞姫』

          細々と読書会を開催しています。高校の教科書でおなじみの小説をもう一度読んだり脚注の問題を解いたり。ぜひお越しください。 ■日時:2019年1月27日(日)15:00~17:00 ■場所:栃木県宇都宮市江野町9-8 cafe ink blue 2階 ■料金:300円+1ドリンク ■申し込み:eno56kusa@gmail.comまで ■テーマ:森鴎外『舞姫』 ※ポスターの銅像はロンドンSt Pancras駅にあるPaul Day作『The lovers』という銅像。

          【告知】えのこくごーオリオン通り読書会ー第2回森鴎外『舞姫』

          「アナウサギを追いかけて」旧博物館動物園駅公開

          話題の旧博物館動物園駅の公開に行ってきた。 2度整理券をもらい損ねているので3度目の挑戦である。 このイベントは「施設公開」と「インスタレーション」の2側面から捉える必要がある。前者に関しては長年待ち望まれていたことであり駅施設の歴史的価値の高さはここに改めて書く必要もないため本稿では後者にスポットライトを当てる。 インスタレーションは演出を羊屋白玉氏、美術をサカタアキコ氏が手掛けられたもの。また地下に配置される骨格模型は国立科学博物館の森健人研究員が担当されている。

          「アナウサギを追いかけて」旧博物館動物園駅公開

          日比谷線ーホームタウンエクスプレスー【地下鉄の車窓からvol.3】

          東京メトロ日比谷線は下町の北千住から都心の南東を回って中目黒に至る路線である。どこか銀座線とたどるルートが似ている気がする。シンボルカラーはシルバー。 さて日比谷線のこれまでに取り上げた銀座線や丸の内線との大きな違いは、端の北千住から東武線を通って埼玉県の北東部の東武動物公園や南栗橋まで電車が直接走り抜けていくことだろう。 先の2路線は都心の街々をこまめに回る都市内交通の色味が強かったが、日比谷線から後の路線は郊外に伸びる鉄道からの乗客をダイレクトに都心もしくは都内の点対

          日比谷線ーホームタウンエクスプレスー【地下鉄の車窓からvol.3】

          丸の内線ーワープドライブの綻びー【地下鉄の車窓からvol.2】

          東京メトロ丸の内線は池袋を起点に新宿まで都心をUの字に回る。その後中野坂上で方南町まで伸びる支線が分かれたのちに終点荻窪へ到達する。他の路線がほぼ直線上に都心を貫いているのに対して大回りのルートをとっているのが特徴だ。シンボルカラーは赤。 特に丸の内線に乗っていて気になるのは何度か地上に顔を出すことだ。後楽園のあたりではずいぶん長く地上を走っているし、御茶ノ水では都心に珍しい谷を渡る。ぐるり回って四ツ谷では迎賓館を横目にもう一度外濠の谷で顔を出す。 これは丸の内線の開業時

          丸の内線ーワープドライブの綻びー【地下鉄の車窓からvol.2】

          銀座線―やがて歴史に変わるもの―【地下鉄の車窓からvol.1】

          東京メトロ銀座線は浅草を起点に上野、日本橋、銀座、新橋、赤坂見附と皇居東側の繁華街を回って渋谷に至る地下鉄だ。シンボルカラーはオレンジ。日本史の教科書でも有名な杉浦非水のポスターで「東洋唯一の地下鉄道」と謳われた通り、アジアでも最も歴史のある地下鉄路線でもある。 それだけ歴史があるからか銀座線には「痕跡」がそこかしこにある。 もっとも有名なのは新橋駅付近でトンネルの奥に明かりが漏れている旧新橋駅。浅草と渋谷から延伸を重ねてきた銀座線の前身、東京地下鉄道と東京高速鉄道はちょ

          銀座線―やがて歴史に変わるもの―【地下鉄の車窓からvol.1】