とりあえず、チワワ師匠っ!
離職しての転職活動中、地味に心を削られるのが“無反応待機期間”だ。
書類も面接も、脈ナシなら割とすぐにお祈りメールが来るのだが、それすら来ない、連絡がパタリと止む待ち期間。当落が読めず、落ち着かない。
なにより単純に、外からの連絡がないことの“社会から忘れられている感”にジワジワやられる。
まさに今がその期間で、朝、家族を送り出したあと、ピコリともしないメールボックスを見るともなく見ていた。
はずが……
いつのまにか二度寝していた。
目覚めて、お昼のニュースがやっていた時の罪悪感たるや、
(うわっ…… 何にもしてない……
マジで……)
なのだ。
薄暗い気持ちになりつつ、午後の巻き返しを画策するが、まっっったく、驚くくらい、気が乗らない。
(あぁ、ダメだ、諦めよう……)
ご飯がわりにチョコレートアイスを食べる。
ついでに、昨日のオクラ納豆も食べる。
どうせだから、もう、今日は遊んで過ごそうと、本を出してきて、窓辺に寝転ぶ。
本を読んで遊び過ごすと決めたはずなのに、少し読んでは、
(やっぱり、掃除機くらいはかけよう)
とか、
(アレだけは調べておくか……)
とか、
(読むと決めたんだから、読み切らないと)
とか、
諦め切れず“なんかやった感”を出そうとしてしまう。つかれる。
そんななか、文庫を1冊読み終え、
(買い物くらいは行っておこう……)
と、出かけることにした。
涼しくなった夕方の街は、お散歩中のワンコたちであふれている。
道の少し先で、2組のワンコ連れが挨拶をかわしている。
「いやぁ〜帰らなきゃいけないのよ」
白チワワを連れた飼い主さんの話し声。
「そうなんですか……」
「そうなのよー。この後ねぇ〜 」
応じるシバ犬の飼い主さんの話を待てずに話し出す、白チワワ・ママ。
「帰らなきゃ」と言っていたのに、急がなくて大丈夫? と思った瞬間……
ぽてん。
お腹を見せて寝そべる白チワワ。
まるで、
どーせウチのママ、ココから長いんだもん。
ダラダラした者勝ちよ。
とでも言っているような、見事な寝転がりっぷり!
潔い!!
さっきまでの、だらけることにさえ振り切れずにいた自分を思い返し、心の中で「チワワ師匠!」と叫んでしまった。
家へ帰る。
とりあえず、チワワ師匠のおかげで今日もそんなに悪い1日ではない気がして、調子にのって夕飯の支度をしながら黒豆せんべいを齧ってしまった。
明日は潔く、楽しく過ごそっ。