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とりあえず、夏の宿題ラプソディ

8月も中旬に入り、子は複数あるレポート課題の仕上げに勤しんでいる。

放っておいてもいいのだが、つい、テーマや構成をどうするつもりなのかを聞き出してしまう。
自分が書くことが好きな分、せっかく書くなら、子にも楽しみつつ、しっかり伝わる文章を書いてほしいのだ。

今年は近隣の自然保護区でフィールドワークっぽいことをするというので、同行し、一緒に観察したり、スタッフの方に質問しているのをうしろから盗み聞きしたりした(別で、自分も質問する。知ラナイコト、知ル、楽シイ)。


こんなことをしていると、
自分もまた、夏休みのレポートや作文を書きたいのか……?
と、思えてくるが、


夏休みの宿題の代表、感想文はニガテだ。

「大好き!」と思える本ほど、書いても書いても、自分の頭やこころの中にあるものをきちんと言葉にできている気がしない。まったくしない。自分の足りなさを思い知らされて、むーん……とした気分を味わうハメになる。

感想文など、書きたくない!


自由研究レポートはどうだろうか。

小2の時、母に言われてアリの研究をすることにした。巣の近くにフルーツキャンディや、クッキー、野菜、お煎餅などを設置していると、

「これも置きな。」

と、鶏肉の切れ端を渡される。

え? ナマ肉?

「なんで?」

わたしは信じていた。
物語に出てくるアリたちは、いつだって甘いお菓子を食べていた。
きっとアリたちは、この実験でもフルーツキャンディに夢中なはずだ! 


小一時間ほどして、実験を見に行く。



「ぅげっ!」


目に飛び込んできたのは、

ナマ肉♡  なアリたちだった。

キャンディなど、ガン無視である。


今考えれば、子どもの頃だって、アリが昆虫の死骸を巣に持ち帰るのを見ていたはずだ。そういうものが好きなのだから、自然の中にない砂糖などより、肉に群がって当然なのだが……
当時のわたしは認めたくなかった。


アリ、なんか、かわいくないな……。

土をかぶり、溶けゆく飴玉を見ながら、画用紙に「アリは、にくが1ばんすきだった」と書きこんだ。

以降、なんとなく自由研究には乗り気ではなくなった。


しかも、そもそも飽きっぽいのだ。今また根気強く実験経過を観察して、まとめるなんてこと、できる気がしない。


というわけで、外野からやいやい言うのが関の山である。



さて、夏の宿題の思い出が、もうひとつある。

数年前、図書館に行くと困った様子の少年がいた。
あまりに困っている様子なので声をかけると、

「読書感想文、書かなきゃいけない。
 感想文の本、探している」

と、泣きそうな顔で言う。

おそらく、課題図書を探しているのだと思うが……図書館にある課題図書が、この時期、棚にあるはずがない。

だって、今日は8月30日だもの

「感想文の本は借りられちゃっているけど、
 感想文って、ちがう本で書いても
 いいんだよ! 大丈夫! 
 いつもどんな本読んでいるの?」

「……よまない」

「大丈夫。そしたら、どんなことして
 遊ぶのが好き? 好きなことが
 書いてある本を探そうよ」

「野球」というので、少年野球チームなどが出てくる物語や選手の伝記なども、見せてみる。

が、浮かない顔である。

「あと2日しか休みない……
 書けない……」


テーブルに手をつき、目の前でうなだれる少年。

辞書の“絶望”の項目に添えられそうなくらい、見事な絶望っぷりだ。

「どうしよう……?」

絶望少年がたずねる。

「とにかく、書こう。
 どんなことも始めなければ、
 終わらないよ。
 できないなんて言わないで、
 鉛筆を持って書きな!
 書けるから」

「えぇーっ?」


その後、少年は渋々1冊借りて帰っていった。

果たして書けたのだろうか?

偶然会った少年だ。
どうなったかは、わからない。




とりあえず、今日は台風の影響を受ける前に早めに帰った。
予定外の監視役がいることで、子のレポートはかどったようだ。
夏の宿題と向き合うみんな、がんばれ!


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