とりあえず、ゾンビな服の思い出
自分史上はじめて、毎日スーツを着て仕事をしている。
職種は同じでも、今までの会社はオフィスカジュアルがすぎた。
なんでもありの状態だった。
そこから、ひさしぶりのきちんと服……
決まった形…… 制服みたい……
学生時代の制服の思い出が……
ゾンビのようによみがえってしまった……
中学の制服採寸時。
洋品店のマダムは言う。
「これから大きくなるんだから、今はちょっとブカブカでいいのよ〜」
一番小さいサイズなのにブカブカ……
まくってベルトをしないと、
だら〜ん
とずり落ちる。
だら〜ん ずる〜ん。
洋品店のマダムの予言虚しく、3年間ブカブカだった。
高校に進学。
ミニスカ×ルーズソックスしか勝たん時代。
一番小さいサイズを試着。
「大きくなるんだから〜」
デジャヴ・ナ・マダム。
まぁ、想定の範囲内ではあるので、おとなしく3回まくってスカート丈を調整することにした。
ただ、ひとつ問題があった。
“スカートは、まくったりせずに正しく着る”
というような学校の決まりだ。
しかも、当時はまだ、持ち物検査や制服検査もあった。
ある日、唐突にスカート丈のチェックがはじまる。
「あれ? なんだか少しスカートが短いんじゃない」
先生の目が鋭く光り、ベストの裾をめくって見せるように指示が出る。
仕方ない。
めくると、ウエストでまくった折り目。
「ダメだよ。戻しなさい」
仕方ない。
元に戻す。
1回… 2回…… 3回……
だら〜ん ずる〜ん
床につかんばかりのスカート。
「……。
わかった……。
あなたは……
2回までなら、まくっていい。
まくってください!」
あまりのずるずるゾンビスカートに、
特例が発布されたのだった。
さすがにスーツは、
「これから大きくなるから〜」
とは言われずに購入できた。
ただ、やはり少し、サイズがあっていないのだ。でも、とりあえず、着ている。
はあ。まだダルダルゾンビのままだ……
とりあえず、パピコをパキろ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?