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注射をした後の腕は揉んどいた方が良いのか 2022年3月26日

予防注射の後に聞いたお医者さんの言葉について考えたい。

少し前、かかりつけ医のもとで予防接種を受けてきた。大して痛くなかったけれど、刺された瞬間出血して、一週間後まで黄色いアザみたいなのが残ってしまった。お医者さんこんにゃろーと思った。こんなこと普段は無かったので、自分の肌の調子が悪かっただけかもしれない。でもお医者さんこんにゃろーと思った。今は治っている。

予防接種をしながらふと思い出したのだけれど、注射の後に「(刺した部分を)揉んどいてください」と言うお医者さんがいる。反対に「揉まないでおいてください」と言われることもある。どちらにせよ、注射をした部分に関して何も言及しない医者というのは少ないような気がする。いつも何かしら言われる。

気になるのが、前者と後者の指示の意味が真逆ということだ。揉めとも揉むなとも、自分は両方言われたことがある。それぞれ別の先生に。どちらも専門的な知識を豊富に蓄えた、立派なお医者様。そこから頂ける、真逆の指示。どっちが正しいのこれ。どうすればいいの。

自分のこれまでの経験上、予防接種の後に「針を打った部位の周りは触ったり揉んだりしないように」と言うお医者さんと、「皮膚が硬くならないようによく揉んでおくように」と言うお医者さんがいるのだ(少なくとも自分の周りには…)。素人の立場として、こういう専門的な話に関しては医学に精通した人の言う通りにするのが最善だと思っている。なので医者によって言われることが異なっていても、私は臨機応変に毎回言われた通りの対処をしていた。揉むなと言われたら揉まず、揉んどけと言われたら揉んどったわけだ。
矛盾を自覚しながら指示を聞くだけの自分はさながら医者の奴隷のようで、そう考えると少々危険な香りがしないでもない。それでも然程悲観していなかったのは、言ってしまえば正味どうでもいいことだったからである。身も蓋もないけれど、揉もうが揉まなかろうが、それで何か大きな症状が出るわけでもない。別にどうでも良いといえばそれまでだった。
第一どちらの指示もプロから言われるとなんか正しい気がしてしまうのだ。素朴概念の範囲でしか考えられていないけれど、「揉みほぐす」という言葉があるように、揉んでおけば皮膚のしこりは消せるような気がするし、一方で「あまり弄らないように」という指示だって「針ぶっ刺したところを触るなんて、良くなさそう」と納得できる。そんな気がする。

…ただ、もう少し考えていてふと思った。
「本当にどうでも良いなら、わざわざ言及する必要無くない?」と。注射後の皮膚マッサージがマジで医学的にどうでも良いことならば、注射針を引っこ抜いて「はい、おしまいです~」で良いじゃないか。毎回毎回「あ、刺した部位は…」と言及するということは、やっぱり何か意味のある行為なんじゃないだろうか。

先述の通り、今後特に答えが分からなくても別にいいんだけれど、何が正しいのか分からず、なんとなくずっと気になっていた。医療って、心理や文学とも少し違って多くの事にきっと正解があるのだろうし、これに関しては揉むか揉まないか、YesとNoの二択なんだから当然どちらかが正解の筈なのに、なんでこんな正反対な2択に分かれるんだろう、と思っていたわけだ。思ってる以上に難しい問題なのかな。

理由として考えられるのは、お医者さんの世代によって注射後の対応に関する教わり方が違った、とかだろうか。記憶が正しければだけど、幼少期には「揉んでおけ」と言われたことが多く、ここ最近は「触らないで」と言われることが多いような気がする。やはり時代の変化に伴い、医療の常識も変化したのだろうか。医学に関してそういうことは珍しくないと聞く。傷から出る体液は実は拭かない方が良いとか、そういうやつだ。

それとも小さい子は揉んでおいた方が良い、大人は大丈夫、とかそういう可能性もあるか…?いや、幼少期お母さんと注射に行った時、母も自分で揃って「揉んどいてね」と言われていたから、多分それは違う。
話がそれるけれど、親が注射を打たれる場面ってなんか目をそらしちゃってたな。親が苦しむ姿を見たくなかったのか知らないけれど、「パパやママだって痛いはず。我慢できずに泣いてしまったら自分はどうしよう…」とか、そんなことを思いながら診察室のちび椅子でずっと目をつぶっていた記憶がある。そんな不安を察してか、注射中は母も父も小声で「いたたた~」なんて言いながら自分の方を向いて笑ってくれていた。親心だろう。薄目に見えたそんな光景を今更ふと思い出して、なんだか感傷に浸ってしまった。
自分が打つ時は「いつ痛いのが来るか」を分かっておきたいからと、針が刺さる瞬間から抜ける瞬間までずっと凝視しているっていうのに…


……最後に、今回の予防接種後にはどう言われたのかだけ書いておく。今回のお医者さんにも…「はい、おしまいです」の後があった。そして内容は…

「注射後は、あまり触らないでね👨‍⚕️」

つまり、「揉むな派」のお医者さんだった。モムナ派。カタカナにすると世界史の用語みたい。やはり今はモムナ派が主流なのか。あと過去1腫れている。予防注射の中身は年によって成分配合の割合等が違うらしいし色々原因はあるんだろうけど、こんなに腫れたのは初めてだった。指示通り腕を揉まなかったことは、この腫れと何か関係あるんだろうか。
注射の後の腕をどうするか。どうでもいいと何度も思いながら、何だかんだで今日も気になっている。


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