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百合の間に挟まるべきでないたった一つの明確な理由

「銃を置け」

 突きつけられた銃口の硬さを感じながら、私は言われた通りに拳銃を床に落とした。
 カツン、と硬い音を立てて落ちたそれを、男は足で踏みつけた。

「どこに雇われた異能者だ?」

 男の問いに、私は静かに笑う。

「お前、私が誰か知らないのか?」

 その問いに男は苛立たしげに銃口を押し付けることで答えた。私は話題を変える。

「お前、いい銃を使ってるよな。M1911SC。スマートピストルとしちゃ癖のない、真面目な優等生タイプ。それに比べて私のはさ」

 男はかすかに目を動かし、手に持った銃と踏みつけた銃を見比べる。

「M450B-Link。高威力で扱いづらい不良娘。そいつとは正反対だ」
「何を言って……」

 私は笑う。

「分からないか? お前は今、百合の間に居る」

 男が叫ぶ。もう遅い。

「常軌を逸した百合理論、貴様!」

 続く言葉は無粋な男が潰れる音でかき消された。

「覚えておきな。『百合の間に挟まった奴を潰す能力者が居る』ってさ」
【続く】

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