「円高貧乏」「円安金持ち」
■円安だからといって憂慮する必要はない
実は、「円安になるとGDPは上がる」。 「実は」と書いたが、これは世界の常識中の常識だ。日本以外では「実は」でも何でもない。
■国にとっても「良い話」のはずなのに
GDPとは「国内総生産」のことだ。 一定期間に国内で生み出されたモノ、またはサービスの付加価値を合計したもので、国の経済状況を表す指標とされている。 GDPが前年と比べてどれだけの割合で伸びたかによって、経済成長率が分かる。 要するに、国はGDPを伸ばしたいと思っている……はずなのだ。 そして、円安になるだけでGDPは上がるのだから、どう考えても国にとって悪い話ではない。 円安になるだけでGDPは伸びる。 だいたい10%円安になると、成長率は0.5~1%上がる。 それにより給与も上がる。 1ドル=110円だったドル円レートが130円になれば、2割くらいの円安となるが、このときGDPも2%くらい伸びる。 逆に10%円高になると、0.5~1%、成長率は下がる。
■円安を悪く言うのは日本だけ
自国通貨安、つまり円安を悪く言うのは、世界広しといえど日本くらいだ。 ほかのどんな国でも、自国通貨安は基本的に受け入れられる。「悪だ」と騒ぐ人はいない。 ただ、自国通貨安は近隣窮乏化につながる――つまり、周りの国のGDPを少し下げてしまうため、結果的に、自国ばかりが良い調子を保つことになり、近隣国から批判を受けることはある。 「お前たちだけ得してずるいぞ!」というわけだ。 しかし、国内から、「歓迎すべき円安だ」「金融緩和を継続すべし」という声が上がってくることは、ほぼない。 それどころか、「円安を放置する政府は、けしからん」「金融緩和を続けているのは日本だけだ。早く引き締めを」の大合唱だ。 円安になればGDPが増える。景気が良くなれば税収も増える。国にとっても良いことずくめだろう。 それなのに、なぜか財務省も、金融庁も、日銀もそこに触れない。どの媒体を見ても、どこにも書かれていない。
最後までお読み頂きありがとうございます。
空からサボテン
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?