見出し画像

「すぐに辞めるかも」で挑戦するのってどうなの?|第一志望を半年で辞めた話④

・①の記事はこちら↓

・前回の記事はこちら↓

わたしは前回の記事で、
「憧れ」の持つ負の面にもきちんと目を向けて向き合った上で、
就職先を検討することが望ましいという意見を述べた。

しかし、記事の最後に書いたように、
向き合えた人には向き合えたがゆえに、
「ある程度短い期間で辞めることになるかもしれないけど、挑戦する」
ということに対して、悩みや葛藤が生まれるのではないかと思う。

今回は、この選択を取ることに関して、
多角的な視点から論じていく。

◆「憧れの消化不良」ほど残るものはない

だから、挑戦したらいい。

これがこの記事における、わたしの持論の方向性である。

憧れの持つ負の面にも目を向けた上で、
その就職先に行きたい、選考を受けたいと思ったなら、
「もしかしたらすぐに辞めることになってしまうかも」
という心配があることを理由に挑戦を諦める必要はないと思う。

「やらぬ後悔よりやる後悔」という言葉がある。

わたしが初めてこのフレーズを聞いたのは小学生のときで、
使われていたテレビCMの場面とともに、
いまでも強く印象に残っている。

この名言の教えがすべてのことに当てはまるとは思わないが、
「なにかに挑戦するかどうか」という命題については、
おおむね「やる後悔」をとるのがベターだと考えている。

もし憧れの職場への就職にチャレンジしていて、
実際に入れていたら、
辛いことや合わないところもあったかもしれないけど、
それが些末なことに感じるほど、
やりがいがあって、キラキラして、
充実した毎日を送っていたかも……

そういった後悔は、ずっと、
場合によっては、死ぬまで続くのではないだろうか。

だからわたしは、
「挑戦する」ことを選ぶ人を応援したい。

ということで、ここからは、
辞めることになるかもしれない職場への就職に挑戦する際の、
懸念点について考えていこうと思う。

◆すぐ辞めたら職場に迷惑か

結論から言うと、わたしは、
「状況や行動次第では、そこまで迷惑ではない」
と考える。

もちろん、どのような状況だとしても、
長く職場に居続けることを期待して選んでくださった採用担当や、
自分が受かった代わりに入れなかった1人のことを思えば、
早く辞めてしまうことに対して、とても申し訳ない気持ちになる。

しかし、どんな組織でもある程度の割合の人は辞めて行く。

各職場に存在する、「短期離職をするグループ」と「そうでないグループ」のうち、
自分は前者に属する人だった、
と客観的に状況を捉えなおすと、
「早く辞めたら自分だけが大きな迷惑をかけてしまう」
という考えではなくなる。

もともと、ある程度の人数は辞めることは想定した上で採用を行っているし、
予定よりも多くの人が辞めてしまったのなら、
その分中途採用を行ったり、新卒の採用人数を増やしたりすれば良い。

コストをかけて教育を行ってもらったのに、
組織に還元する前に辞めてしまうのは申し訳ない、という観点もある。

短期離職にはそういう側面も確かにあるが、
教育という投資によって成長したところを、
世の中のどこかで役立たせることができれば、
その職場にとってはマイナスであったとしても、社会的な損失とはならない。

また、自分が辞める組織に焦点を充てて考えても、
投資分のリターンを得られる前に去る人もいる代わりに、
他のところで投資された人材を中途で採ることができる。

そこは持ちつ持たれつの関係なので、
あまり思い悩む必要はないかと思う。

このように、ひとつひとつ紐解いていくと、
短期離職はそこまで「迷惑なこと」ではないように思える、
というのがわたしの考えだ。

しかし、部署異動や繁忙期のタイミングを考慮するとか、
引き継ぎをしっかり行うとか、
そういったことを徹底しないと、
途端に「とても迷惑なこと」となってしまう。

(わたしは、引き継ぎには時間をかけたものの、
事情があり中途半端かつ多忙な時期に辞めてしまったので、
どうしても職場に大きな迷惑をかけてしまった。
それに関しては、ただただ申し訳ないと思っている。)

短い期間で仕事を辞める、ということ自体はそこまで迷惑ではないが、
それによって部署に穴を開けたり仕事が回らなくなったりするケースはとても迷惑。

だから、短期離職するなら状況や行動に配慮するべき。

これがわたしの意見なので、
「短い間で仕事を辞めてしまうのはどのような場合でも迷惑だから、
そういう可能性のある職場への挑戦はしないほうがいい」
という見解は持っておらず、
短期離職を懸念して「挑戦しない」という選択肢をとる必要はないと考えている。

◆短期離職はキャリア形成上不利か・新卒カードを他の職に使うべきか

また、短い期間で仕事を辞めることについて、
このような観点もあるかと思う。

これに関しては本当にケースバイケースなので、
一概に結論のようなものを言うことはできない。

新卒カードはとても大切だし、
短期離職に良くない印象を持つ職場もあるだろう。

しかし、第二新卒を新卒とほぼ変わらない形で扱う組織もあるし、
スキルのある中途を積極的に採りたいと考えている企業もある。

短い間で辞めてしまう可能性があるのであれば、
その次の職場についても想定してリサーチし、実現可能性の高そうな道筋を想像しておくか、
辞めてしまうことになったらそのあとはある程度妥協しよう、と腹をくくるか、
どちらかの方略は取った上で挑戦するのが安心だと思う。

◆最後に

このように、わたしは短期離職について、
状況を問わず絶対的に避けるべきものだとは思っていない。

わたしと同じように考えて、
「短い間で辞めるかもしれないけれど、挑戦する」を選択した人へ、
記事の最後、そして連載の最後に、メッセージを送る。

わたしが伝えたいことは、次の2つだ。

1つは、もし、憧れの職場から内定をもらえたとしたら、
それ以降、念のため自分が短期離職する可能性も踏まえた上で、
行動を選択していくことが望ましいということ。

例えば、外部の人との縁も大切にする、
転職した際に厳しくなるようなお金の使い方をしない
(散財しない、厳しめのローンを組まない等)
といったようなことは、
もしかしたら離職するかもしれないと思うなら、
必ず心がけるべきだろう。

そしてもう1つは、憧れの職場を目指す人が、
短期離職の可能性を少しでも考えていることは、強い、ということ。

就活がうまく行かなかったとしても、
「入ったら辞めていたかも」とコーピングに使えば立ち直りやすいし、
働き始めてから無理だと思ったとしても、
想定外ではないため絶望せずに立て直しやすい。

この2つのメッセージをもって、
本記事、そして本連載は終わりとさせていただく。

-----------------------------------------------
最後まで読んでくださりありがとうございます。

どのような選択を取る人にも、取ってきた人にも、
なるほどなと少しでも思ってもらえたらすごく嬉しいです。

これからもさまざまなテーマで記事を書いていきますので、
そちらもぜひ読んでいただけたらと思います。

以上、鈴本紗恵の、
『第一志望を半年で辞めた話』でした!

この発信活動において、編集外注などの活動資金が足りておらず(3月末に貯金残高5桁になりそうです)、「本当は人に頼みたいけれど自給自足でやっている」というものがとても多いです。 100円でもすごくありがたいので、お心遣いいただけると幸いです。