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本の記録:人類学と民族誌およびその周辺

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人類学に関する本の記録です。民族誌と理論書、論文等々読んだものから記録をつけています。勉強中ですので、気になったところはコメントください。
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#人類学

【本の記録】松村圭一郎『はみだしの人類学 ともに生きる方法』

先日、図書館の蔵書検索で「人類学」といれると、一番最初に出てきたのが『はみだしの人類学』だった。2020年春に出版されたばかりの本だし、「人類学」を冠しているし、人気のシリーズでもあるから蔵書検索もビビッときたのだろう。しかし、その日はすでに[貸し出し中]だったため、予約をして後日借りた。 人類学への入門書、というよりは、導入本だ。これを読んでから、気になったら巻末のブックガイドを参照して入門書→教科書→→→と読み進めるといい。 読んで欲しい対象としては、まずは高校生。文

【本の記録】橋本栄莉 『エ・クウォス 南スーダン・ヌエル社会における予言と受難の民族誌』①

『エ・クウォス』第1回は本書の概要を紹介する。来週は第2回とし詳細な内容、第3回は全体のまとめとコメント、参照文献リストにしようと思っている。ざっと読んでまとめれば良かったのかもしれないが、1週間で最後まで目を通すことができなかった。 では、行ってみよう! ===== 概要 本書は、南スーダンのヌエル社会における予言をめぐる信念について、ヌエルの人びとの歴史・日常生活・出来事の3つの場面から検討している。100年以上も前にされた予言とその信念が、どのようにヌエルの人びと

【本の記録】フレデリック・ケック 『流感世界 パンデミックは神話か?』

本を読み終えたので、記憶が新しいうちに記録を。 読んでいた本は、フレデリック・ケックの『流感世界』だ。 ======= 著者紹介:フレデリック・ケック 1974年生まれ。フランスの人類学者、哲学史家。現在は、フランス国立科学研究センター(CNRS)に所属し、パリのケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館で研究部門を指導している。レヴィ=ストロースに関する研究を進め、プレイヤード叢書『レヴィ=ストロース著作集』の編集にも携わった[『流感世界』訳者あとがき参照]。 ====

人類学者デヴィッド・グレーバーがインタビューに応えていた。

デヴィッド・グレーバーがインタビューに応えていたのを今朝Twitterで見かけた。よかったので共有したい。 デヴィッド・グレーバー デヴィッド・グレーバー(David Graeber) 1961年、ニューヨーク生まれ。文化人類学者、アクティヴィスト。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学人類学教授。 *Brut Japanの冒頭で彼は「作家」と紹介されていた。グレーバーはいつから「作家」になったのか、と勝手に困惑した。 著書:『アナーキスト人類学のための断章』(20

「過去への反省」と人類学。

「人類学者1人に人類学観は1つづつ」は過言ではない。 いろんな人類学者が世界中にいて、みんなそれぞれ研究場所も対象もテーマも異なる。出会ってきた人や感じてきたことがそれぞれ違うから、人類学者の数だけ人類学観があると言えるのだろう。 しかし、人類学の前提とされていることは共有しているため、研究者同士通じ合えないということではない。 人類学の草創期は「安楽椅子(アームチェアー)の人類学者」と呼ばれる、自分自身で現地調査には行かず現地のことを語る人類学者がおり、それへの批判から