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【追加検証】宅配ボックスを設置すれば家賃を上げられるのか

前回記事の問題点

前回、同じ内容で記事を書かせて頂きました。

この記事の中では、宅配ボックスの設置の有無による家賃の差に基づいて、事例を検証してみました。
しかしながら、私が所有している物件でシミュレーションをした期待値と現実の世界にあまりの違いがある為、その後にデータを再検証してきました。
つまりは、前回の記事で示したほど、現実世界では宅配ボックスを設置した効果が見られないのは、分析方法に誤りがあるのではないだろうかと考えています。

賃貸物件のデータの中から、宅配ボックスの有無による家賃比較をしましたが、既に前記事で触れたとおり築年数によって偏りがあるため、分析においては築年数を固定して比較しました。
同様に、築年数以外にも宅配ボックスの有無に偏りがある項目がある可能性があります。例えば、オートロックの有無に相関しているかも知れないわけです。そうすると、単純な宅配ボックスの有無だけによる投資対効果とは言えません。

つまりは、本当の宅配ボックスの設置効果のみを予測するためには、それ以外の項目を極力同じに固定して比較する必要があります。

検証方法

上記目的を実現するために、機械学習のモデルを利用して条件設定し、比較してみたいと思います。63万件の賃貸情報を使うことで、機械学習を行なって賃貸予測のAIを作成します。このAIさえあれば、架空の物件情報だとしてもそのデータをセットすれば、仮にその物件があった場合にどのくらいの家賃が妥当なのかが出力されます。そうすることで、宅配ボックスだけ入力値を変化させてその効果を比較することができます。
学習させるデータの項目は、部屋の広さや場所(市区町村)、最寄駅、徒歩分数、建物の高さなど物件固有の情報に加え、エアコン、コンロ、シャワー付き洗面台、温水洗浄便座など、設備関係の有無についても扱うことにしました。
利用した機械学習モデルは、LightGBMを使用します。非常に扱いやすく高性能なモデルで最近は広く利用されています。
平米あたりの家賃を予測させるモデルにしてます。RMSE = 339.9でしたので、予測結果の前後¥339.9円以内の確率が68%というデータのばらつきとなります。
また、この家賃を決定する要因についても見ていきたいと思います。価格決定の影響力が大きい順番(上位10個)としては以下の通りです。

  1. 部屋の広さ

  2. 市区町村

  3. 築年数徒歩分数

  4. 建物の高さ

  5. 物件の階数

  6. 礼金の有無

  7. CATVの有無

  8. オートロックの有無

  9. 保証人の必要性

再検証

今回作成した機械学習モデルのAIを使い、前回記事で検証した私が所有する札幌の物件で再検証してみます。繰り返しになりますが実際に宅配ボックスを設置してますので、その導入効果に対するシミュレーションが目的です。
該当物件の平米あたりの家賃の比較は下記の通りです。
・宅配ボックスあり:¥1,346.4
・宅配ボックスなし:¥1,336.3

その差は、前回の結果(15%)から大きく下がり、わずが0.76%です。

前回同様の計算に当てはめてみます。
・物件全体の月の家賃:¥50,000 x 14戸 = ¥700,000
・月額家賃の値上期待:¥700,000 x 0.76% = ¥5,320
・投資回収期間:¥196,000 ÷ ¥5,320 = 36.8ヶ月
単純計算で3年の投資回収期間が必要になるという結果になりました。
こちらの結果の方が、前回よりもこの物件の現実に近いという感触です。


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