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【一棟オーナー向け】宅配ボックスを設置すれば家賃を上げられるのか

宅配市場の拡大

楽天やAmazonでの買い物が当たり前になった現在、宅配便の利用が増えてませんか?しかも私自身、コロナ禍にはその依存度は更に高まりました。しかし、感染者数が落ち着いてきて外出が増えている事で、再配達が多いという事が社会的な問題として顕在化してきました。理由としては、宅配業者の労働生産性が下がることや、トラックの排出ガスの増加が挙げられます。

宅配便取扱個数の推移 (出所:ヤマトホールディングス)

国土交通省も再配達削減を呼びかけています。
賃貸物件のオーナーとしてもこの問題を解決しながら、物件のバリューアップができる方法として、宅配ボックスの設置は検討に値するのではないでしょうか。私が所有する物件にも設置しましたが、どれほどの効果が期待できるのかをデータ分析で検証したいと思います。

データ分析

取り扱うデータは、2023年3月時点の札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の賃貸募集物件、約63万件です。
まずは全国の宅配ボックス設置率を確認します。
・宅配ボックス設置率(全国):41.3%
地域別にすると、ばらつきが見られます。大阪の半分の物件には宅配ボックスがすでに設置されているようです。
・札幌:30.4%
・東京:39.7%
・名古屋:39.4%
・大阪:50.4%
・福岡:40.8%

では、家賃に差があるのかを検証していきます。賃貸物件を単純比較するために平米あたりの家賃で比較してみましょう。
*平米あたりの家賃 = 家賃(¥) ÷ 物件の広さ(m2)
以下が、宅配ボックスの有無による平米あたりの家賃の比較をした箱ひげ図です。

宅配ボックスの有無別の平米あたりの家賃

平米あたりの家賃の平均
・宅配ボックスあり:¥ 3,419 /m2
・宅配ボックスなし:¥ 2,477 /m2

*参考:箱ひげ図とは
比較すると、約38%も差があります。

しかしながら、物件の築年数によって賃料は変化しますので、設置の傾向に偏りがあるかもヒストグラムで確認しましょう。

築年数毎の宅配ボックス設置有無物件数

ある程度の予想通り、築浅物件ほど設置率が高くなっています。一方で25年を越える物件で設置されているのは珍しいようです。つまりは、築年数で比率と平均家賃が違うため、先ほどの平均の差をそのまま利用するわけにはいきません。

宅配ボックスの設置検討のケース

1棟マンションの場合、マンションの入り口に宅配ボックスを設置することになります。宅配ボックスは入居者の共同設備となりますので、もし設置することで家賃を上乗せできるのであれば、マンションの世帯数が多いほど導入効果を得られるわけです。
実際に、私が先日設置した物件の事例を使ってシミュレーションしてみましょう。

某マンション
場所:札幌某所
築年数:18年
戸数:14戸
家賃:約50,000円(/戸)

設置した宅配ボックスは、設置費用、消費税込みで196,000円でした。
では、設置効果を計算するために、札幌の築18年の物件の、平米あたりの家賃の差がどの程度かを比較します。
・宅配ボックスあり:¥1,674
・宅配ボックスなし:¥1,447

その差は、約15%の家賃値上げ効果を期待しましょう。もちろん、宅配ボックスを設置しているオーナーは、他にも物件のメンテナンスに余念がないでしょうから、全てそれだけの効果ではなく最大の期待値だと考えておきましょう。まずは計算してみます。

物件全体の月の家賃:¥50,000 x 14戸 = ¥700,000
月額家賃の値上期待:¥700,000 x 15% = ¥105,000
投資回収期間:¥196,000 ÷ ¥105,000 = 1.86ヶ月

わずか2ヶ月の投資回収期間です。でも、突然全戸が退去することなどはありませんので、実際の退去率を加味して計算すべきです。仮に1年に2戸が入れ替わった場合の投資回収期間だとすると13ヶ月です。
実際に正直なところ、この私の物件ではそんなに上手く値上げできているわけではありません。。。そうだとしても設置後のメンテナンスコストがかからないわけですから気長に投資回収を待てる気持ちです。。。今後の検証結果については、いずれ報告させて頂きます。

※追記:この記事の問題点について、追加検証を行った記事を後に出してますので、こちらも是非ご参照ください。↓

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