貧乏の仕組み

なぜ貧乏な親の子は貧乏になってしまうのか、そのしくみを理解できていますか?未だに無知なひとは「そんなの本人がだらしないだけでしょ?」と「やる気と気合と根性という感情論」を唱えます。あまりにも無知が過ぎます。今回はストーリーを追いながら数々の科学的根拠を元にこの論理を読み解いていきます。基本は女性目線でのお話になります

人の一生は生まれてより始まりますが、この瞬間にかなりの後先が決定してしまいます。これを覚えておいて下さい。「誰もがその時代の犠牲者」です。では本編。


「こんなはずじゃなかった」

貧乏な家庭に生まれたA子は高校を卒業し、社会に出た。

幼い頃から貧乏だったために塾や習い事などしたことがなく、親も仕事で家を空けていたため社会やお金、仕事、キャリア、大学のことなど何一つ教えてもらえなかった。それどころか親自身が知識・経験に乏しく「教えなければならないことは何か?」さえも分からない人間だったため、教えることが不可能だったのだ。自転車も出掛けるお小遣いもないため友人たちと出かけるなどほぼできず、本を買うことさえもできなかったために幼少の頃から知らないことだらけだった。

もちろんインターネットやパソコンはなく、みんながそれを使って大学や仕事についての情報を調べていたことはよく知らなかったし、むしろそれを使わなければ知識を得られないということさえも知らずに育った。あまりにも無知だったことを大人になってから気づく。

知識がないために奨学金の制度についてもよくわからず、そもそも大学に行く意味もよくわからないままのA子は、高校を卒業と同時に安易かつ身近で、学歴のない人でも入れるような会社や職業(土木・警備員・コンビニ店員・居酒屋・カラオケ店員・スナック・工場など)に就き、資源の内の特にお金と時間を手に入れられず、生活のあらゆる余裕がなくなってしまう。それでも何も買えなかった頃に比べればかなりマシだと思えた。いや、思い込んでしまったのだった。年収が低いかどうかなど、関心の外にあった。

20代前半になり、大きな転機がやってくる。やはり知識がないゆえに、後先を知らずして考えられず、恋愛と婚約の違いも理解しないまま、偶然近くにいた知識レベルの似た人間からのアプローチに親近感と高揚感を覚えて体を許し、子供(a子)を安易につくってしまったのだ。性教育後進国であるこの国での義務教育などまともに機能していないのだった。

この相手がどんな「実績や仕事、キャリア、性格、資源、生活、価値観、生まれ育った環境、育てられた親の性格や価値観」なのかを確かめもせずに子どもをつくってしまったため、モラハラやDVが始まり、鬼姑問題、くわえて勝手に離職され、お金がさらに無くなるなどの負のスパイラルに陥入り始める。しかしさらに深刻なのは、この時点でも「調べる」が習慣化されていないため「自分が受けているものが”モラハラ”である」ことも「世の中の標準から外れている」ことも知らないという「無知の無知」であった。

A子は日々「こんなはずじゃなかった」と後悔ばかりがついて周り、a子に苦労と我慢を強いる日々を思うと罪悪感にかられ、バッシングが怖くて家族や友人に相談する勇気もなく、夜泣きする我が子に殺意さえ覚え、そんなことを考えてしまう自分にさらに嫌気が差し、我が子が泣く部屋の隅でうずくまることしかできなかった。(脳のホルモンバランスの変動に伴う情緒不安定が起こる・恋・妊娠・出産に伴う「思考停止」が脳内で発生する・メスとしての本能的な行動 などの脳科学的根拠も無知ゆえに知る由もない。相手も無知なため、やはり理解者にはなれもしない。)

お互い知識レベルの似た無知な相手に話は通じず、長くレスは続き、これをきっかけに不倫をされ、先生不足から幼稚園や保育園には入れず、家事子育てもその大変さは理解されず、実家に預けながらなんとか稼いできた僅かな生活費を圧迫する酒やタバコはやめてくれるどころかエスカレートし、働いてくれる気配もなく、歩み寄れるはずもない生活は高ストレスで毎日が果てなく続くように感じた。

こうして人生の後先を考えた準備をしていなかったA子は、我慢の果てに離婚を決意する。

この国の法律には”親権は母親へ”という原則がある。極少数の例外を除いて親権ならびに監護権は母親がもつことになる。しかしA子はビジネス・節税・副業・投資・社会的汎用性の高いスキル・キャリア・将来性のある職業・ホワイト企業の特徴となるビジネスモデル等の”資源に直結する知識”に関する教育を一切受けていない。社会経験が浅く乏しいうちに身籠ってしまい仕事を退職しているために全く知識と経験を持たず、お金を得ることが究極的に下手なのだ。こうして貧乏のループにはまり、周りとの貧困格差ができあがった。

離婚後に「実家があるから」という理由でa子をつれて田舎に引っ越した。やはりここでも無知が不幸を引き起こす。首都圏のような”日々学ぶ向上心のある優秀な人々や本社機能のある場所”に住んでいないため、「調べる習慣・学ぶ習慣」のないA子とa子は有力な情報を得られないため、さらに情報弱者になっていく。 武村一郎らによる1965年の研究

どれだけ時間ばかりが過ぎても、やはり無知ゆえに後先を知らずして考えられず、すべきことを知らず、離婚相手には養育費を合法的に踏み倒され、裁判に訴えてなんとか1回分の養育費を回収に成功したが2ヶ月目にはまたも払われず、もう一度裁判をしようにも、もはや弁護士を雇うお金さえ足りずに、結局は泣き寝入りする以外に選択肢が無くなった。こうして今後一切の養育費の回収が不可能になってしまった。

貧乏ゆえに安く壁の薄い粗悪な環境やアパート・団地にしか住めないため、隣や近所の部屋の住人による騒音、治安の悪さ、こどもの生活音などのトラブルに対し敏感になり、常にA子とa子はストレスを感じてしまう。 お金もちはイライラしない

さらに貧乏からA子は「趣味・好きな食べ物・趣味の時間・自分だけの時間・友人とのお出かけ・旅行・身だしなみ」などあらゆることを我慢しなければならず、その我慢が慢性的なストレスになり酒やタバコに走り始める。また、a子は何を欲しがろうにも「お金がない」とA子に返事を返されることから、いつしか何も欲しがらなくなり、つまりは挑戦心を失った。 参考リンク タバコをやめれない人の【意外な正体】とは

A子は我慢と日常のストレスからa子に対して常にイライラし、怒り、怒鳴るようになり、それが日常になっていく。これは自覚のないDVの始まりなのだ。a子は実家にあずけられることが多くなった。そう、あの「無知なA子の親」に預けられるということは、さらなる「下手な知識・思考・理解を植え付けられる」に他ならなかった。

a子は怒られる・怒鳴られるを繰り返されて脳の高ストレス状態が毎日続き、慢性的な腹痛に毎日さいなまれるようになる。学校の授業には集中できない日が多くなった。 参考リンク 脳腸相関が科学的に説明できるようになってきています

さらに怒られる・怒鳴られることによって脳の各部位が本来の大きさに育たず、記憶や思考、感情コントロールの苦手な性格になり、短気に育っていく。 また、物事の集中力に欠け、面倒だと感じやすくなった。 参考リンク 「マルトリートメント」脳科学から考える子どもへの接し方

また、本能的に親であるA子の行動を見ることで刷り込まれているため、酒やタバコや言動を真似するようになり、やはり脳と生活に影響を及ぼし、学校の成績が悪くなる。そしてa子は非行に走る。 参考リンク 第4回 非行原因に関する総合的研究調査の概要

a子は政治・資源・ビジネス・税金・論理的思考・感情論・義務・責任の取り方などについて全く教わらないまま育ち、また時代が進むほどに親が受けた教育よりもさらに高度な知識と能力を社会から求められる。しかし格差を受けているため知識・思考・理解ができず、無知なために「なぜ自分はこんなにも頭が悪いのか。みんなが言うように努力が足りないのだろうか。みんなが言うやる気・気合・根性はどうしたら身につくのだろう?」と全く問題解決にならず意味をなさない感情論のアドバイスに苦悩し、しかし実際の現状に、まるで周りに追いつけないことを実感するようになる。こうして毎日に理解者のいない苦しさ、生きづらさを感じ続けるようになった。

この格差はa子が感じるよりも実際にはひどく根深かった。インターネット環境さえもA子は貧乏によって用意してあげられずPCも買い与えていない。周りの友人たちはインターネットから日々脳内に千・万を超える知識をこどもの頃からインプットし、指数関数的に深く広い知識を身に着けていたのだ。しかしa子は本さえも読む習慣が、ない。たった1つのテクノロジー、インターネットのよる千万の知識に比べ、a子は知識がほぼ0なのだ。

「自分が知らないことが何なのかがわからず」「それを知る手段も知らず」「調べる媒体もない」「そもそも周りは勉強しろというが、知ろうとしなきゃいけないのがなぜなのかもわからない」「知らなきゃいけない理由もわからないから、重要なことだとは認識できなかった」「大切だとは思えないことよりも、環境から出来上がった面倒がる性格が勝ってしまう」こんなa子を誰も手取り足取りと、世の中の親のように正しさへと導いてくれないのだった。a子は俗に言う「詰んでいる」のだった。圧倒的な知識の格差をうけ、a子はA子同様に将来の選択肢が「安易かつ身近で知識・能力・学歴のない人でも入れるような会社や職業」になっていく。

酷い劣等感と貧困、理解者のいない人生にますます嫌気が差すa子。こどもの頃から変わらず思うのはいつも「早く死にたい。」ただそれだけだった。しかし本能に打ち勝てるわけもなく、某企業のような極度のストレスに苛まれているわけでもない。そもそもストレス耐性は昔から磨かれてきてしまっている。命を絶つには至れず、しぶしぶ生きるも希望がないのは私自身が百も承知だ。

そんなa子にも、ついに転機が訪れる。話の合う(知識レベルの似た)なんだか私に積極的に声をかけてくれる人に好意をよせ、安易だが子を作った。いわゆるデキ婚だ。きっと親は反対するだろう。友人にも言えないでいる。でもきっと、これからキラキラな結婚生活が待っていると思うとなんだかワクワクする。きっとこれからいい人生になる気がする。

大人になったa子は、A子になったのだ。 「こんなはずじゃなかった」

おしまい

お疲れさまでした!

こうして貧乏な親の子は貧乏になるという論理(仕組み)が成り立ちます。今まで社会のなかで聞いたことがあったことが、みなさんの中でかなり繋がったのではないでしょうか。

人は生まれた瞬間にかなりの後先がほぼ決定してしまうことがおわかりいただけたことと思います。運命だとかスピリチュアルだとか科学的根拠のない話のことでは決してありません。「仕組みとして論理的に選択肢が狭まり、知識・思考・理解がなく不可抗力的に気づけないまま、下手な選択肢を掴まされている」のです。覚えていますでしょうか。「誰もがその時代の犠牲者」です。将来いつかはこの格差が消える日が来るかもしれませんが、この時代、今はまだみなさんの隣にある格差なのです。

かなりサイコパスな終わり方に恐怖を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。笑 ただ、気づいていただきたいのはA子⇔a子の繰り返しのように「貧乏はゴールのない輪のように繰り返し、世代間でループする」ということです。抜け出すのは至難の業であり、「やる気だ・気合だ・根性だ」という感情論で抜け出すのはあまりにも”再現性”が低く、不可欠なのは結果論でいうところの「運」ただ1つであるということです。しかしそれでは問題解決にならずあまりにも非情です。貧乏のループを抜けだす方法は実際にありますし、そうした人を助けることもできますので、こちらもいずれ書いていこうと思います。

是非、この仕組みを知らないひとたちにシェアしてください。

*学力や貧乏の仕組みにはグレーな病気が関わっていることも往々にして有り得ます。ぜひこちらも御覧ください。 知ってほしいグレーな病気



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