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大後悔時代

風邪。デカ風邪を引いた。

ここ数日自宅療養をしていたが、地元の海岸くらいざらつく喉・日本海のごとく荒れ狂う鼻水・ただでさえ人生はダルいというのにそんな通常時の人生と比較しても実に8割増しの倦怠感・逆に34℃を叩き出す体温計・関係ないけど普通に汚い部屋・・・等の種々の症状を前に、かよわくうら若き乙女こと私はひれ伏す他に術がなかったという。


風邪のときは水分補給が肝要である。
田中みな実は美容のために1日2Lの水を飲むらしいが、私は健康を取り戻すため1日3Lは水を飲んでいた自信がある。

いかんせん水分補給くらいしかすることがないので、ここ数日は部屋とお手洗いを行き来する以外ベッドから降りないような頽廃的暮らしが続いた。往復運動をしすぎてもはや下宿が狭くて良かったとさえ思えてきた。なんなら全ての生活を洗面所及びお手洗いを軸にして再構築しようかとさえ考えた。
ギリギリで踏みとどまりベッドに戻った。


下宿での体調不良は孤独死と隣り合わせなのである。死にはせんとわかっていながらも、一人暮らしなのをいいことに『えーん…し、しぬ……』などと呻いている。

えーんえーん言っていても誰にも迷惑をかけないというのが一人暮らしの利点である。一方でえーんえーん言っていても誰からの応答もないというのが一人暮らしの欠点なのである。


家からも出ず誰とも会話せず数日が経ち頭がおかしくなりそうだったので、少しでも有意義なことをしようと思い、これまでの人生を振り返る個人的大反省会の開催を決定した。これまでで後悔している自身の言動を列挙していくだけのことである。

以下にその議事録の一部を公開する。後悔を公開。このような無益な駄洒落を思い付いても正しい判断ができるほど脳が動いておらずそのまま書き連ねてしまうところにも風邪の怖さがある。


・幼稚園のお泊まり会で『先生の隣で寝るのが嫌』という理由で泣き、なんで泣いてるかわからなかった先生が慰めるために隣で寝てくれたのでもっと泣いたこと

・幼稚園の学園祭的な催しでお面屋さんの店主を務めた際、知らん年長組の男子に普通に万引きされてびっくりして泣いたこと


言い忘れていましたが、後悔は概ね年代順に思い出し記載しています。


・小1のとき親に『サンタさんに何頼む?』と訊かれ、自身はプリキュアの変身セットを欲していたがそれを表明するのは子どもっぽくてダサいという考えが小1ながらあったため『なんでもいい』と答えながらもこっそり枕元にその要望を書いたメモを挟んで寝たものの当たり前に全然違うものが届いていたこと

・水泳習いたい?と訊かれて拒否したこと
↑これが後の人生(例:丘みたいな山だから体力なくても登れるよ!と誘われた丘みたいな山登りを体力がなくて途中離脱したことがある)を規定する大きな岐路になるということを当時の私は理解しえなかったのだ


後悔が止まらない


・初恋の人が一緒に帰ってくれたとき『なんでそんなついてくるん?このひっつき虫が』と言い放ってしまったこと

・初恋の人が帰りに私を待っててくれたとき『誰待ってるの』と訊くとニコニコしながら『お前』と言われたので、『ふーん』と言って無視して歩き出してしまったこと

・不注意でおじいちゃんにもらった電子辞書の液晶をばきばきにしてしまい、新しくおじいちゃんに買ってもらった電子辞書の液晶をまたばきばきにしてしまったこと

・メジャーになる前の邦ロックバンドとかお笑いコンビとかを応援するのが好きだけど、出不精を極めすぎてて全然現場に行かないので、売れてからようやく行く気になってもその頃にはもうチケットが取れないこと

・好きだった人にバレンタインを渡す際、恥ずかしさから『義理チョコじゃないんで』としか言えず、鈍感を極めし相手に『ほな友チョコかあ』と勘違いされすれ違い続けたこと

・バイト先で海外のお客様が多いから最近英語接客がんばってて、西洋っぽい顔立ちの人が来たから意気揚々とヘタクソかつカタコトの説明かましたら『あっ日本語わかるんで大丈夫です』と流暢に言われたこと



後悔ばかりの人生である。

今後もきっとそうなのである。




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