見出し画像

ママ友がほしい

これは、第2子出産後の2021年の頃のメモです。


はじめに-ママ友がほしい-


  子ども・若者支援の現場で、「友達がほしいんです」と訴える方と出会うことがあります。友達ができる保証はないけれどと、余暇活動やボランティア活動のプログラムへの参加を促したり、紹介することがあります。
そこで言われる「友達」ってどんなイメージなのかを尋ねてみると、「なんでも話せる、相談できる」と話されます。
自分のことを認めて受け入れてくれる存在を求めているのだろうなと理解できます。
今回は、「友達がほしい」をテーマに、わたし自身に引きつけて「ママ友がほしい」思いを分析してみました。
 

ママ友との出会い


コロナ禍前に第一子を、コロナ禍真っ只中の2021年に第二子を出産しました。
2人を出産し育休を取得してみて、最も大きな違いは、ママ友との出会いや交流の機会の減少でした。
コロナ禍前は、住んでいる自治体で「両親学級」が開催されたり、子育て支援拠点等でも親たちの交流やつながりを作るプログラムやコーディネートがありました。

自治体の職員や保健師、子育て支援スタッフたちは、むしろ積極的に子育て親のつながりを作ることで、子育てでの孤立や産後うつなどの予防をされていると感じていました。
それが、コロナ禍では、親同士が直接出会える機会は減少し、密にならないような距離を取ることが推奨され、子育て親同士も心理的にソーシャルディスタンスが生まれた感覚が生まれました。

わたし自身は、第一子のときと比べて、第二子のときに出会ったママ友は少数で、関係も浅い感覚があります。

一方で、コロナ禍での育休期間は、オンラインを活用したママ友ネットワークができました。
直接会ったこともないママ友が全国にできるとは、と驚くことにもなりました。
 
 

なぜ友達がほしいの?


 では、なぜママ友がほしいのか、自己を振り返ってみると、子育てへの不安を共有したい、子育てに有益な情報がほしい、子ども同士一緒に遊ばせるような資源になってほしいという思いがあることに気づきます。

ママ友とは、ママであるわたしと同じくママである人が、友達になるということだと思います。
ママであるということと、友達になること。そもそも友達ってどうやって作るんだろう、なぜ必要なんだろうかと過去を振り返ってみました。

友達づくりについて振り返ると、学生時代は学校内の同級生が友達でした。ほぼ同じ年で多くの場合同性が友達だったと思います。
社会人になると、友達ってなかなかできなくなりました。
同僚や仕事相手の数が増えるとともに、友達の数は減少していくような感覚をもっていました。
わたしは社会人になってから1年間休職し、ワーキングホリデーを使ってカナダ留学をしました。その年に入学していた語学学校やボランティア活動で出会った外国人を含めて友達になりました。
年齢、性別、国籍、母語が違う方々との交流や友達づきあいは、わたしの社会性を育てて深めてくれました。
そこで、自分と近い属性や考え方だけではなく違いを楽しめる相手も友達になるんだなと感じました。
そこで出会った友達たちの考えや人生を知ることができることは純粋に楽しいし面白いのです。
ある友達は、クリエイティブな発想をもたらせてくれます。ある友達は、友達と友達の間をつなげてくれる存在です。
日本で事件や大きな出来事が起こるといち早く反応してメッセージをくれる友達もいます。カナダにいたのは10年以上前ですが、未だにそこで出会った友達たちとSNSを通じて交流しています。

わたしにとって友達とは、わたしを孤独にさせない、わたしの人生を豊かにしてくれる存在だと思います。
子どもが生まれた今も、子どものためにだけではなく自分のために友達がほしいというのがわたしにとってのママ友が必要な理由なのだと思います。
 

 
ママ友付き合い


最近のママ友との関係は、第一子出産時に出会ったママ友との交流の割合の方が大きいです。
同じ地域に住んでいるママ友とは、時間を合わせて公園で一緒に遊ばせたり、いただきものをおすそ分けしたりというご近所付き合いです。
ママ同士でランチに行くこともあります。
一方で、コロナ禍ではオンラインツールを使ったご近所ではないママ友づきあいが広がりました。どうして直接会えなくてもママ友付き合いを保っていられるのか、最近の交流からの気づきをまとめます。

まず、第一子出産後からママ友づきあいをしている横浜に住んでいるYさんとの交流です。わたし達一家が引っ越しをして遠距離になってしまい、オンラインでの付き合いが継続しているママ友です。
最近、Yさんとは、お休みの午前中にZOOMをつないでみました。そうすると、子どもが中心になって会話になります。
例えば、「Mちゃんは、今どんなことが好きなの?」とこちらが尋ねると、「プリンセスが好き」と返答があり、Mちゃんがプリンセスグッズを取りに行っている間に、Mちゃんのママが、「だからこの前ディズニーに行ってきてね、そこでこんなことがあって」などと、子どもの話の補足と説明をするというスキマ時間を使ってママ同士の会話がなされました。
それだけでは物足りなかったため、子どもを寝かしつけてから再度ZOOMをつなぎ、お互いの近況や関心事、キャリアの話で盛り上がりとても楽しい夜でした。
この体験から、子どもの遊び相手としての存在でもありつつ、ママ同士のつながりをもてることが、わたしにとってのママ友が必要で重要な理由なのだろうと感じます。

もう一つ、こちらは直接会ったことは一度もない、しかしオンラインで交流を続けてきた5人のママ友達とLINE電話で交流しました。
そのグループは、第二子と同じ年の子どもをもつママ友のグループで、わたし以外は初めての子育て、初めての保育園と仕事との両立をしているママばかりです。
その交流会では、「保育園で知り合いの親がいない」「いまどんな病気が流行っているかわからなくて不安」「就学させる学区の情報がほしい」「習い事情報が入ってこない」などが、ママ友不在の困り事として話されました。
このグループメンバーの小児科クリニックで看護師をしているママ友は、どんな病気が流行っているかは業務上の情報としてもっているけれど、習い事の情報交換をしたいのにできていないと話してくれました。
また、首都圏で働いているメンバーのうちの一人は、自身の子育てへの不安を感じて、子どもを知育教室へ通わせているそうです。
自分ひとりで子育てしているとこれでよいのかわからない、「週に1回プロにみてもらっていると安心」という感覚だそうです。

病気の流行や、習い事、地域事情などの情報と、不安に共感したり支え合う関係性は、これまではママ友ネットワークのなかで一般的に得られてきたものだと思います。
それが、コロナ禍で、ママ友との出会いの場が変化したり、そもそもママ友になるまで関係が深まらない状況になっているよう思います。
首都圏で働いているママ友は、近所付き合いも少なく、一人で子育てをしているような気持ちになり「プロに頼りたい」と思って地域教室に通わせているものの、近所にもママ友がほしいと話します。
 
 
 

おわりに


 子育てへの不安や孤立に対応するために、地域では子育て支援員や子育て支援センターが誕生しました。
また働く親に代わって保育園が、プロの保育を提供してくれます。
子育ての専門家は増え、ネットにアクセスするとたくさんの専門知識にも出会えます。
それなのに、ママ友がほしいと思うのはなぜなのでしょうか。
子ども・若者支援の場でも聞かれる「友達がほしい」という訴えは、相談員が友達にはなれないことも含め支援の専門家が提供できないものです。わたしたちはきっと専門家とのつながりでは得られないものを、友達づきあいで得ているのだと思います。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?