「震災は今もなお続いている」 東日本大震災から12年目の被災地を見学してきました
こんにちは、オープンコラボレーションハブ「LODGE」です。
3月3日、LODGEと千代田キャンパスコンソが共催する「防災・減災体験ワークショップ」のプログラムの一環で、大学生とヤフー社員、LINE社員と共に福島県双葉郡を見学してきました。
東日本大震災から12年目を迎えたタイミングに合わせ、若い世代が防災減災に対して当事者意識を持つ「きっかけ」は何なのか、ヤフー社員、LINE社員も一緒になって考えました。
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この記事ではワークショップ2日目の被災地見学についてご紹介します。
見学日程
当日は、東京から福島へバスで向かいました。学生さん11人のほか、法政大学の職員さん、ヤフーとLINEの社員が同乗しました。
7:00 法政大学市ヶ谷キャンパスを出発
10:30 常盤自動車道「大熊IC」下車
11:00 請戸小学校見学
12:00 道の駅なみえで昼休憩
13:00 東日本大震災・原子力災害伝承館見学
14:00 伝承館の研修室にて語り部講話
15:00 バスでフィールドワークへ 浪江町、双葉町をまわる
16:00 フィールドワーク終了、自由時間
17:00 「道の駅なみえ」を出発
21:00 市ヶ谷到着、解散
常盤自動車道の大熊ICで下車後、バスの車窓から福島第一原子力発電所を見学しました。遠くに作業用のクレーンが数機たっているのが見えます。
請戸小学校
津波の被害を受けた浪江町立請戸小学校は、海岸から300メートルの位置にあり、震災遺構として残されています。震災遺構とは次世代に向けて震災の記憶や教訓のために、取り壊さず保存してある建物です。東日本大震災の震災遺構は、岩手、宮城、福島に合計23件あります。
小学校の一階部分は壊滅状態になっており、津波の威力を肌で実感します。
請戸小学校に通っていた生徒、先生は全員避難し無事でした。全員避難が実現できた理由やその経緯が絵本形式でパネル展示されており、分かりやすく理解することができます。
3月11日は卒業式を間近に控えていました。体育館は卒業式の設営や準備がされており、そのまま残されています。言葉少なく熱心に見て回る学生さんの姿がとても印象的でした。
津波被害を受けていない二階部分は、展示ブースになっています。教室の黒板には当時捜索にあたっていた自衛隊、消防、警察の方などの激励のメッセージが残されているほか、卒業生が母校に寄せた作文などが展示されています。
学生さんからは、「実際に自分の目で見ることで津波の威力や恐ろしさを体感した」「避難した大平山までの距離が想像以上にあり、この道を小学生が全員歩いて避難したことにとても驚いた」などの感想がありました。
東日本大震災・原子力災害伝承館
昼食後、双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」を見学しました。伝承館は展示や語り部、研修、調査・研究を通じて事実を伝えること、防災減災の意識啓蒙、伝承などを目的に2020年に開館しています。
震災発生から時系列で、原発や福島県の被災状況がパネル展示されています。なかにはショッキングな映像もありました。
前々から疑問に思っていたことがあると、伝承館のスタッフの方に熱心に質問をする姿も見受けられました。
展示見学のあとは研修室へ移動し、福島県富岡町で語り部として活動する方のお話を聞きました。被災した方と対面でお話を聞くのは初めてという方も多く、学生さん、社員ともに印象深い時間となりました。
富岡町を襲った想定外の高さの津波のお話を受けて、「想定は必要なものだが、それにとらわれることなく自ら調べたり行動することが必要」と感じた学生さんが多かったようです。
語り部講話の後は、バスで双葉町と浪江町をまわるフィールドワークです。浪江町と双葉町はともに帰還困難区域の避難指示が一部解除された状態であり、まだまだ震災前の人口水準には戻っていません。解体が進んでいない家屋や店舗、手つかずの風景にショックを受けた学生さんも多くいらっしゃいました。
請戸小学校の生徒たちが避難した場所、大平山霊園では下車してガイドさんのお話を伺いました。請戸小学校の生徒たちは手をつなぎ、先生は車椅子の生徒を背負って歩いたそうです。午前中に見学した請戸小学校ではパネルや地図で説明がありましたが、実際の場所に立つことでしか得られない驚きがありました。
大平山は高台になっており、当時、津波はすぐそこまで来ていました。学生さんたちが立っている柵のこちら側と向こう側が、生死の分かれ目となってしまった場所とのことです。
学生さんの声
今回のプログラムに参加している方は、防災減災に強いまちづくりについて研究したいと考えている方、教員を目指す方、大学で防災ワークショップに参加経験のある方、このような機会の参加が初めての方など、実にさまざまです。
プログラムを終えた後のアンケートでは、「学びの多い一日だった」という感想が多く寄せられました。
「現地を見て、震災は決して終わっておらず、今もなお続いているのだと強く実感した」という方も。今回実際に現地に足を運び自分の目で見たこと、場所や建物の雰囲気、スケールを肌で感じたことはワークショップのプログラムの中でとても大切な要素となりました。