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神戸市DXの事例紹介 ~「職員が考える時間」を生み出す業務改革~

こんにちは。ヤフーのオープンコラボレーションハブ「LODGE」です。LODGEは地方自治体のDX支援の一環で、オンラインイベントの開催などを行っております。

「官民DXの現場から学ぶ手法と効果」シリーズ(全4回)
「押印撤廃」や「ペーパーレス」など、自治体・民間DXの事例をご紹介。豊富な先行事例をお持ちの神戸市デジタル企画調整局デジタル戦略部長の森様を迎え、各回多様なゲストとのクロストークをおこないます。

シリーズ第1回の「シリーズオーバービューとご要望募集」のイベントレポートをご紹介します。

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登壇者:
神戸市企画調整局デジタル戦略部長 森 浩三氏
ヤフー株式会社オープンコラボレーションハブ「LODGE」 徳應 和典
ヤフー株式会社オープンコラボレーションハブ「LODGE」 内田 真由美

部門横断で誕生した「働き方改革推進チーム」

「DX最先端都市」とも表現される神戸市。「働く人の業務改革」と「市民サービス」両面から改革をおこなっています。

1995年の阪神淡路大震災により復旧復興のための多額の借金を背負ったことから、非常に厳しい行財政改革が必要になりました。

神戸市はこの20年以上の間に職員数を40%以上を減らしてきました。この期間の他の自治体の人員削減の割合はおよそ20%弱。神戸市は倍のスピードで業務改革を進めてきました。

職員一人当たりの業務負担が増える課題を解決するために、平成29年6月に「働き方改革推進チーム」を結成。ロードマップを策定しました。「職員の勤務制度・労働制度」「人事労務を担う部署」「インフラ構築」の3つのチームが部門横断でつながった点が特徴です。

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業務改革への3ステップ
「やめる」「減らす」「変える」

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神戸市の業務改革は「スマートなワークスタイル・働きやすい職場」「スマートで優しい市民サービス」の両立を目指しています。

市民サービス向上のために以下の項目を重視。

・役所に来なくても手続きができる
・早く手続きが終わる
・分かりやすい
・問い合わせをしなくても手続きが終わってしまう

「まず無駄な業務をやめる」「減らす」そして「やり方を変えてみる」、この3つのステップを大事にしています。

業務生産性向上のための取り組み

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職員の業務生産性向上のための取り組みは多岐に渡ります。手続き関連の事務を統括し、バックヤードにセンターを配置しました。現在、神戸市の市役所の中では1000台程度のタブレットが稼働しているそうです。

職員の働く環境・条件の整備

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職員の働く環境や条件の整備も進めています。従来フレックスタイム制は子育て・介護が必要な一部の職員に導入されていましたが、誰でも選択できるよう変更しました。

市民サービスの向上

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市民サービスの向上面では、AIのチャットボット、手続き案内のスマートナビ、FAQ検索システムなどを相次いで導入しています。

ロードマップは2.0に。
二本の柱にそれぞれKPIを設定

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様々な取り組み、環境構築は「民間企業や他の自治体は必ずどこかでやっていること」であり「一つ一つは特に珍しいことではない」と森さん。
2021年度から2025年までは「ロードマップ2.0」の期間と設定。市民サービス改革」と「職員の働き方に関する改革」の双方にKPIを設定し推進しています。

DX人材の確保・育成は専門性でグルーピング

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人材の確保と育成については、ITリテラシーによって人材をグルーピングし、徐々に上位のカテゴリにスライドできるように育てています。

森さん:
専門性の高い方は専門ジョブ型の雇用で確保していく。ミドルクラスの人材を厚くするためには、採用の際に「ICTデジタル枠」を設ける、デジタルの得意な職員を庁内公募で集める、あるいは専門研修のプログラムの公募をかけるなどしています。

「ITは苦手、専門ではない」という方のリテラシー向上のためには、DXのポータルサイトの作成やICT関連の民間に職員を派遣したり、庁内にTechコミュニティーを創設して運営を支援しています。

職員の「考える時間・変える気力」を生み出すために

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森さん:
我々の考え方の前提にあるのは「いかに少ない人員体制でサービスを維持向上させ、新たな地域課題に対応していくか」という点です。

「いろんなことにチャレンジする余力」を捻出するために、まずは行政改革を行い、職員の「考える時間・変える気力」を作ることが大事だと考えています。

公務員は変化を嫌う人も多いですが、変化を前向きに捉えて挑戦していく組織文化、現場の職員が考える脳を持ち個々の職員のレベルを上げていくこと、そして全体のパフォーマンスを上げていきたいと思っています。

圧倒的当事者意識と徹底した市民意識

神戸市ではクレド(職員の志)として、市長自らが作った「圧倒的当事者意識と徹底した市民意識」といった言葉が掲げられています。

森さん:
まさに主体性を徹底することを大事にしています。

デジタル技術導入の資源確保、投資、それらを融合させる人的なソリューション、人的な資金資源が必要です。そのためにもまず行政改革が必要です。そして初めて、住民サービスの改革が成し遂げられるのかなと考えています。

今の市民サービスの現在の延長線上ではスマートシティーのは具現化は無理だと思っています。神戸市のDXは「変化を厭わず、課題にチャレンジしている」と表現できると思います。

パネルディスカッション

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Q:
投資対効果でよかったものは?

森さん:
費用対効果について述べるのは難しいです。行政はどちらかと言うと経費削減の面が注目されがちですが、そうではなくて職員の満足度や組織風土を変える観点から効果が高かったものをご紹介します。

グループウェア、特にチャットツールの導入は効果が高かったです。今現在神戸市は10,000人以上の職員がいますが、チャットのアクティブユーザーは8000人~9000人います。内部にコミニケーションにかける時間や手間が大幅に削減されました。
私自身がありがたいと感じているのは、テレワーク環境を作ったことです。どこでも仕事ができるというのは素晴らしいことだなと思っています。


イベント後半の視聴者からの質疑応答についてはこちらをご覧ください。

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LODGEは、地方自治体のDXを支援するオンラインイベントの開催や人材マッチングをおこなっております。イベント共催やDX人材についてのお問合せなど、お気軽にご連絡ください。

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