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自分で出来るデータ分析 「自治体の特色を生かす」ふるさと納税戦略とは?

こんにちは。ヤフーのオープンコラボレーションハブ「LODGE」です。LODGEはオンライン/オフラインのハブとなり、各自治体のDXを支援する取り組みをしています。

自治体DXについて「何から手を付ければいいのか分からない」と悩む推進担当者も少なくない中、課題やニーズの把握に繋がるデータ分析を【もっと身近に】感じてもらいたい思いから、オープンデータを活用方法をかんたんに学べるイベントシリーズを企画しました。

元ヤフー社員で兵庫大学現代ビジネス学部教授、神戸市のCDO補佐官も務める宮崎光世さんをゲストに招き、オープンデータを使った自治体のふるさと納税の戦略立案、分析、ニーズ把握の方法をお伺いしました。

宮崎さんの紹介記事はこちら!

本イベントレポートのポイント

1. 総務省公開のオープンデータで【無料で・手軽に】ふるさと納税を分析、戦略立案できる

2. 寄附件数、寄附金額だけを追う時代は終わり。他の自治体事例からヒントを得て、自分の自治体に合うスタイルを考えよう

3. データを読み解いて、本当の費用対効果を読み解くメソッドを知ろう

アーカイブ動画はこちら

2021年6月21日配信
登壇者:兵庫大学現代ビジネス学部 教授 宮崎光世氏
ヤフー株式会社 データソリューション事業本部 大屋誠
ヤフー株式会社 オープンコラボレーションハブ LODGE 徳應和典

「血湧き肉躍る」ふるさと納税のオープンデータ

ふるさと納税のデータは、総務省のサイトから誰でも簡単にアクセスできます。事業や研究などへの二次利用もOKです。

宮崎さん:
人々の興味関心や欲求などが見えてくる、マーケティングに近い面白いデータ。『血湧き肉躍るようなデータ』になっています。

ふるさと納税に必要なのは、ビジョン設定と定量による最適化

令和元年の実績は、金額で約4,875億円、件数で約2,334万件。ふるさと納税は一時期ブームが過熱し「返礼品競争」と揶揄される事態となっていましたが、現在は制度改正などを経て、一旦落ち着きつつあります。

宮崎さん:
知名度を上げるための時期は過ぎて、質の勝負、多様な取り組みが必要になってきていると思います。

2019年からは、返礼品のお得感だけじゃなくて、地域を応援するものとして本質に立ち返ったビジョン設定や、定量データに基づく最適化が必要な段階になったと思います。

件数、金額だけでない「本当の費用対効果」を知る

宮崎さんは、ふるさと納税を「事業」と捉えて数式化。単に寄附金額の多寡を競うのではなく、データを深堀りしながら【本当の費用対効果】を探ります。

宮崎さん:
寄附件数、寄付総額を競うだけではなく、ひとつひとつの自治体の多様性にあわせて「自分たちの自治体はどんなふるさと納税を作っていくのか?」を考えていく段階です。

宮崎さんは具体的に、
・返礼品の調達費用を「地域内費用」
・返礼品送付や広報に使われるものを「地域外費用」
と区別して解説しました。

大屋:
たくさんの人にまちを知ってもらいたい場合、寄附金額全体よりも件数を伸ばすことを考えるイメージですね。地域内費用を増やすには、地域外費用を抑えるなど、まちの方針によっていろいろな考え方が出てくるということですね。

宮崎さん:
そうですね。逆に広報にお金をかけるやり方もあると思います。(中之条町のように)返礼品そのものに工夫をこらし、話題づくりに注力する選択肢もあるのではないでしょうか。

徳應:
「地域内費用」は、「地域内で還流するお金」といった意味合いですよね。一方、「地域外費用」は、いわゆる広告費、掛け捨てのようなイメージが近いでしょうか。

宮崎さん:
はい。自治体の方々と話すと、最終的にはやはり地域内の事業者に活躍してもらいたい、という思いをよく聞くことがあるので、地域の内外という表現を用いました。

今みたいな、こういった会話を担当者一人で悶々とやるのではなくて、チームで繰り返すうちに方向性が一致することがあるので、是非あるべき姿と数式での表現をぐるぐるやっていただきながら、地域の目標設定をやってみていただきたいです。

地域ブランドが生む「強い返礼品」

令和元年でふるさと納税の最高寄附金額を記録したのは、大阪府泉佐野市の185億円。最高件数は宮崎県都城市の50万件です。

1件あたりの地域内費用と寄付金額をグラフで表現してみました。

「地域内費用をあまりかけずに1件あたりの金額が大きい」例は、群馬県中之条町の「ふるさと寄付感謝券」。地域内のみで使える金券で、全国自治体の中でも唯一となる「1種類の返礼品」。結構な人気を集めているそうです。

グルーピングしそれぞれの傾向を見てみます。

宮崎さん:
地域に繋がりのあるブランドを使ったり、地域ブランドをじっくり育てていくことふるさと納税にメリットが出てくることが言えると思います。

いろんな形のふるさと納税があっていいと思いますし、数式に置き換えつつデータで読み解けると、非常に面白いと思います。

ヤフーの検索データから見る「ふるさと納税」

次に、ヤフー株式会社データソリューション事業本部の大屋さんが「ふるさと納税」をヤフーの検索データから読み解きます。

「ふるさと納税」の検索ボリュームは年末に多くなる傾向。令和元年より二年の方が多く、検索された期間も長くなりました。関心の増加傾向とピーク期間の長期化傾向が見て取れます。

2020年12月の「ふるさと納税+自治体の名前」の検索ランキングでは、前年に寄附金額30位以下の都市が目立ちました。

大屋さん:
加西市、みやき町、などが出ています。加西市はアラジンというメーカーさんとうまく連携しているようなので、検索量と今回の自治体の寄付金額にも、繋がりがあるのかもしれないなと思いました。

「ふるさと納税+○○」の検索結果では、20代と70代で、興味関心が異なることが垣間見えます。

大屋:
20代では「1年目」「一人暮らし」などの検索が多いのに対し、70代では高島屋などのブランド名が出てきます。それぞれの年代にどうアピールするのか、注目のポイントになるのかもしれません。

まとめ

今回はオープンデータを使って「ふるさと納税」について解説いただきました。今後の戦略立案などにぜひお役立ていただければと思います。

データをダウンロードし、データ形式だったものから仮説をたててそれをグラフ化してみると、たくさんの気づきが生まれるという発見がありました。

イベントで使ったExcelデータは公開していますので是非ご覧ください。

「自治体DX」を推進するLODGEでは、引き続き同テーマでのイベントを積極的に開催予定ですのでお楽しみに!

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