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六甲茂子(ロコモコ)短歌集ー コロナの時代(その1)

アロハ、六甲茂子(ロコモコ)です。3月21日からnote を始め、ほぼ毎日短歌を発表してきました。3ヵ月が経ちかなりの数になりましたので、この辺りで一度まとめたいと思います。まずはコロナ関連の歌の第一弾。なんだか陳腐なものもたくさんありますが、皆様の好きな歌や感想をお聞かせいただければ嬉しいです。

朗らかに鳥は囀り空に虹マスク外せば甘やかな風

友も家も捨て去りし老女傍(かたわら)に犬抱き寄せてマスク捻れて

旅人のマスク姿に違和感を抱きし日々はもう二度と来ず

粛々と毛虫が青葉食(は)むように日々の雑事をこなしていこう

楽園に忍び寄る影姿なくただ粛々と今を生き切る

中庸をただ粛々と歩まんと思いしけれどそれも難し

6フィートの微妙な距離を保ちつつ「シャカ」で挨拶いつまで続く

「社会的距離」を空けつつ微笑みも会釈もせずに買い物そそくさ

6フィートは心の距離にあらずともこのままハグを忘れてしまう?

かりそめの平和のうえに積み上げし我が幸せに疑問符ひとつ

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ザワザワと闇が行き来す胸の奥人気(ひとけ)の絶えたビルの街にて

今は今明日は明日ただ日は昇り波は打ち寄せ椰子の葉そよぐ

外出もままならぬ今我一人がらんと広い高速飛ばす

迫りくるコロナの脅威されどなお花咲きみだれ波はたゆたう

コロナ禍で物欲も失せあれこれと箱に詰めつつ身を削ぎ落とす

災厄をまずは受け止め蓄えて羽ばたく為の燃料にする

マスク越しに微笑む瞳頼もしく明日さえ見えぬ日々にはあれど

せめてもと眉毛きちんと整えて服を着替えてテレワーク初日

オンとオフ仕事仕様に切り替えるきっかけ掴めぬリモートワーク

次々と届くメールは少しだけ見ないふりしてコーヒー淹れる

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マスクして距離を空けつつショッピングやたら静かな鬼ごっこのよう

缶詰や冷凍食品買い込んでしばし安心何があろうと

詠む歌も現実的になりがちでコロナ禍のなか仕方はないけど

虚なるオフィスの街の交差点すれ違いざま目だけで合図

いにしえのアロハをほどき柄合わせ世界に一つのマスク仕立てる

家篭り手芸や料理断捨離と新たな分野の楽しみを知る

いつもより丁寧に手を洗いつつ今日の献立考えてみる

収束後行きたい店を思いつつシチューを煮込む週末の夜

非日常が日常となる家篭り後どれくらい続くのだろう

予定なき週末家に篭りきりされど時間は着々と進む

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師走でも無いのに誰も居ぬ街で小走り影に追われる気がして

マスクなき家なき人があてどなくシャッター街を彷徨う夕べ

沈黙のビルの谷間に響くのは調子外れのスプリンクラー

ぬいぐるみにマスクを着けた3分後子無き夫婦は苦笑いしきり

マスク縫う一心不乱チクチクと明るく平和な明日のために

日々一つ小さな幸せ見つけては今生かされていることに感謝

家篭り夫と交わすたわいないジョークでかなり救われている

3月も4月も真っ白なカレンダー再び予定で埋まる日はいつ?

自粛中下降しつつある女子力を食い止めたくて肌のお手入れ

                         (以上39首)







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