「シーンをデザインすることで暮らしをより良く」ー千葉工業大学創造工学部 デザイン科学科倉斗綾子先生
前回の「ならしのみやげ」の記事はこちら!
「建築設計」から「コミュニティづくり」へ
元々の私自身の専門分野は「建築」で、子どもの環境や公共施設の利用者視点での施設計画の研究をしてきました。特に学校施設とか、教育関係の施設の研究が中心なのですが、学校って「コミュニティの核」なので、近年の少子化で起こるコミュニティや学区の再編といった自治体の委員会によく呼ばれるようになって。それから、コミュニティの研究に興味関心を持つようになりました。
その頃にこの大学(千葉工業大学)でデザイン領域を教えるようになったので、空間の提案や「場」づくりなど、建物(建築)ではない方法で、暮らしをより良くするという選択ができるようになったんです。
ー着任された頃は「ならしのみやげ」はなかったんですか?
はい、着任当時は学科が現在のようにデザインを一本化したカリキュラムで扱っておらず、「インテリアコース・情報コース・プロダクトコース」の3つに分かれていて、それぞれ担当する教員も学生も分かれていたので、私の研究室でも建築設計や空間設計を主に扱っていました。2016年の入学生から現在の学科の編成になって、研究室にも広くデザイン分野全般に関心のある学生が多くなったということもあり、今の研究室ではコミュニティ系の活動もするようになりました。
Co-展の起源
西船橋の西武デパートで「キッズアカデミー」という子ども向けのイベントを、隣の研究室の先生に誘われて一緒にやるようになり、お子さんがいる地域の方と企画について相談したことなどがきっかけでした。その方々からお誘いいただいて「地域で文化祭みたいなことやりたいよね」となってできたのが「Co–展」でした。
学生と地域の繋がり
Co–展を開催するようになってから、個人店の方々と学生の直接のつながりができるようになりました。学生の中には、卒業しても仲のいいお店があるから習志野から離れたくないという学生がいたり、地震の時などにはお店の方が一人暮らしの学生に「寂しかったらお店においで」と声を掛けてくださったと聞いて、「コミュニティってこういうことか」と実感したこともありました。そういうお店の方々と研究室の先輩方との関係性を大事にしていきたいと思っていた矢先、コロナが流行して。Co–展ができないどころか、大学にも来られない状況になってしまいました。
「ならしのみやげ」の由来
コロナの蔓延でCo–展ができなくなってしまった時、せっかくの地域の方々と築いてきた関係を切らずにできることは何かな、と考えていたんです。
その際、これまで一緒にCo-展をやってきた地域のデザイナーの方が「くらけん(倉斗研究室)と一緒に習志野で習志野にしかないお土産みたいなものを作ってみたいんだよね」って言ってくれて、そこから「ならしのみやげ」という名前ができたんです。
転機は「津田沼パルコ」閉店までの1年
津田沼のパルコの閉店が決まった時にパルコ側から「最後の1年間は地域の方々に還元するために動いていくんですが、コンセプトともあっているので出店しませんか」という連絡をInstagramからお声がけいただいて、これまでで最大の規模で出店したことがあって。それが「ならしのみやげ」の知名度アップや、地域の方々からの信頼を獲得するのに大きく貢献してくれたように思います。
研究室の教授として
ーならしのみやげとしての展望はなんですか?
「ならしのみやげ」に関しては、私(指導教員)の意向や課題としてやって欲しくない、というのが私の思いです。倉斗研究室のモットーとして「一人称で考える」というのがあるんですが、「こういう風にやって」「いつまでにやって」と私が指示すると、学生は指示待ちをするようになってしまうと思うんです。それでは「自分ごと」ではない。なので現在の活動を続けるのか、やめてしまうのかまで全て、学生自身に任せています。私はアドバイスやチェックはするよ、とだけ伝えています。
いつか習志野のボードゲームを作りたい!
ーLocaMでは企画中のボードゲーム「フォトマトペ習志野」に採用するため、インタビューをお願いした方から「習志野のお気に入りの写真」をいただいています!先生のお気に入りの写真はありますか?
大久保の「林檎の木」でならしのみやげ初出展したときに撮ったものです。テラスから公園が見えるこの風景が好きです。
習志野テレフォンショッキング!(インタビュー先を推薦!)
上原理恵さんを推薦いたします。 Co-展やならしのみやげを一緒にやってきた、習志野出身・習志野在住のデザイナーの方です。個人で「木とこどものくらし研究所」という会社を立ち上げています。
(ライター・山口絢香)
LocaMでは、これからも習志野に住む人が習志野をもっと好きになるきっかけを発信します!
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