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地域からのSNS発信で「行きたい」を喚起する 久林紘子×糀屋総一朗対談(下)

ローカルツーリズム株式会社代表・糀屋総一朗とさまざまな業界で活躍されている方の対談、今回は企業の公式インスタグラムのディレクションや撮影のトータルプロデュース・企画・運営など幅広い領域でご活躍されている、久林紘子さんをお迎えしました。後編では地域にSNSを導入するときの考え方、投稿のコツなどについてお伺いしました。

前編はこちら


まずは投稿の「地ならし」から

糀屋:大島で宿づくりをしていて、けっこういろいろやっているんですが、実際には、「大島って何?」って反応がほとんどで。でも、行ってみたら、「映える」スポットも多くて魅力的なんですよ。このギャップをどう埋めていくかが課題だったりします。例えばですけど、久林さんならではの目線はありますか?

久林位置(スポット)情報の登録、活用なども良いかもしれませんね。

今、インスタグラムにアート女子が増えているんです。海外旅行には行けないし、都内のインスタ映えスポットにも限りがある。そんな中、美術館や地域芸術祭と言った、アートスポットに興味が移動しているようです。

そういった場所が大島にもあるなら、位置(スポット)情報を登録して名所にしたりなど、できそうなことがたくさんありますね。

また、ハッシュタグやスポット情報を検索した時に、最低でも9投稿くらいは素敵な写真が人気投稿の検索結果に上がっていると、「行ってみたい」となりやすいです。逆に投稿数が少ないと、「これって平気かな?」と、不安にな印象を与えてしまう。

なので、まずは地ならし的な意味で、地元の方に積極的に投稿してもらうのは良いと思いますね。

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糀屋:ハッシュタグも大事ですよね。ちなみに、観光系ではどんなハッシュタグがトレンドですか?

久林:地域の名前×ランチ、大島×ランチ、大島×グルメ、大島×ホテルとか、宿、食べ物、露天風呂など、地域名×コンテンツの組み合わせは伸びる印象があります。

若い方なら「スイーツ巡り」とか、行く目的のワードも人気が高いです。地域を絞らないので競争率が高く、見つけてもらうのも大変ですが、興味を持ってもらうのには有効な方法。私も、「地域の名前×コンテンツ」と「目的系」のハッシュタグは、両方つけるようにしてます。

糀屋:何個くらいつけるのが理想なのでしょうか。たくさん付けた方が良いと聞いたこともありますが。

久林:ハッシュタグは最大で30個付けられます。昔はそれで良かったのですが、今はすべてつけると、インスタグラム上での評価が落ちると言われていて。

何でも構わずハッシュタグを付けて、多方面からの流入を狙うよりも、「写真に対して最適なものが付けられているか」という観点で、よりユーザーファーストなアカウントを優先しているアルゴリズムがありますね。

プロセスから数字までを共有して理解を得る

糀屋:これだけ魅力的なインスタグラムも、地域に導入するのはなかなか難しいですよね。

年配の方も、ツイッター、インスタ、ラインって名前くらいは知ってるんですよ。でも、自分で上手く活用できている人は少ない印象です。「若い人が使うツール」という認識を持つ方も多くいらっしゃいます。久林さんも、インスタグラムを導入するのに、周囲の理解はすぐに得られたのでしょうか。

久林:そうですね。やはり新しいものを取り入れる場合、最初から理解していただくのは難しいかもしれません。だからこそ、インスタグラムを導入したことによる効果を、ビフォアーアフターの数字で見ていただくことは大切だと思います。

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出来上がったものをどん! と出すのではなく、私たちがどういうふうに考えて文字入れやハッシュタグの選定をしているのかとか、最初は上手くいってなくても、こんな風に改善された。今後はこうしていきたい。など、プロセスも伝えるようにしています。

インスタグラムのこれから

糀屋:久林さんから見て、今後、インスタグラムはどうなっていくと思いますか?

久林:マップ機能も強くなり、動画投稿の幅も広がり、お店の予約までできる。全部のアプリのいいとこ取りをしているのがインスタグラムのいま。写真を投稿するためのツールから、生活に関わる部分でも多くの時間を占める、マルチアプリになる可能性を感じます。

糀屋:すごく面白い視点ですね。

久林:ストーリーズをコミュニケーションツールとして使うのも最近の傾向ですね。

例えば、カフェで出すメニューで悩んでいる場合「プリンとガトーショコラ、どっちが食べたい?」といったアンケートスタンプをつけるんですね。ボタンを押すだけなのでコメントよりもハードルが低く、答えてもらいやすいです。

さらにユーザーに選んでもらうことで、一緒にお店やメニューを作っている気分になれる。そういった関係値を作れるのも、ストーリーズのメリットです。さらに、ユーザーとのコミュニケーションを重ねると、インスタグラムのアルゴリズムで評価され、相手のインスタグラム上にこちらのアカウントが表示されやすくなります。

大島の魅力を外に伝えて広がる、未来の可能性

ー最後に、ひとことお願いします。

糀屋:今日の久林さんのお話を聞いていて、「いま地域にある価値」を見えるようにすることの重要性を感じました。大島には漁業という基盤産業があるけれど、若い人はどんどん外に出てしまいます。島の魅力をもっと磨き上げて若い人たちに伝えることができたら、戻って来る人が増えたり、新しい産業が入ってきたり、いいことがたくさんあるはずです。

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世の中ではインスタグラムをどのように活用しているかということを理解して、事業にフィットさせていくのがすごく大切だなと。ここにはコストをかけてでも、優先度高くやっていくべきですし、あわせて地域の中にナレッジを溜めていかなければなりませんね。

久林:そうですね。お話をしていて、私もますます大島に行ってみたくなりました。

糀屋:ありがとうございます。ぜひ、大島に遊びに来てください。

久林:はい、ぜひ。ありがとうございました。

(取材・構成 西川真友)

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