中止・延期になった文化芸術・スポーツイベントの払い戻さなかったチケットで税の優遇が受けられます。

新型コロナウイルス感染症対策で、中止や延期、規模縮小(無観客開催等)となったイベントは数知れません。楽しみにしていたイベントが中止になり、がっかりされた方も多いのではないでしょうか。
 そのような中止、延期、あるいは規模縮小(無観客開催等)となった文化芸術・スポーツイベントについて、チケットの払い戻しを受けない(=放棄する)ことを選択された方は、その金額分を「寄附」と見なし、所得税法上の優遇(寄附金控除)が受けられる新たな制度が創設されました。
新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について-チケットを払い戻さず「寄附」することにより,税優遇を受けられる制度-

 対象となるイベントは次の要件を満たすものです。
要件①文化芸術又はスポーツに関するものであること
要件②令和2年2月1日から令和3年1月31日までに開催された又は開催する予定であったものであること
要件③不特定かつ多数の者を対象とするものであること
要件④日本国内で開催された又は開催する予定であったものであること
要件⑤新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、現に中止・延期・規模縮小されたものであること
要件⑥ ⑤の場合に払戻しがされたもしくはされる予定であること
 要件①で言う「文化芸術又はスポーツに関するもの」とは、
・音楽コンサート、エンターテインメント、伝統芸能などの公演イベント
・映画、博物館等、個展、テーマパークなどの観覧イベント
・プロスポーツの試合、マラソン大会などの参加型スポーツイベント
等を言います。
 要件③で言う「不特定かつ多数のものを対象とする」とは、広く一般にチケット等を販売しており、数名以上の参加が想定されていたものを指します。
 要件⑥では「払戻しがされたもしくはされる予定である」と定めているところから、払戻しを行わないことを決定・公表している場合は、要件⑥を満たしていないことになります。

 具体的な流れはおおむね次の通りです。
STEP1:主催者などがイベントの指定を受け、その旨を公表
STEP2:主催者に払戻しを受けない意思を連絡し、主催者から2種類の証明書を受け取る
STEP3:来年(令和3年)、2月中旬から3月中旬に所得税の確定申告を行う

 なお、すでに払戻しを受けてしまっていたとしても、主催者に対してその払戻し分を寄附することを連絡し、その後、実際に寄附を行えば、本制度が適用されます。

 対象となるイベントの要件⑥で定めるように、「払戻しがされたもしくはされる予定である」イベントが対象であり、払戻しを行わないことを決定・公表しているイベントのチケットは、たとえ代金の払戻しが行われなかったとしても、本制度の対象とはなりません。すでに中止や延期、規模縮小(無観客開催等)が決定されているイベントの中には、適用要件を充足することが難しいものもあるかもしれません。
 主催者が「払戻しを行うもしくは行う予定である」と言いながら、一方で本制度の適用申請を行っていたとしたら、それは「寄付をしてくださいね」の意思表示と取られてしまうかもしれません。
 もう少しシンプルで使いやすく、チケットの払戻しを受けられなかった方々を広く救う制度となって欲しいですね。


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