新型コロナウイルスの影響が長期化する中で授業料が払えず、就学継続に困難や不安を抱えている大学や短期大学、高等専門学校、専門学校(以下、大学等という)の学生等が増えています。大学生の内、5人に一人は退学を検討しているとか。
 このような厳しい状況を強いられている学生等が決して修学をあきらめることのないよう、利用可能な制度についてご紹介いたします。

◎困難な状況におかれている学生等が利用可能な主な制度等(4月 30 日時点)
① 高等教育の修学支援新制度 【非課税世帯及びそれに準ずる世帯の方】
<概要>
 住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯を対象に、学生生活に必要な生活費等をカバーする給付型奨学金と授業料等減免による支援を行う制度。
 通常は前年度の課税標準額により審査を行いますが、新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した場合には、家計急変後の収入見込みによって審査されます。
 家計急変の対象とならない学生等についても、年2回の在学採用(在学している学校の奨学金窓口を通して行う申込み。令和2年度の1回目は4~6月)に申込むことができます。
<申込時期>
 家計急変の採用(随時)、在学採用(令和2年度1回目は4月~6月)。
<申込先>
 各大学等の窓口(各大学等を通じて日本学生支援機構に申込み)
② 日本学生支援機構の貸与型奨学金 【幅広い世帯の方】
<概要>
 日本学生支援機構の貸与型奨学金では、第一種(無利子)奨学金と第二種(有利子)奨学金による支援の二種類があります。貸与額は選択可能です。
 通常は前年度の収入金額等により審査を行いますが、新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した場合には、家計急変後の収入見込みによって審査されます。
 家計急変の対象とならない方についても、在学採用(在学している学校の奨学金窓口を通して行う申込み。令和2年度の1回目は4月~6月)に申込むことで支援が受けられます。
<申込時期>
 家計急変の採用(随時)、在学採用(令和2年度4月~6月)。
<申込先>
 各大学等の窓口(各大学を通じて日本学生支援機構に申込み)
③各大学等の授業料納付猶予・延納や各大学独自の授業料等減免等【制度等により異なる】
<概要>
 経済的に困難な方については、多くの大学等で授業料の納付猶予や延納等を行っています。また、各大学等で独自の授業料等の減免や奨学金の制度を持っている場合もあります。
<問合先>
 各大学等の窓口
④自治体独自の奨学金や民間奨学金等【制度等により異なる】
<概要>
 自治体が独自に奨学金等の制度を持っている場合もあります。
 また、民間の奨学金についても、申込みが可能な場合もあります。
 日本学生支援機構の Web ページでも紹介されています。
https://www.jasso.go.jp/
<問合先>
 各大学等の窓口や自治体の窓口

 その他、次のような支援策も用意されています。
◎修学支援以外の制度のうち,経済的に困難な場合に活用できる制度等
⑤生活福祉資金貸付金(緊急小口貸付貸付等の特例貸付) 【幅広い世帯の方】
<概要>
 新型コロナウイルス感染症の影響により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付けを必要とする世帯の方に対し、 無利子で20 万円以内の貸付けを行う等の制度。
<申込時期>
 随時
<問合先>
 お住まいの市区町村の社会福祉協議会等又は全国の労働金庫(ろうきん)
⑥生活福祉資金貸付金(教育支援資金)【低所得世帯】
<概要>
 低所得世帯を対象として、大学等に修学するために必要な経費について、無利子で月 6.5 万円以内(大学の場合)で貸付けをうけられる制度。
 また入学に際し必要な経費について、50 万円以内でまとまった額の貸付けも行っています。
<申込時期>
 随時
<問合先>
 お住まいの市区町村の社会福祉協議会
⑦母子父子寡婦福祉貸付金(就学支度資金・修学資金)【母子・父子・寡婦家庭の方】
<概要>
 母子・父子・寡婦家庭の方が、①就学するために必要な受験料、被服費等に必要な資金に充てる資金として無利子で59 万円以内(私立大学の場合)、②大学等に就学するための授業料、書籍代、交通費、生活費等に必要な資金に充てる資金として、無利子で月 14.6 万円以内(大学で自宅外通学の場合)で貸付けを受けられる制度。
<申込時期>
 随時
<問合先>
 お住まいの都道府県・指定都市・中核市の福祉事務所等のひとり親世帯関係施策担当
◎その他
⑧特別定額給付金(総務省)【住民基本台帳に記録されている方】
<概要>
 基準日(令和2年4月 27 日)において、住民基本台帳に記録されている方を給付対象者、その方の属する世帯の世帯主を受給権者とし、給付対象者1人につき 10 万円を給付する制度。
<申込時期>
 市区町村により決定された申請受付開始日から3か月以内。
<問合先>
 特別定額給付金コールセンター
⑨日本政策金融公庫の教育ローン 【幅広い世帯の方】
<概要>
 大学等に入学・在学する方の保護者に対して、学生等1人あたり350万円以内の貸付けを行うもの。利息は年 1.71%の固定金利です。
<申込時期>
 随時
<問合先>
 日本政策金融公庫(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html)
⑩雇用調整助成金の特例措置 【雇用主】
<概要>
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が休業手当を払う場合、学生アルバイトも含む非正規雇用も対象となる特例。

 文部科学省では、令和2年4月 17 日付高等教育局長通知等において、各大学等に対して新型コロナウイルス感染症の影響等により、学生等の学資を負担している者の状況が変化し、授業料、入学金、施設整備費等の学納金の納付が困難となった者等に対しては、各大学等において、それぞれ実施している授業料等の納付猶予、分納、免除及び減額に関する制度等も踏まえて、納付時期の猶予等の弾力的な取扱いや減免等のきめ細かな配慮を行うよう、依頼しています。
 さらに、授業料等を期限までに納入できなかった学生等に対しても、まず
は個々の事情を聴き取りながら修学継続に向けた相談に応じるなど、経済的な困難や不安を抱える学生等の目線に立ってきめ細かな配慮を行い、やむを得ない事情のある学生等に不利益が生じることのないよう適切な対応を求めています。

 新型コロナウイルス感染症の影響で修学をあきらめなければならない学生等のすべてを救えるよう、より一層の支援策の充実を期待してやみません。


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