見出し画像

#18 銀河の犬と水玉~曼珠沙華の伝言~


第10章 ジュビ子の闘病

ジュビ子の変化

 2019年4月。
 毎年の狂犬病注射の日がやってきた。

 私が歩けなくなってから散歩は短めになっていた事もあったが、ジュビ子自体も歳をとり、あまり長く歩かなくなっていた。
 散歩行く!とはしゃいで準備をすると、5分以内で帰ってしまったり、門を開けたらUターンして全く外に出ずに戻る時もあった。
 私は「散歩行く行く詐欺」と呼んでいた。
 3月に入ってから、その散歩行く行く詐欺は前にも増して多くなり、散歩も30~40分歩く事は珍しく、十分以内で帰りたがる事が増えていた。

 4月に入って水を多めに飲むのが気になっていた。
 糖尿病と言われた前の時のような量ではないけれど、暖かくなったので単に増えているのかの区別が微妙な所だった。

 5月に入って、雨の日にわざと外に出て雨に濡れる所に立っていたり、中々家に入りたがらない日が増えた。
 そして、家に入るドアは30cmの段差があるが、いつもピョンと軽く飛び越えて出入りしていたのに、足をぶつけるようになったり、降りるのが怖そうにしている時があったので、中間までの段をつけられるように、コンクリートのブロックと不要となった半畳の畳を敷いて、大きくジャンプしなくても軽く昇り降り出来るようにした。
 どうしても自力で入りたいようで、抱っこして乗せようとすると鼻に皺を寄せて唸って威嚇してきたのだった。
 「年寄り扱いしないで!」とでも言っているようだった。

 7月に裁判の初公判が決まり、やる事が沢山あって、毎日がクタクタになっていた。
 この頃、もっとジュビ子を注意深く見てあげられていたら、結果は変わっていたのだろうか…と思う。
 夜は庭でトイレを済ませてから部屋で寝るのがジュビ子のルーティンだった。
 でも5月中旬から、トイレに出たまま帰ってこない日が増えた。
 迎えに行っても家に入りたくないと言う。
 朝まで待っても帰ってこない日もあった。
 少しずつ水を飲む量が増えてるように感じた。
 5月のワクチンを打つ頃、食欲はあるが少しフラフラして歩いているように見えたので病院で相談した。
 血糖値が高いからワクチンは出来ないと言われて、検査をする事になった。

検査結果

 検査結果により、糖尿病が再発している事を知る。
 インスリン注射が始まった。
 最初は7㎖から始まったが11㎖まで量は増えた。
 6月からご飯を全く食べなくなったり、食べたものを全部吐いたりする事が増えた為に、インスリンを打ってしまってから吐き出すと低血糖になってしまう恐れから、ご飯を食べて1時間経ってから吐かなければインスリンを注射する事になった。
 朝晩の12時間の間隔をあける為にも、今までのように1日5時間しか起きていられない私の生活はそのままではいられなくなった。
 当然、ご飯の準備と、吐かないか見守り、注射をして、その後も気分を悪くしてないか見守る必要があった。
 そして今まで気ままに食べたい時に食べていたジュビ子も、時間で食べさせられるストレスに晒されていた。
 そして何より身体の不調が辛かったのだろう。
 お腹に赤いポチポチが出来て痒そうに舐めていた。
 蒸しタオルをすると少し良くなるようだったので、その習慣もプラスされた。

レイキヒーリング

 ここで、私が合併症になった甲斐があり繋がった名古屋の彫り師さんに、今度はジュビ子のレイキヒーリングの依頼をした。
 6月は雨が多く、ジュビ子は強風でも雨でも外に居て家に入らなくなる事が増えた。
 屋根のある場所にいるのだが、横殴りの雨もあるので夜通し外にいる時は、1時間おきにタオルを持って拭きに行き、ちゃんと眠れているか、苦しそうにしていないかチェックする必要があった。

 6月10日。
 後ろ足をヨロヨロさせるようになった。ジュビ子の顔は白い毛でおおわれているだけじゃないか、と言われそうだが、確実に「顔色が悪かった」のだ。
 心配されるのがウザイのか、逃げるように雨の中、外に行っては帰ってこない。
 翌朝5時になって、やっと家に入ってくれた。
 それから少し私も休むが7時にはご飯の時間なので起きる。

 この頃から注射をした4~5時間後に身体が震えている事が増えた。
 獣医に相談しても、4~5時間後じゃ、インスリンのせいでもないと思うけど…、インスリンも減らすと数字下がらないから減らせないし……
 とその時測った検査結果では、更に数値が上がっていた。
 ここまで数値が高ければ、本人は苦しいだろうね。
 そう言われて、レイキヒーリングをお願いする事にした。
 その後、ヨロヨロ歩いて立つのもフラフラだったジュビ子は、顔が元気そうになり、散歩も楽しそうに30分も歩けるようになった。
 しかし今度は下痢が続くようになった。
 元々お腹は弱い方だったが、ずっと毎回水下痢になってしまい、下痢止めと整腸剤も飲むことになった。

ジュビ子の苛立ち

 一度は数値が半分程に減って、レイキヒーリングの効果もあり、落ち着いたように思えていた。
 しかし黒い下痢をするようになった頃、
 注射を始めて22日目の事だった。
 注射をしようとすると、まだ刺してないのにギャン鳴きをし、噛み付くようになった。
 私が消毒と注射をする間、母親がジュビ子を抑えてくれていた。
 その母の手に噛み付いたのだ。
 それから母親は厚手のゴム手袋をして押さえるようになった。
 インスリンの量は増やされ、13㎖まで上がったので、注射も一瞬では終わらない。
 私の打ち方が下手なのか?
 前にも打たせてくれていたが、私は今は脳の病気。
 工場の仕事も急に出来なくなっていた。不良品を出してしまうほど、簡単な作業もミスをするようになっていた。
 そこから更に数年経過している。
 私は獣医に何度も確認し、YouTubeでインスリンの注射の打ち方の動画をあるだけ全部みた。猫も見た。
 痛くないように、傷つけないように、空気もバイ菌も入らないように。
 私にとってそれほど沢山の注意事項のある、しかも針を扱う繊細な作業はもう恐怖でしか無かった。
 愛するジュビ子を救いたい。
 もちろん痛みを取ってあげたい。病気を治したい。
 けれど、こんなにギャン鳴きして、噛み付くには何か理由があるのでは無いだろうか。
 私の打ち方が激痛なのではないだろうか。
 間違えているのではないだろうか。
 もし、この打ち方のせいで他の病気が併発したらどうしよう。
 破傷風になったらどうしよう。
 命を危険な目に晒していたらどうしよう。
 私も注射が怖くて嫌いで堪らなかった。
 きっとその波動はダイレクトにジュビ子に伝わってしまったと思う。
 ジュビ子は注射の時間になると逃げ回り、消毒をしただけで、近所に聞こえたら虐待してると思われる程の声でギャン鳴きをし、針を刺した瞬間に身体を動かして刺せなくしたり、危ないから打てないように身体をズラしたり、噛みつかれそうになって逃げる母を追いかけていって噛み付くようにまでなってしまった。

 ついに母親は関わりたくないと言い出した。
 私1人で押さえて消毒と注射は絶対に無理だ。
 注射の失敗が増えてすぐに、数値はまた倍に増えた。
 そしてデブ子と呼ばれる程に20kgであった体重は16kgまで落ちていた。

 注射を開始して35日を過ぎた頃、鼻水やヨダレを垂らすことが増えた。
 息も荒い。
 また震えるようになった。
 その後、なんとか注射は私1人で格闘しながらも打ち続けたが、インスリンの量が全部うち終わる前に逃げてしまい量が不足となる回が増えた。

 50日を過ぎた頃には朝晩どちらかの注射は失敗させるような行動をとるようになった。

 47日目から、友人が教えてくれたサプリのような水を飲ませることを始めた。
 うんちが中々出なくなっていた。
 それを改善するのが目的だった。
 人間も飲める質の良い水だった。
 飲ませてすぐに、小さいうんちが出るようになった。
 サプリの水と一緒に、カリカリやおやつも纏めてお願いするようになり、食欲を無くしていたジュビ子は、新しい美味しい味のオヤツに夢中になり、高級なカリカリも美味しそうに食べるようになった。

 それでも60日目には体重は14kgまで減っていた。

 7月も下旬に入り、エアコンを付けても28度までしか下がらないほどの猛暑の中、相変わらず家に入りたがらない事が多く、ハアハアしながら意地でも外にいる。
 食事を質の良いものにし、サプリの水で良いうんちが出るようになり、下痢止めと整腸剤は飲まなくても出るようになった。
 それでもジュビ子は注射を嫌がり、よけるので3回刺し直す事もあった。
 ジュビ子の態度は、日に日に楽しさの欠けらも無い、一瞬も笑顔にならないようになっていった。
 そして家には寄り付かなくなり、どんなに雨でも風でも猛暑でも、庭で過ごし、夜も外で寝ることが多くなった。
 ジュビ子の苛立ちを感じていた。
 思い通りにならない。身体が重くて苦しい。
 どんなに嫌だと鳴いてもかみついても、注射を繰り返される。
 私には、それがどんな生活なのか、想像するのは難しくなかった。

脇腹のしこり

 8月3日。注射を始めて67日目。
 あまりの暑さに9時から家に入ってきてくれた。
 お昼に左の脇腹が盛り上がっているように見えたので毛が浮いてる束があるのかな?と触ってみるとごっそり抜けて円形ハゲが出来、赤く爛れて膨らんでいる。
 慌てて病院へ連れていく。
 注射をして、塗り薬を貰った。
 明日から塗り薬と飲み薬も必要となった。

 8月9日。
 病院で検査の日。
 塗り薬を塗っていた部分は更に腫れ上がり、切って膿を出す事になった。
 そのお腹に穴を開けると膿が酷く、とても深い所まで消毒をした。
 ただでさえ猛暑の中、術後の服を着せられることとなった。


 8月10日
 朝から病院でガーゼを交換して貰う。
 お盆休みに入るので、注射もしてもらった。
 明日からは私が傷口へ塗り薬を塗る。
 この日は疲れたのか25時には傷口を下にして寝ていた。
 痛くないのだろうか。
 それより眠気が勝つほど疲れていたのだろうか。

 8月11日
 朝の8時から家に入ってくるが、座った姿勢のまま、寝ようとしない。
 辛そうに眠そうにフラフラしているのに、決して伏せの状態にならずにお座りを続けているがとても辛そうで、何を我慢しているのかわからないが、病院はもうお盆休み、日曜日である。
 日曜でもやっている病院を探し、少し遠いが車に乗せて連れていった。
 傷口も見てもらったが、特に対応が必要な状態ではなく、服を着せられてるのがストレスなのか?
 横になると傷口が当たって痛いのかな?
 と言われたが、昨日は思い切り傷口を下に寝ていた位なので、それは無いと思う。
 こんな時に会話が出来たなら。
 都合よく今だけ特殊能力が降りてこないだろうか。
 精神安定剤のような薬を貰って帰宅した。
 痛みがありそうだったら飲ませてみて、という薬も。
 16時55分ずっとお座りの姿勢で我慢してきたが、気絶するようにドスンと音を立てて倒れるように伏せて寝始めた。
 痛み止めが効いたのか、やっと眠れるのかな?
 こんなになるまで、何故我慢していたんだろう。
 お座りのポーズで堪えていたのはどんな理由なんだろう。
 少し寝て19時40分、外に出た。涼しい風があってまだよかった。
 20時にご飯を食べて、お散歩20分歩く。
 散歩は無理に歩かせなくて良いと言われたけれど、本人が行きたい!と希望したので「少しだけにしようね」と言ったけれど、20分も歩いた。
 仲良しのお友達に会えたので、良かった。
 ご機嫌で帰宅して家に入り、注射もさせてくれた。
 するとまた起きてお座りをし、寝ない。
 また1時間ほど外に出たが、家に帰ってきてくれた。
 23時には横になり、眠ることが出来た。
 夢をみているようで、夢の中でいっぱい吠えてるであろう吠え声は実際には空気を吐く音が多めの「はひゅ!きゃふん!」というかよわい鳴き声だった。
 しばらく見守り、大丈夫そうなので1時半頃、私も寝た。

 8月12日
 朝晩のご飯も注射もOKだったが、またしても横にならずにお座りして何かに耐えている。
 10時に初めて横になり、12時25分気絶するように寝た。
 散歩行く行く詐欺を働き、2時間後にお散歩5分だけ歩く。
 夜は家に入ってくれたが、ずっと起きて息が荒い。
 23時には外に出て、大好物のセミを探していた。
 15分後に、扉の入口に移動したけれど、眠れずに起きてる。
 2時10分やっと寝る。背中を壁に押し当てていたので支えがないと眠れなかったのかもしれない。

 8月13日
 注射を始めて77日目。
 外に出たくても、小さな段差も降りられなくなる。
 抱っこをしても怒る気もない。
 右手だけ太く腫れて見える。
 触っても痛そうではない。
 散歩は34分。うんちが2回出来た。
 注射をさせてくれた。
 22時には家に入り2時に寝た。

 8月15日
 台風10号。
 気圧のせいか、吐く。
 食欲はある。
 大雨がやんで、お散歩28分。下痢。
 ハアハア息が荒くヨダレを垂らすこと22時半~0時15分まで。
 3時に寝たと思ったら4時半にウロウロして部屋を一周。
 5時半に外に出ていく。
 塗り薬の時、血の塊が取れる。

 8月26日
 注射を始めて90日目。
 脇腹の傷口は良くなってきているが、注射を嫌がり噛み付く事は増えていた。
 術後の服はやっと脱げる事になった。
 窮屈な服を脱げて、どこか嬉しそうだった。
 体重は14,82kg。
 血糖値が一気にあがり、ここ最近の注射が上手く入ってないのではないか?との疑惑。

 8月28日
 塗り薬終了の日。
 傷口は塞がり、カサつきもなくなり、毛も生えてきた。
 注射は朝晩13,5㎖ずつ。また身体を動かされ、それぞれマイナス4~5㎖位打ち残しがあった。
 散歩は29分。うんち2回。
 何度も足がガクッと崩れる。

 8月末
 頻繁に白い泡を吐くようになる。

この記事が参加している募集

#ペットとの暮らし

18,218件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?