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リビングラボの参加者を集める方法

坂倉編(910)はどんな話?

2023年から始めたLiving Lab Laboratory(LLL)のLLLラジオ(詳しくはこちら)。最新話、LLLラジオの坂倉編(910)には、坂倉編は、「まずはどうやってリビングラボを始めるか」の秘訣がたくさん隠されています。

坂倉さん自身の軌跡からは、今のリビングラボの研究の基盤が何年にもわたって地道に積み上げられてきたことがわかります。まずは、ご自身の関心ごとから始まり、それが、自然の流れとしてリビングラボに行き着いたと言えるようです。

坂倉さんのリビングラボのルーツは、修士課程のプロジェクトにあり!そんなことが語られているのLLLラジオの坂倉編(9)。2017年から、スケジュールなどは何も決めずに始まった「おやまちプロジェクト」は、修士プロジェクトから大いに影響を受けているようだし、今のリビングラボのプロジェクトは、おやまちプロジェクトがインフラとなっていることに注目したいところです。

今回のLLLラジオ坂倉編(910)から見えてくるのは、とりあえず、気の合う人と一緒に何かやってみて、地道に、気長に、そこから生まれるコミュニティを大切にすることの重要性。

分野が違っても関心事が違っても(というよりも分野が違って関心ごとが違う方が多様性が担保されるからいいのかも?)、その先には一つのというパーパス(坂倉さんの場合は、「おやまち」をベースに何かしたい)があり、そのパーパスを繋がりとして、気が合う仲間がいるコミュニティが生まれ、育っています。それが、おやまち・リビングラボのベースになっています。

これは坂倉流なのか?

コミュニティがあって、そこからリビングラボが生まれている。そんなリビングラボの形態は、ユニークな坂倉流なのでしょうか?ユニークすぎて誰でもが真似できるものではないというものなのでしょうか。

北欧における成功している多くのリビングラボを見てみると、そのような自律的なコミュニティがまずあり、そのようなコミュニティが基盤となってリビングラボが動いています。つまり、亜流の坂倉流というわけではなく、坂倉流が王道ということ。人のネットワークが張り巡らされているコミュニティをベースに、何かやりたい人がやりたいことをやる、課題を見つけた人が課題解決に取り組むことで、リビングラボが動いているんです。

リビングラボはどこまでデザインできるのか?

リビングラボ参加者の募り方

リビングラボは、多様な人や当事者の参加が不可欠であるといいます。ただ、その「多様な人」や「当事者」をどのように誘えばいいのか?そんな質問はFAQ(よく聞かれる質問)の一つでもあります。

坂倉編(910)から見えてくるのは、ベースとしてコミュニティがあるから、リビングラボが機能するということ。逆に言えば、そのようなコミュニティがない場合は、コミュニティづくりから始めなくてはならないので、リビングラボを始めようと思っても、とても大変で、実質10年計画にならざるを得ないのです(例えば東大秋山先生の鎌倉リビングラボはコミュニティ作りから始めてます)。

現在コミュニティがあることが、リビングラボを始めるための必須条件ではない。でも、元からのコミュニティがあること、現在あるコミュニティをベースにリビングラボを実施してみることは、ある意味ショートカットになり得ます。そのコミュニティの今あるアセットやネットワークがあるからこそ、「このトピックならば、あの人と」「あの人を連れてこよう」などのアイディアが生まれて、リビングラボのプロジェクトが立ち上がり、軌道に乗っていきます。

リビングラボは、「コンソーシアムを作ったり、計画を綿密に立てて実施することが多い」、という印象を持つ人も多いのだろうと思います。確かに、EUがトップダウンで資金を提供しすすめられている欧州のリビングラボプロジェクトや日本のトップダウンで行われるリビングラボを見ていると、まずは人集めをし、予算を確保し、というところから始まることが多いようです。でも、うまくいっているリビングラボは、その基盤には、思いのある人たちがいますし、何らかの活動のベースとなる既存コミュニティがあったりします。そのような思いやコミュニティがない、もしくはプロジェクト期間に育てられないのであれば、金の切れ目が縁の切れ目、リビングラボは、フェードアウトしてしまうんですよね。

リビングラボにはコツがある。BY BLOX


Mika Yasuoka (Roskilde University)


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