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2023年度の欧州イノベーション首都はリスボンに決定

case|事例

欧州委員会は2023年度のイノベーション首都にリスボン(ポルトガル)を選定した。次点には、ワルシャワ(ポーランド)とリヴィウ(ウクライナ)が選ばれた。また、25万人未満の小規模都市を対象とする「ヨーロッパ新革新都市」部門ではリンシェーピング(スウェーデン)が選ばれ、パドバ(イタリア)とコーク(アイルランド)が次点となった。選考委員は、リスボンとリンシェーピングの2都市は、都市がどのようにしてイノベーションを利用して都市の景観を再構築し、人口動態や経済の課題解決に取り組み、住民の便益をもたらしているかを示す事例であるとコメントしている。

リスボンはテック分野での成長が著しいことで知られている。その成長は「Unicorn Factory」などの斬新な取り組みに支えられている。「Unicorn Factory」はスタートアップを育成し、また海外企業を誘致するためのプラットフォームで、これまで12のユニコーンを含む54社を23か国から誘致し10,000人分の雇用を創出した実績を持つ。さらに、今後2年間で新たに13のインキュベーションとアクセラレーションのプログラムを立ち上げ、インキュベートされたスタートアップを3倍にまで増やす計画を立てている。また、デジタルヘルスやWeb3、人工知能関連の産業創出にも取り組む。

「Unicorn Factory」以外にも、都市課題の解決や新しいアイディアの実証を行う「Smart Open Lisbon」というオープンイノベーションプログラムや高齢者の医療アクセスを改善する「SAUDE65+」、気候ニュートラル都市とスマートシティに関するEUのプログラムへの参加など多種多様な都市イノベーションに関するプログラムを動かしている。

insight|知見

  • リスボンの成長を牽引するUnicorn Factoryが気になったので調べてみましたが、創業期や成長期などスタートアップの成長段階に応じた支援プログラムを動かしつつ、市の産業創出の目標に沿った海外企業誘致を行う産業創出のハブのようです。

  • 「私たちはファシリテータです。創業者と投資、メンター、戦略的パートナー、潜在的な顧客とを結びつけています。」と自らを紹介しているように、ワンストップのスタートアップ支援を提供しているようです。また、その延長にリスボンの産業エコシステムの構築があることで政策の一貫性が担保されているように思います。