ハイブリッドな働き方がオフィスワーカーの幸福度を上げ生産性を高める
case|事例
International Workplace Group(IWG)が、英国の就業者1,026人を対象にした調査で、ハイブリッドな働き方によって就業者の幸福度や健康度、生産性が高まることを明らかにした。調査対象は、英国の人口構成などを考慮して、現在、在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせたハイブリットな働き方をしている就業者が抽出されている。
調査結果では、4分の3の回答者がハイブリッドな働き方に移行したことで、週5日出社していた時よりもバーンアウトを感じにくくなったなど、ハイブリッドな働き方によるメリットが強調される結果が得られた。主な回答結果は下記の通りで、睡眠や食習慣、ストレスレベル、ウェルビーイングと幅広い効果が得られていることがわかる。
通勤の必要がなくなったことで可処分時間が増えワークライフバランスが改善した(86%)
疲労感を感じにくくなった(79%)
ストレスを感じることが少なくなった(78%)
仕事に対するモチベーションが向上した(76%)
仕事の生産性が向上した(74%)
不安を感じることが少なくなった(72%)
睡眠の質が向上した(68%)
全体的に健康になった(68%)
健康的な食事をとるようになった(68%)
日々の運動時間が増えた(54%)
IWGの調査結果は、最近公表されたスタンフォード大学の研究チームの論文の結果とも一致する。この論文は、中国のテック企業に勤める1,612人を対象にした調査をもとにしたもので、ハイブリッドな働き方が、仕事への満足度を高める一方で、生産性はオフィス勤務と変わらず、女性や非管理職、長時間通勤者を中心に離職率を低下させることを示している。また、管理職も、当初はハイブリッドな働き方に否定的であったものの、得られた成果をみて肯定的な意見に変化したことが指摘されている。
IWGのディクソン氏は、調査結果をうけて、企業は、ハイブリッドな就業形態を導入することで、働き方の柔軟さをもとめる若手を中心に人材を獲得しやすくなり、働き手不足の環境下で競争優位を持てる可能性があるとコメントしている。
insight|知見
今回のサンプル抽出では、ハイブリッドな働き方をやめてオフィス勤務に戻った人が含まれないので、結果はすこし慎重に読むべきかなと思いますが、これからのオフィス空間や都市を考える貴重なデータだと思います。
パンデミックを契機に、日本でも在宅勤務が浸透しましたが、在福の企業のなかには、対面で働くことの価値が重要であるということやネットワークやPC環境が整わないということを理由にオフィス勤務に回帰したというケースも聞きます。
働き方のニーズにあわせた就労形態の整備に加えて、居心地のよい公共空間や都市サービスを街ぐるみで整えていけると、福岡の都市としての競争力がさらに増すように思いました。