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ベルリンのスマートシティはヨーロッパで最も先駆的と評価

case|事例

ジュニパー・リサーチ社の最新の調査レポートで、ベルリンがヨーロッパで最も先駆的にスマートシティ形成をしている都市として評価された。続いて、ロンドン、バルセロナ、ローマ、マドリッドが高評価を得た。ベルリンは、MaaSアプリ「Jelbi」の導入によって交通インフラの改善を進めていることが特に評価をされており、マイクロモビリティのシェアサービスと再生可能エネルギーの発電における積極的な取り組みなどによって、統合的なアプローチでスマートシティ開発を行っていると述べられている。

ジュニパー・リサーチ社の調査では、スマートシティを「生活やビジネスへ利益をもたらすために、既存のネットワークやサービスがデジタル技術の使用によって効率化された場所」と定義し、交通、インフラ、エネルギー、照明、都市の管理、接続性などが評価に含まれている。

MaaSの発祥地であるヨーロッパでは、ここ数年でMaaSのコンセプトが大きく展開していることから、ジュニパー・リサーチ社は、公共交通がヨーロッパのスマートシティ開発の将来戦略の中心になるだろうと見立てている。そのためスマートシティの形成を目指す都市にとって、渋滞緩和におけるMaaSのメリットを取り入れながら公共交通との協調的なアプローチが必要になるだろうと述べている。また、CO2の削減もスマートシティ開発の大きな原動力になると見立てている。スマートグリッドの普及に伴い、ヨーロッパのスマートシティ開発によるCO2削減量は、2023年から2028年までの5年間で1.61億トンから2.47億トンまで増加すると推計されている。これには、AI分析や需要応答型ネットワーク、都市型マイクログリッドなどによる送電網インフラの改良や、スマート街路灯やスマート交通管理の普及が大きく寄与すると考えられている。ヨーロッパではエネルギーコストの高騰によってエネルギーコストの削減圧力が高まっており、AIなどの先進技術導入による効率化と再生可能エネルギーの導入の両立が求められており、スマートグリッドの整備に関心を向けざるを得ない。

insight|知見

  • 日本でもエネルギーコストの削減圧力はあるので、日本のスマートシティでもエネルギー分野への技術適用は着々と進んでいくように思います。

  • 一方で、MaaSに関しては、日本とヨーロッパでは経営形態が異なるため、現在の日本のMaaSでの情報プラットフォームとちょっとしたチケットの電子化というところから、ヨーロッパのMaaSのようなサービスの統合や政策の統合に至れるかどうかは、いろいろな論点と課題がありそうです。

  • 利用者にとって、裏側の仕組みや効率化の効果はなかなか実感できず、わかりやすいかとか使いやすいかとか、日々の利用での利便性が最も実感しやいものだと思います。しかもそれは主観的で定性的なものかもしれません。シーズドリブンな議論はよく見聞きしますが、もう少しニーズオリエンテッドな議論も必要な気がします。