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世界の都市・地域の最新事例を紹介するマガジンです(平日毎日更新)。 「case」では海外記事を抄訳して海外の都市計画関連の最新事例を紹介しています。「insight」では海外の最…
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#ウェルビーイング

ハッピー・シティ・インデックス2024(都市ランキング)

case | 事例 英ロンドンに本部を置く生活の質研究所(Institute for Quality of Life)が2024年のハッピー・シティ・インデックス(HAPPY CITY INDEX #2024)を発表した。ランキングは、都市で人々が幸せになる要因を特定するためのプロジェクトとして進められてきたものである。「幸福度」は主観的なものであり、都市がコントロールできない多くの要因に左右されるため、都市のランク付けにおいて、幸福度そのものを測ることをせずに、都市の行政

ハイブリッドな働き方がオフィスワーカーの幸福度を上げ生産性を高める

case|事例 International Workplace Group(IWG)が、英国の就業者1,026人を対象にした調査で、ハイブリッドな働き方によって就業者の幸福度や健康度、生産性が高まることを明らかにした。調査対象は、英国の人口構成などを考慮して、現在、在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせたハイブリットな働き方をしている就業者が抽出されている。 調査結果では、4分の3の回答者がハイブリッドな働き方に移行したことで、週5日出社していた時よりもバーンアウトを感じにくく

カーフリーな生活がもたらす健康および社会的な利点

case|事例 バース大学の気候変動と社会変革研究拠点(CAST)は、オックスフォードの市民を対象にした3週間のカーフリー生活における行動変容や意識変容を分析し、カーフリーな生活がもたらす健康上の利点や社会的な利点を明らかにした研究を発表した。研究は気候変動対策に取り組むLow Carbon Oxford North(LCON)と共同で実施された。 研究結果では、参加者の12人のうち10人が今後も自動車の利用を控えたいと考えていること、12人のうち3人は自動車を完全に手放

ドバイのクオリティ・オブ・ライフ戦略

case | 事例 ドバイは、世界一住みやすい都市を目指す取り組みの一環として、野心的な「ドバイ・クオリティ・オブ・ライフ戦略2033」を発表した。戦略では、ドバイを歩行者にも環境にも家族にも優しい都市に変貌させることに焦点を当てた200のプロジェクトとイニシアチブが含まれ、2024年から2033年まで3段階に分けて、地域社会のあらゆる層のウェルビーイングの実現に向けて取り組むとしている。 戦略では、環境保全・生物多様性保護、クリーンエネルギー推進、公共サービスの充実化、

ロンドン市交通局は気候変動に対抗しながらウェルビーイングを高めるためにGreen Link Walkを整備

case|事例 ロンドン市交通局(TfL)は、ロンドン市などと協働で15マイル(約24km)のウォーキングとサイクリングのための専用空間「Green Link Walk」を整備する。Green Link Walkは市内の約40の緑地とも接続する。整備には市民がつくるウォーキングやサイクリングの愛好団体も協力する。 背景に、パンデミック以来のレジャーウォーキングへの関心の高まりと専用のウォーキングスペースの整備を求める声の多さがある。ロンドン市では、パンデミック以降、レジャ

英国の慈善団体が子どもへの配慮に欠けた都市空間が子どもの健康状態を悪化させていると警告

case|事例 英国の慈善団体「Playing Out」は、子どもたちの屋外の遊び場所などが減少し、子どもに優しくない都市環境が作られてしまうことで子どもたちの健康状態やウェルビーイングに大きな損害を出していると警告している。前の世代と比較すると、屋外の都市環境の変化によって、いまの子どもたちは活動の制約を受けており、よりインドアになり、孤立し、アクティブではなくなりつつある。 実際、子どもや若年層の身体的・精神的な健康状態は長期的に悪化傾向にあり、特に貧困が問題を深刻化

自転車通勤者は抑うつ剤を処方される可能性が低くなる傾向

case|事例 自転車で通勤する人は、他の手段で通勤する人よりも抗うつ剤の処方量が少なく、自転車通勤がメンタルヘルスを害するリスクを低減させる可能性があることがエジンバラ大学の研究で明らかとなった。 今回の研究では、エジンバラもしくはグラスゴーに居住し職に就いている16歳から74歳までの約38万人が対象となっている。調査対象者は2011年に実施されたセンサスから抽出され、2011年以降の処方箋データと紐づけて分析が行われた。また、調査対象者は、いずれも自転車道から1マイル

シアトルは低所得者向けの移動支援策「mobility wallet」を検討中

case|事例 シアトル市は、低所得者の移動制約問題を解消することを目的に、新たに「mobility wallet」を導入することを検討している。mobility walletは、低所得者を対象にオンデマンド交通やマイクロモビリティで使用できるデビットカードを配布する施策で、生活費に占める交通費の負担を軽減することをねらっている。。デビットカードには、200ドル(約28,000円)がチャージされており、4カ月おきに金額補填がされる。 シアトル市は1月に公営住宅に住む低所得

なぜ健康とウェルビーイングが都市計画の中心に据えられるべきなのか

case|事例 19世紀のコレラをはじめとする感染症は、清潔な飲料水の供給や下水道の整備、ゴミの収集が、都市を健康な生活が送れる場にするために重要であることを教えてくれた。今、新たに日々の都市環境と健康との関係に目を向けさせる研究成果が得られ始めている。 ケンブリッジ大学のクライス博士は「現在の都市計画・交通計画は大気汚染によって呼吸器系に大きな負担をかけているが、それらは予防可能だ。」と述べている。彼女らの研究では、LEZ(Loe Emission Zone)をはじめ環

ウォーカブルな環境は一部のがんリスクの低下と関係

case|事例 アメニティが豊富で人口密度の高い地区は、女性の肥満関連のがんリスクが低い傾向にあることが最新の研究で明らかになった。食料品店などの生活利便施設が立地する人口密度が高いエリアに住むことは、歩くことを促し身体活動レベルが活発するために、結果的にがんの罹患確率が低下すると考察されている。今回、リスク低下が統計的に有意であると認められたがんは、閉経後の乳がん、卵巣がん、すい臓がん、大腸がん、多発性骨髄腫などを含む5種類。 関連研究として、いくつかの既存論文で身体的

シンシナティ市での階段アートプロジェクト

case | 事例 オハイオ州シンシナティ市には約400の公共の階段があるが、シンシナティ大学近くの2つの階段に新しい壁画と看板が設置され新しくなった。このプロジェクトは「より多くの階段を改善し、人々が家や車から公共スペースに出て歩くことを促す活動のスタートである」と、シンシナティ大学の研究責任者は言う。このプロジェクトの発端は2019年、カリフォルニア大学デザイン・建築・芸術・計画学部(DAAP)の助成により、コミュニティを豊かにするプログラムを研究・開発することから始ま