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世界の都市・地域の最新事例を紹介するマガジンです(平日毎日更新)。 「case」では海外記事を抄訳して海外の都市計画関連の最新事例を紹介しています。「insight」では海外の最…
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#持続可能な観光

コペンハーゲンの新しいグリーン・エコノミー・プログラム「コペンペイ」

case | 事例 デンマークの首都コペンハーゲンは今夏、観光客に環境に配慮した選択を促すための新しいプログラム「CopenPay」を試験的に開始する。調査データによると、旅行者の82%が持続可能な行動を取りたい意欲を示している一方で、実際に行動を変えたのは22%に過ぎないとの結果を得られている。この結果をもとにコペンハーゲンの観光機関Visit Copenhagenは、環境に配慮した行動を文化体験の通貨に変える取り組みとしてCopenPayを導入する。旅行者は、自転車の利

バルセロナは観光向けの短期住宅賃貸を市内全域で禁止

case|事例 バルセロナは、賃貸住宅の家賃高騰や住宅不足は観光向けの短期賃貸に原因があるとして、市域全体で短期の住宅賃貸を禁止する。市長は、中産階級が市外に引っ越さなくて済むようにするためには住宅供給が必要で、時間をかけて解決する必要があると今回の決定に至った背景を説明している。 バルセロナは、今回の決定によって、新規の短期住宅賃貸のライセンス発行を停止すると共に、既存ライセンスの更新も行わない。そのため現在10,000件登録されている短期賃貸住宅は2029年には市内か

バルセロナは観光客が多い市街地に新しい管理モデルを導入

case | 事例 バルセロナ市は、市内の16の高流入エリア(EGA)を定義し、今夏からこれらのエリアでは33項目に及ぶ対策が適用される。これらの対策は、観光活動によって特定の時期に生み出されるマイナス面を最小限に抑えると同時に、観光がバルセロナ市の成功体験であり続け、観光によって収益と都市のダイナミズムが提供され続けることを目的に導入するものである。特定された16地区のうち半数は、観光客に人気のある場所で、 グエル公園、サグラダ・ファミリア、ボケリア・ガルドゥニャ、グラシ

ヴェネチアはオーバーツーリズム対策として団体旅行の人数を制限

case|事例 ヴェネチアは、深刻なオーバーツーリズムの問題に対して、今後ツアーガイドなどの拡声器の使用を禁止すると共に団体旅行の人数を25人までに制限することを決めた。 ヴェネチアは、歴史的な運河に囲まれた景観が有名で、ヨーロッパで最も人気のある観光地のひとつであるが、その一方で、オーバーツーリズム問題が差し迫った課題となっている。2019年には、住民25万人の街に年間1,300万人の観光客が訪れ、日々の生活が脅かされるとしてヴェネチアから引っ越す住民が後を絶たない。現

メルボルンの持続可能なMICE企画ガイド

case | 事例 メルボルン・コンベンション・ビューロー(MCB)は、MICEなどビジネスイベントを企画するプランナー向けに、持続可能性に焦点を当てた新しいインタラクティブなデジタル版ガイドブックを更新した。このガイドブックでは、MICE実施の際に調達対象となりうる環境に配慮したサプライヤー、製品、また、MICE実施期間でのメルボルンでの持続可能な体験を紹介している。 昨今イベント・プランナーの間では、MICEにおいて持続可能な観点を重視する傾向が高まっていることから、

スウェーデンの持続可能な都市と観光

case | 事例 スウェーデンのストックホルム、ヨーテボリ、マルメといった都市は、環境に優しい都市として世界でも認知されているが、これらの都市は持続可能な都市計画による緑地や水路と居住空間のデザインや、ゼロエミッション・カーボンニュートラルなどにつながるクリーンエネルギーへの取り組みにとどまらず、エコフレンドリーな都市体験を提供していることを通して、世界にその持続可能な都市のあり方を広げている。 各都市では自転車専用道路が広く整備されており、住民と観光客の双方により健康

フィレンツェは旧市街地での新規のAirbnbと住宅の短期賃貸を禁止

case|事例 フィレンツェは住宅不足の改善を目的に、Airbnbをはじめとする短期の住宅賃貸の規制を開始する。新たな規制によって、旧市街地の住宅に対して、Airbnbなどのプラットフォームを通じた新規の住宅の短期賃貸は禁止される。また、既存の短期賃貸住宅のオーナーに対しては、通常の賃貸借契約に切り替えれば、3年間の減税措置が受けられる優遇策もあわせて導入される。 フィレンツェ市役所は、新たに規制を強化することで市民に対してよりアフォーダブルな住宅の提供を進めたいと考えて

ヴェネチアはオーバーツーリズムへの対抗として新たなに入場料を徴収することを検討

case|事例 ヴェネチアは、オーバーツーリズムを解消するために新たに5ユーロ(約790円)の入場料を徴収することを検討している。ヴェネチア地域の観光入れ込み客数は、2023年の第1四半期で250万人と、前年の150万人から急増しており、ヴェネチア市はその対応に苦慮している。今回の入場料徴収は、歴史的な市街地に訪れる大量の観光客を規制することと、歴史的な遺産と繊細な生態系を保護することを目的としている。入場料の聴取は、2024年に長期休暇期間を対象として30日間の実証実験を

持続可能な観光目的地を目指すシンガポール

case | 事例 シンガポール政府のインバウンド観光で目指すビジョンは、小さなフットプリントで大きな体験ができる「自然の中の都市」になることである。そのためには、公共部門と民間部門の強力なコミットメントが必要であり、さらに観光関係者からの支援も必要になる。今年の年初に、シンガポールはグローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC)の基準に基づき、持続可能な目的地として認定されたが、取り組みはまだ緒についたところである。 シンガポールの観光業界は、国家レベルのシンガ