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ヴェネチアはオーバーツーリズムへの対抗として新たなに入場料を徴収することを検討

case|事例

ヴェネチアは、オーバーツーリズムを解消するために新たに5ユーロ(約790円)の入場料を徴収することを検討している。ヴェネチア地域の観光入れ込み客数は、2023年の第1四半期で250万人と、前年の150万人から急増しており、ヴェネチア市はその対応に苦慮している。今回の入場料徴収は、歴史的な市街地に訪れる大量の観光客を規制することと、歴史的な遺産と繊細な生態系を保護することを目的としている。入場料の聴取は、2024年に長期休暇期間を対象として30日間の実証実験を行うことを予定している。料金徴収の対象となるのは14歳以上の日帰り観光客で、市内従業者や住民からの徴収は行われない。

ヴェネチア市は、気候変動に伴う海面上昇の脅威にもさらされている。市は運河へのクルーズ船の出入りを禁止したり、市内の浸水を防ぐために水中のゲートシステムを整備したりと、その対応を進めている。ヴェネチアの歴史資源を保全するための試みが進んでいる。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-09-13/venice-wants-to-combat-overtourism-with-new-5-entrance-fee

insight|知見

  • 日本でも、富士山や京都で過度な観光客の来訪が自然環境を破壊したり生活環境を悪化させたりという問題が報じられるようになりましたが、課金等による観光流入の抑制と環境の保全に関する議論はあまりされていないように思います。

  • 日本のオーバーツーリズムに対する対応としては、タクシー運転手の高齢化や不足などと相まって、ライドヘイリングの解禁を望む声がまた強くなってきています。

  • 果たしてライドヘイリングはその解決に資するのでしょうか?私個人は、あくまでも付け焼刃な対応にしかならず、安易な解禁はむしろ安全性や交通混雑などの悪影響が出るのではないかと思います。

  • まして、過度な観光客の来訪によって、せっかくの観光資源としての自然環境や歴史資産が損なわれては意味がありません。交通の担い手不足の問題は放置していていい問題ではありませんが、オーバーツーリズムに関していえば、そもそもの資源管理としての来訪規制も併せて考えるべきのように思います。