MORI WO ORU 森を織る
2/10旧暦元旦新月
新しいプロジェクトを立ち上げました。
MORI WO ORU (森を織る)
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3年前、偉大な大先輩たちの偉業に、本当に感動した。
森は海の恋人と、森里海連環学。
物事を部分的にではなく全体として捉え、分断された世界を繋げて、生態系を回復させた偉大な活動だ。
心に雷が落ちたような衝撃。これだ!と、人生でずっと探していたものを、見つけた気がした。
私が活動しているファッション業界も分断は深刻で、さんざんエシカルやサステナブル と言っておきながら、私は布がどうやって出来るかということすら、知っているつもりになっていただけで、実は全く知らなかった。
本当に意義のある仕事をするために、いつか偉大な大先輩達のようになれるように、私は生き方を変えなければいけない。時間はかかったとしても、物事の源流から下流まで、全体像を把握出来るようになって、大先輩達のように、本当の意味で世界を再生する人になろう、そう誓った。
そして東京から京都に移住して、私が使うテキスタイル、シルクの源流である、桑の植樹や蚕を自分で育ててみるところから始めた。
すると色々なところからお声がかかるようになり、日本中を旅して産地や職人さんのところに行き、養蚕、製糸、織物工場、染色職人、様々なプレイヤーのスペシャリストの皆さんや、そのものづくりを支える自然たちと繋がらせてもらった。
日本の自然の生態系と共にある工芸、という価値観を学び、
シルクの業界だけでなく、漆や綿や藍、木工などの工芸や森のものづくりの仲間たちとも出逢えて、そして3年前に立ち上げから参画したあいだラボでは森里海連環学、経営学、人類学、仏教など様々な学問を先生方から近くで学び、アカデミックの最先端の多様な視点から物事の本質を捉える機会にもたくさん恵まれることとなった。
この3年ほど、私はいつも感動していた。きっと生涯忘れないであろう、人生を変えてしまう特別なものに出逢い続けた、本当に言葉では言い表せないほどの、奇跡が起こり続ける日々だったからだ。
そうして2023年の初めに、私はそれまでの源流を巡る学びの旅が、一本の糸になり、全てが繋がっていくような体験をした。
点と点が繋がり出し、新しい、ひとつの"生態系"のような世界が、現れたのだ。気付けば頼もしすぎる仲間達に囲まれていて、いつしか一枚の服を、心が本当に動いた関わりだけで作れるようになっていた。同時に、それを成立させるための、必要な叡智も授かった。
ファッション業界で、シルクの服で、天然のものだけで、国産で。負担を減らすだけでなく、世界を再生していくもの。
1人では決して出来ない、自分の本当の理想。そんなことで生きていくなんて不可能だ、と思って諦めていた道が、突然目の前に現れたのだ。それは紛れもなく、"生態系"の持つ力によって起こった事だった。
私はこの1年間、その世界を形にするために生きてきた。
原材料の蚕(育ててもらった蚕は布になるまで時間がかかり、まだ服になれてないのですが。ここは一歩ずつ。)や織物から服になるまで、何度も現地へ行って、全てのパートナーさんと関わり、そして蚕よりさらに上流の、命の源となる森のプロジェクトもつくり、一番下流の、コピーやイラスト、ビジュアル撮影、HPなどのデザインも企画構成したので、
本当に、自然、動物、人の、ものづくりの流域すべてに関わらせてもらった感じだ。
それぞれ全く違う世界観で、まるで全ての流域を、ずっと旅しているようだった。
何かを本気で形にする事は、当たり前に苦悩や苦労も伴うけれど、それ以上に毎日に夢中で、日々がきらきらと満ちていて、とてもとても贅沢で、とてもとても豊かな1年だった。
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出逢ってきた日本の自然や人々と一緒にものづくりをした、この特別なプロジェクトには、リスペクトの意を込めて自分もartistとして関わらせてほしい、自分の内側に存在する世界を表現したい、と思い、1年間、草木染めの修行をし、自分で染めもやってみました。
去年の夏には、能登の新谷工芸さんのところに高度な技法を学びにも行きました。
夏の能登はとても美しい場所で、皆様にはとても暖かく迎えていただき、学ばせていただけたことは大切な経験でした。
まだまだ稚拙な実力ですが、最高級の絹織物たちにふさわしい、そして自分らしい表現というものに自分なりに向き合い、そしてこの数年で学び、多大な影響を受けている大室先生の経営学、イノベーション理論や哲学、そして森里海連環学を、自分なりに解釈し、この数年の自分の学びの全てを表現しました。
この服作りから、すべてが繋がってゆき、生態系が再生していく未来に祈りを込めた、森を織る、という名前。
これは私が人生で探求してきた、私が人生で見つけることが出来た、"道"であり、願いそのものです。
1stコレクションは
私が3年間旅をして来た中で心が動いた、美しい景色を作品にしました。(みなさんの住んでいる地域も作品になっているかもしれませんのでHPのcollectionをチェックしてみてください)
このプロジェクトを形にするために、本当にたくさんの方々にご協力いただきました。
ものづくりにご協力いただいた皆様、そして1年、制作に集中する事を許してくださった周りの皆様、支えてくださった皆様。たくさんの迷惑をかけながらやってきました。
そして、自信がなかった私の背中を押してくれた、たくさんの存在。その全てに当たり前ではない、有り難さがありました。
ほんとうに、ありがとうございました。
おかげさまでようやく、スタートが切れました!
ここから生まれていく未来に、とってもワクワクしています。
ブランドではなくプロジェクト、と名乗っているのは、ただ単純に服を作って売る事だけが目的なのではなく、制限のない様々なことをご縁の中で皆さんと創っていくビジョンを持っているからです。
たくさんの方々とこれから起こっていく素晴らしい未来を共創していければと願っておりますので、ご縁ある皆様、どうぞよろしくお願いします!
"MORI WO ORU 森を織る"
一枚の服づくりからはじまる、
生命の連環。
森から植物が育ち、水が川を流れて動物の命が育まれ、人々がものを作り、そこに生命が宿っていつか朽ち、また生まれる。
壮大で美しい、終わらぬ生命の連環への祈りを、一本の糸に込めて織ってゆく。
私たちは原材料の桑や蚕から草木の染めまで
さまざまな生命を織り込んだ日本の絹織物の服づくりで、
自然と人の生態系を育み、地球を再生するための共創プロジェクトです。
[養蚕]
影森養蚕所(埼玉県秩父市)
[製糸]
宮坂製糸所(長野県岡谷市)
[織り]
田勇機業(京都府京丹後市)
谷勝織物(京都府京丹後市)
丸仙(京都府与謝野町)
糸あそび(京都府与謝野町)
[染め]
京都川端商店(京都市)
MORI WO ORU(京都市)
[染色指導]
新谷工芸(石川県能登半島)
[パターン]
原田めぐみ/Meg.Pattern
[縫製]
神谷雅子/Meg.Pattern
橋本美咲/nicol
緒方陽子/YK works
匂坂初代/Qazari
[HP制作]
株式会社R6B
unisize
[翻訳]
星野ロビン
[ビジュアル撮影]
Haruka Oshita
[ヘアメイク]
Aya Iwasawa
[モデル]
高松菜々/NUMBER EIGHT
SAKURA/NUMBER EIGHT
[撮影サポート]
みゆき&ともこ
MORI WO ORU