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言の場

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言葉にはその由来があり、その場所には歴史があります。「言の場」はその由来と場所を紐づけて、日本全国の地名の由来をカルタで見つけることができます。 https://kotono.… もっと読む
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岩手県大船渡市の死骨崎:地名と伝説の深淵

岩手県大船渡市には、地名とその由来が深く結びついた地域が存在します。その一つが「死骨崎」です。この地名は、地元の伝説と歴史が紡ぎ出した物語を持っています。 地名の由来:「越鬼来」地元民の一部からは、「越鬼来」が地名の本当の由来だという主張があります。これは、「鬼喜来」ではなく、「越鬼来」が正しいという意見です。この地名は、鬼も喜んで来るという意味を持つとされています。この地名の由来を知ることで、地域の歴史や文化に対する理解が深まります。 鬼の伝説と地名この地域には多くの「

中世の名残りを伝える日本の地名:荘園制度と領主制度の影響

日本全国に散らばる地名は、その土地の歴史や文化、伝統を映し出す貴重な資源です。中でも、中世の荘園制度や領主制度に由来する地名は、遥かな歴史を物語る魅力的なエピソードを持っています。今回はそんな地名について探ってみましょう。 まず、「領家」や「領家町」といった地名が挙げられます。静岡県や岐阜県に存在するこれらの地名は、荘園の支配権を表す「領家」に由来しています。遠い昔、ある地域を支配した領主の名前や地位がそのまま地名として残った例です。 次に、「荘」または「庄」を含む地名に

滋賀県の地名が語る、古代の製鉄と生活

はじめにあなたは今まで自分の住んでいる地名や訪れた場所の名前の由来を考えたことはありますか?地名はその地域の歴史や文化を反映し、昔の人々の生活や技術を今に伝えています。今回は滋賀県の地名を通じて、その深い歴史と製鉄文化を探ります。 産鉄地と地名:「イブキ」と「カナクソ」滋賀県の地名には、「イブキ」や「カナクソ」といった特異な単語が見受けられます。これらは何を意味するのでしょうか? 「イブキ」は人が吐く息を表すとされ、この言葉は「息吹」を意味します。古代の製鉄業では、炉に酸

猫小路にネコはいるのか?

城と城下の地名の中に「小路」という地名があり、そこは近世城下町における武家屋敷町の名称。同職の者が長屋に集団で住居しており、その居住地のことを呼んだそうです。 小さい道の意という由来もあり、そこには細い路地の中で人が集まっている場所で、なんとなくノスタルジーな香りもする面白そうな場所ではないのかと思っていました。 そんな中で「猫小路」という地名の場所が愛知県豊田市に存在し、そんな魅惑的な場所はどんなところなのかというコトで行ってみました。 行ってみるとわかるのですが、そ

名古屋市の金山神社に行ってみた

愛知県名古屋市熱田区に「金山神社」という神社があるのですが、そもそもここの地名は「金山」といいます。駅名にもなっている地名なのですが、その由来を調べに「金山神社」に行ってきました。 言の場で「金山」のつく地名を調べると、 「大半は産鉄に関わるもので、鉄の採れる山または鈩のある山の名称」とのこと。 そして、「金山神社」には、金山彦命と金山比売命の二柱を主神として、金山神社には金属の神々が祀られている。尾張鍛冶の発祥地となっています。 尾張鍛治は熱田神宮で鍛治職人をしていた尾

静岡県浜松市天竜区にある奥領家の由来

いつもGoogle Mapを眺めていて、気になる地名があったので、調べてみました。その地名「奥領家」は静岡県、長野県、愛知県の県境あたりにある地名で、ここの場所はまさに秘境という場所で、そんな中、「奥領家」という由緒正しそうな名前が気になったのがはじまりでした。 言の場で「領家」のつく地名を調べると、 「中世の荘園制支配に由来する地名」とのこと。 ということは、昔誰かが、この場所を治めてた人がいるのでは? で、実際に調べてみました。 由来が詳しく載っていましたね。 奥

凡直(おおしのあたえ)

私の住む町には四国霊場86番札所志度寺があります。 その志度寺はこのように紹介されています。 志度寺の歴史・由来 香川県東部、志度湾に面して建立される志度寺。海の向こうはるかには、屋島や五剣山の稜線を望めます。開創は古く推古天皇33年(625)、四国霊場屈指の古刹です。海洋技能集団海人族の凡園子(おおしそのこ)が霊木を刻み、十一面観音(かんのん)像を彫り、精舎を建てたのが始まりと言われ、その後、藤原鎌足の息子、藤原不比等が妻の墓を建立し「死度道場」と名づけられました。その

中川運河の船と川の地名

「言の場」で地名の由来を検索していると、愛知県名古屋市の中川運河付近で、「川」地名が川沿いに並んでいる場所がありました。 気になったので、まずはwikiで調べてみると中川運河のページにちょこっと載っていますね。 「長良橋〜いろは橋間の町名は一部を除き、運河の西側が“●船町”・東側が“●川町”に統一されている(例:八熊橋の西側 = 富船町・東側 = 富川町)。また、富船町の対岸が富川町、富船町の南にある清船町の対岸が清川町という様に、運河を挟んで向かい合う両岸の町同士に共通

愛知の地名由来「年魚市(あゆち)」はどこまで海だったのかを地名から見てみる

今日は愛知の地名の由来「年魚市(あゆち)」について、調べてみました。年魚市は万葉集の時代は「あゆち潟」と呼ばれていて、昔は干潟や海であったと伺えます。 下の古地図を見てみても名古屋のほとんどは海に沈んでおり、熱田神宮はちょうど海と陸地の境界にあった感じになっています。 実際に地名として海に関連する地名を地図に表示した場合、海に関連した地名は陸と海で分かれているのか気になりますよね。 そこで、「言の場」を使ってそちらを調べてみました。 例えば、「島(シマ)」の地名で検索

ハマイバという名前の地名

ハマイバは奥州から中国にわたって色々と存在します。 その中でも破魔射場の文字をあてたものは、  常陸・三河・伊勢・石見の破魔射場(はまいば)  伊勢の破魔弓場(ゆみば)  美作の破魔場 など他にも存在したりします。 ハマイバと片仮名で書いた例も多いが、それよりさらに多いのは浜井場の文字、これはハマイバに漢字をあてるときに最も考え付きやすい 「浜射場」「浜弓場」「浜矢場」の例もある 言い伝えには、浜井場(はまいば)は境を挟んでの競技の地で、ハマを飛ばしてより深く隣の村に投げ