見出し画像

085. そうだ、ブーケガルニ作ろう

bonsoir!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。最近、友人からどっさりお庭でとれたハーブをいただくことがあって、ジップロックいっぱいに入ったローズマリーの香りから思い出したフランスの台所時間。オーベルニュ編を書いていたのですが一休み。今日はちょっとフランス気分になれるブーケガルニのお話です。


旅から帰ってきた時。その旅で感じたものや余韻を、日常生活の中で再現してみるというのが好きです。そうすることで、非日常のものであった旅が日常の中に流れ込んでくる。旅というハレを生活というケに繋ぎ止めるのが「再現してみること」なのだ。

ここ最近友人が我が家を訪ねてきてくれることが続いたのだけれど、ある友人が自宅のお庭でとれたハーブをたっぷりと持ってきてくれた。大きなジップロックをパックリ開けるとキッチン全体にローズマリーの香りが立ち込めた。わぁ、フランスのキッチンの匂いだ・・!フレッシュなうちにローズマリーポテトを作って、あとは乾燥させてドライハーブにする。梅雨の晴れ間に顔を出した太陽の熱を一身に浴びていい色になっていくローズマリーを見て思いつく。そうだ、ブーケガルニを作ろう!

フランスのスーパーマーケットの野菜コーナーには、よくブーケガルニが売られていた。ブーケガルニとは、香草を花束のように束ねたもので、煮込み料理を作るときなんかに肉や魚の匂い消しや、料理の香りづけに使われる。フランス料理には必需品である。野菜コーナーにちょこんと存在する小さな花束を、これは一体なんなんだろう?と思って手に取るとふんわりとハーブの香りがした。あぁ、これがブーケガルニか。

ブーケガルニって言うと、日本のスーパーに売られているような粉末状になってお茶パックに入ったものを想像してしまうが、でもそうか、ブーケだもんね。こういう形もあるものだ。ニンニクと一緒に花束みたいに綺麗なブーケガルニをスーパーのカゴに入れる、何食わぬ顔でレジで精算を済ますと、なんかだかとってもすごくフランスっぽいことをしているような気分になって嬉しかったのを覚えている。

2020年・フランスの台所にて

フランスのスーパーにはハーブ類が沢山売っている。ちょうど例の感染症の流行のはじまりで自宅にこもる時間が増えていたことも手伝って、自分でも色々な組み合わせのブーケガルニを作ってみたくなって研究していた。セロリやポロネギや生姜を入れたり、その日みつけたハーブを買ってきては、雑貨屋さんで娘のビーズづくりのために買ってきた凧糸でぐるぐると束ねた。時々、とんでもなく妙なフレーバーのポトフが出来上がって、果たしてこれを食卓に上げていいものか・・と思いながら、キッチンで首を傾げた時間も今では懐かしい思い出だ。

フランスでのキッチンのそんなこんなが、友人からもらったローズマリーの香りと共にフワッとよみがえって来た。

2022年・日本にて

数々の失敗を経験へたおかげか、この日のポトフは香り良く仕上がった。そうそう、ここ最近、アペロ作りにもハマっている。それで、この日はポトフの他にも楽しくなっちゃって色々と作りました。

牡蠣のオイル漬け
パイナップルのジャスミンティーマリネ
フムス(プレーンとビーツ味二種)
チャナ・カチュンバル(これはインドのひよこ豆のサラダ)
ウフ・ミモザ
バーニャカウダー
ローズマリーポテト
メロンのシャーベット

うーん、なんかまだあったな。でも、なんだっけ(笑)。
アペロとは、アペリティフ(前菜)の略。ディナーの前におつまみをつまみながら食前酒を飲んでおしゃべりを楽しむひととき。そのおつまみというのが本当にフランスらしく色彩が綺麗で、なんといっても一品一品がとても簡単なのだ。日本のおつまみのように味が濃いわけでなく、野菜など食材そのものの美味しさを楽しめるというのがまた魅力。大変じゃなく、でも美しくリラックスして会話を楽しむ。フランスらしさがぎゅっと詰まっている。

あれ?今号はブーケガルニの話ではなかったっけ?まぁいいか。

唯一写真におさめたウフ・ミモザ


生きていく場、暮らしの場、すべてがアトリエになりますように。いただいたサポートはアトリエ運営費として大事に活用させていただきます!